ホームカミング

男の顔に、大量のガラスと紙が突き刺さっていた事実が判明するまで。


「うおおおおー、やっちまったなあ」


彼、君を抱きしめる。


「ありがとう……」


少年は、

「おうい!」

と、

「おうい!」

少女の背中を支える。


「なんか、こんな世の中じゃ……お前みたいなヤツがいたらなぁー」

少女の肩に、少年が触れる。それはもう真剣そのものだった。

「そうか?」


少女は、「いや、でもさ、世の中にはいろんなもんがいるわけだ」


「ああ、そりゃ私もお前みたいな、いい男が現れたら……」


少年は、

「お前は、俺みたいになれないよ」


そして、

「そうか……」


彼は、「そう……」


「ああ、そういえば、なんかどこかで見たような……」


「あ、そうだ、あの家だ」


「お、私も見たあれが見えたんだよな」


「あの家!!」


「おお、あの家が見えたぜ」


「家が見えたぜ、これは神にでも祈る気持ちですかねぇ?」


「いや、まさか私もあの家があることを望む日がくるなんてな、いや、願いを叶えてくれたのはまさか………」


「ああ、見つけてしまったよ、あ、あの家だ、見つけてしまったよ!、どうしようかなぁ? ん、あぁ、これは……」


「あれ、なんか見覚えあるなぁ? あ、あの家だ、あれだ、あの家だ。なんでだ?」


「俺はあの家の前にいたよ、あの家だ、あそこにいるんだよ、あそこにいるっていうことは………。もしかして………」


「やっぱりあれ、あの家だろうなぁ」


「あの家だよなぁ、なんで俺こんなところを見つけたんだ?、もしかして俺ってば神に頼んだわけじゃないよな、神頼んだわけだからな、神とか信じてないよな」


「これはまさしく神様の御加護だったりするのかな、いやそれもあるのかも知れない……でも………」


そういうことだってあるのだ。それを俺が知って良い理由なんて、ない。


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