第15話 起こりうる危機


達夫の家の呼び鈴がなり、達夫はリアを招き入れる。


「達夫さん、朝からすみません。」


「良子の事なんだから全然かまわないよ。」


リアは順序立てて昨日の占いの結果について話し始めた。良子には死相が出ていてこのままだと死ぬ可能性が高い事、それは故意ではなく、むしろ自然死に近いものであること。そのため魔女達が関与している可能性が低い事。リアは自殺の可能性について達夫にきいてみたが、達夫の返答は否定的なものだった。リアは立て続けに良子がこのような死に向かう状況にあるので、良子の死が宿命的なものかもしれないという事についても言及した。


達夫はリアの話を聴いてショックを受けて黙り込んだ。


「まだ『運命』と決まったわけではないので、私としては良子さんを監視しして死相を解く手がかりを見つけたいと思うんです。そこで、これを良子さんにつけておいてもらいたいんです。」


そう言うとリアはカバンから手鏡程度の箱を取り出し、その中に入っていたカプセルを一つ取り出した。


「この中には達夫さんにつけておいた虫の別種が入っています。この虫は宿主の発汗や血液循環速度が急激に変化すると宿主に危険が及んでいると判断し、特殊な周波数の音を発するんです。これをどこか良子さんの体の一部につけておけば私は良子さんの危険を察知することができます。」


そう言うと持っていたカプセルを机の上に置いた。その後リアはまたカバンの中からビー玉上の紫の石を取り出した。


「それとすぐ駆け付けられるように、この石を良子さんに渡してください。これは空間転移をする術を使うための座標のような役割をします。これがあれば、私は空間を転移してすぐにこの石のある場所に行くことができます。亡くなってしまってからでは私は良子さんを救えないので、何か理由をつけてでもこれを持っていてもらってください。」


達夫は「わかった」と言ってカプセルと石を受け取った。


達夫はリアの話を聞いて居ても立っても居られなくなり、とても仕事ができる状態ではなくなったので、会社を欠席して良子の病院に行く事にした。達夫はリアに仕事についての指示をし、リアは会社に、達夫は良子を迎えにそれぞれ向かった。

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