時間が解決してくれる可能性
統一暦499年11月9日午後9時
「すごい……。ここあねこさんが配信するところを生で見れるなんて……。」
「そんな大層なものじゃないけどね。一緒にゲームやる?」
「いいんですか?!」
統一暦499年11月9日午後10時
「……それじゃみんな……っていうか今日も視聴者二人しかいないけど。さよなら~。」
紅音は配信を終える。
「あー楽しかった。やっぱりマルチは楽しいなあ。可愛い子とやるゲームはそれだけで楽しくなるよ。」
「……紅音さんは配信するのが嫌になったりしないんですか?」
「……?」
「あ、ごめんなさい、私やっぱりおかしいですよね……。」
「アカネは嫌なんて思ったことないよ。楽しいからね。」
「楽しい……。そう、ですよね。」
「それと、なんかずっと敬語だとムズムズするからやめない?」
統一暦499年11月21日午後2時40分
紅音、リナ、恵吏、アカリはファミレスで益体もない会話をしていた。
「聡兎さんからもらったゲームなんだけど、クッソ難しくて。ノーマルモードクリアで精一杯だよ……。」
「紅音でもノーマルまでクリアできるなんて簡単なんだね。」
「えりりんはアカネが下手くそな前提で話さないの!」
「実際、そのゲームは難しいみたいですよ。北方藍玉録でしたっけ?北方シリーズでは最高難易度と噂されてるようです。」
「でしょ?あかりんも言ってるしそうなんだよ!」
「私も保証するよ。私でもハードモードクリアで精一杯だったもん。」
「さらっとアカネより上手いじゃん……フォローになってないよ……。」
紅音は落ち込んだのかテーブルに突っ伏してしまった。
「……あ、そろそろ調整の時間なんだった。私行くね。」
「いってらー。」
統一暦499年11月21日午後2時42分
リナは調整のために聡兎の待っている施設に向かっていた。
「君、ちょっといいかな?」
「……何でしょうか?」
道端でリナを呼び止めたのは白髪交じりの男だった。白いカーディガン……いや、白衣を羽織っている。
「苑仁くんについてなのだが。」
リナは思考回路が停止するかと思った。
「……なぜ、苑仁さんのことを……?」
「あまり深く詮索されると困るのだが。ただでさえ消えかかっている彼との繋がりをみすみす見逃すつもりかい?」
統一暦499年11月21日午後2時55分
「お待たせしました!」
「遅かったな。これまで遅れることなんてなかったのに。……?」
聡兎はリナを見て何かがあったのではないかと思った。ほんの少しの違和感というか、何か言語化できないものがほんの少しだけ変わったような、そんな気がした。
まあ、気のせいかな。
聡兎は特に深く追求することはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます