隠し場所

統一暦499年10月31日午後3時20分

 東京の中心にも関わらず広い土地を贅沢に使って建てられた多目的ホール、東京キラメキミライ。今晩20時から開催されるアイドルAIのリナによるライブの準備でスタッフたちは大忙しであった。

「あれ?こんなコンテナあったかなあ。リストにも載ってないし。」

 スタッフの一人がリストに記載のないコンテナに気づいた。

「ああ、それは地下から持ってきたやつだ。空港に持っていくんだ。」

 そう言ってきた男のライブ設営のスタッフらしからぬ高級そうな靴や腕時計など、スタッフは多少の疑問を感じたが特に気にせずに作業を続けた。

「地下から……?了解しました。」


統一暦499年10月31日午後4時

 東京キラメキミライの地下は結果的に未使用のまま終わってしまった舞台用大道具などの一時保管場所となっていた。もし使うことがあればそこから引っ張り出すし、使わなければそのうち廃棄される。

 そんなキラメキミライの目の前には東京湾が広がっていた。これによって陸路と海路、ついでにすぐ近くにある新東京国際空港によって空路とも繋がる位置を確保しているのだ。

 空港のプライベートジェット用の倉庫にコンテナが三つ運び込まれた。それと同時刻、苑仁は空港に入っていた。

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