第4話 これは「運命」?


良子は都内の総合病院に緊急搬送された。

車に乗車していた人たちは車の安全装置で皆軽傷で、良子だけが重症だった。


病院に着くとすぐに緊急オペが開始された。


達夫は良子の実家に連絡し、2時間半過ぎに良子の両親がやってきた。


「達夫くん、良子は?」


「まだ手術中です。容体はいまのところまったくわかりません。」


丁度その時『手術中』のランプが消え、執刀医が手術室からでてきた。


「ご家族の方ですか。」


「はい」


「手術自体は成功しました。しかし良子さんは大量の血液を失ってしまったため、意識が回復するかどうかはわかりません。したとしても脳にダメージが残ってしまうことが予想されます。」


達夫の目からは枯れたはずの涙がまた溢れ出てきた。


「すみません、お父さん。もし自分が時間通りに駅についていたらこんなことにはならなかったはずでした... 」


今朝電話で話した言葉が思い出される。


「この埋め合わせはしてもらうからね...」


「なんでもするから、埋め合わせもするから、お願いだから戻ってきてくれ...」


達夫は自分を悔いた。


「達夫くん、そんなに自分のことは責めないでくれたまえ。事故に巻き込まれるなんて偶然だし、そうなる運命だっただけなんだから。」


「運命だっただけ? 運命..」

達夫の頭の中『』という言葉が駆け巡った。


「確か昨日も、夢か幻かわからないけど、バーで予め決まっている運命についてあの老婆に言われた気がする。もしかしたら、今回の事についてもあの老婆だったら知ってるかもしれない。魔女だと言っていたし、何か良子を助ける手段を知っているかも知れない!!」


自分でも何を馬鹿なことを考えているんだと思ったが、そう思うと達夫はいても立ってもいられなくなった。


達夫は良子の両親に


「もしかしたら良子を助ける手段があるかもしれません!!またすぐに戻ってきます!!」と告げて、昨日の記憶をたどり、バーのあった場所へと急いだ。


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