第10話 婚姻制度
日時: 12月17日(月曜日)
場所: 大野達夫の勤務先
「みんな集まってくれ!」
部長の掛け声に達夫は部長の方へ目を向けた、
そして達夫は目を疑った。
そこにはリアが立っていたのである。
「え〜今日から来年の新規プロジェクトをサポートするために、ヨーロッパ支部から応援がきました。ミス、リア クルルさんです。」
「おぉ〜」
リアがあまりに美人な上に可愛らしさを備えていたので、男の社員達からは声が上がった。
「リア クルルです。リアって呼んでください。短い間かもしれませんがよろしくお願いします。」
「おぉ〜」
リアの日本語に訛りがなく、あまりキレイな発音だったので、男の社員達からまた声が上がった。
「大野、お前がプロジェクトのリーダーなので、リアさんは大野の下についてもらうから色々教えてあげてくれ。彼女のプログラミングスキルは相当なものだと聞いているので、技術面には問題ないとは思う。よろしくな。」
「それと席は大野の隣に臨時に作ってくれ。以上。」
男の社員達からは達夫へ羨望の眼差しが送られ、達夫の顔は赤くなった。
リアは達夫へ近づいていき、小声で「びっくりしました?」と言ってウィンクした。
達夫はなぜいるのか訳を聞きたかったが、それよりも速く男の社員達がリアによってきて、リアは男の社員達に囲まれた。
「どこの国の人なんですか?」「髪が金髪だぁ〜」「すごい日本語上手ですよね?」「可愛いすぎる」「目が碧いぃ!!」「顔ちっちゃ〜い」「手足ながっ!」「今日は歓迎会だな」.........
「ほらみんな、困っているから仕事に戻ってください!!」と言って達夫は人集りを解散させた。
そして「リアさんちょっと」と言ってリアを休息所まで連れ出した。
<<休息所にて>>
「みなさん面白い方で安心しました。」
「て言うかなんで会社にいるの?また魔法かなんかで催眠でもかけたの?」
「いえ、ダミー会社を作って、半年かけてこの会社に買い取らせたんです。なので、ちゃんと実労しましたよ。」
リアは小悪魔的に笑った。
「これで、達夫さんといる機会が増えますね。」
「君には驚かされてばっかりだ。でもね、悪いんだけど、もう良子と結婚しようと思うんだ。今回のことでどんなに良子が大切なのかがわかったんだよ。昨日婚約指輪も買ったし。」
「そうですか...できれば私だけのものにしたかったんですけど、達夫さんがそういうのであれば、本当に良子さんは素敵なひとなんでしょうね。それはそれでいいと思います。」
「え?君とは結婚できないけど、諦めるってこと?」
「達夫さんのいう結婚は人間社会の婚姻制度なので、魔女たちにとっては何の意味もないんです。それよりも、魔女のしきたりにおいて達夫さんと契約できるかどうか、もっというと達夫さんが私を愛してくれるかが重要なんですよ。世界には一夫多妻制もあるんだし、同時に二人を好きになってもおかしいことではないのではないでしょうか。しかも貴方は『聖者』なので、ほかに女性が寄ってこないという方が不自然です。なので、私のことも好きになってくれると嬉しいです。」
「ストレートだな~やっぱりドイツ人だからかな?」
「いえ、
リアは可愛く笑った。
「それとなんですが...」
「うん、何?」
「達夫さんの部屋の隣に家を借りることにしたので、荷物の整理を手伝って頂きたいんですけど、仕事終わりに手伝って頂けませんか?」
「へ?うちの隣?」
「はい。となりを借りるのには少し魔法をつかいましたけど、日常の平和は壊していません。」
「積極的な行動には感服するわ。これで相当のことには驚かないかも。でも今日かぁ...良子の病院いって指輪を渡そうかと思ってるからなぁ」
「別にそのあとでも構いません。隣なので。それとプロポーズが成功したか報告してもらわないと。」
「うーん、わかった。病院から帰るときに連絡するよ。」
「よかったぁ。じゃーちゃちゃっとお仕事終わらせちゃいましょ。」
二人はオフィスへ戻っていった。
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