過去から未来へ

統一暦499年11月27日午後5時30分

 聡兎が精力的にプロデューサー活動をしたおかげか、はたまた紅音たちの接し方が良かったのか。リナほど複雑なAIにもなるとどの要素がどのような影響を与えたのか分析するのも一苦労である。兎にも角にも、リナはこの3週間ほどで歌えるまでに回復したのは事実であった。つい先日もオンラインライブを成功させたところだ。

「キラメキミライに行ってみないか?」

 金曜のレッスンの終わりに聡兎はそんなことを持ちかけてきた。

「ちょうど予定が空いてる時間を見つけたんだ。……トラウマの克服にも……いいだろうし。」

 リナはもう問題なくステージに立てるようになった。ただ、キラメキミライのステージだけは足を運んでいない。

 リナは聡兎が考えていたこととは別のことを考えていた。やはりあの人の言っていたことは信じて良いのだと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る