第45話
ニコーレさんと先頭に出る。
「すまない!先にこのおじちゃんに魔物を譲ってくれると助かる!!」
ニコーレさんは女性らしい高い声を張り上げ、言う。
「あぁニコーレ!任せたっ!」
「頼んだぞ!!ニコーレちゃんっ!!」
「ニコーレちゃん教育頑張れっ!」
「...ニコーレちゅぁんにもう一回教育されたっひぃぃ!!」
「今日もかわいいなぁ...」
ニコーレさんはおじさんたちに人気だな。
「ありがとう!!じゃあおじちゃんお手並み拝見するぜ!次の魔物出てから第一副作用までよろしく!!」
「...ぅわかりますたぁっ!」
ふっ、変な噛み方をしたが、ここで実力の片鱗を見せるか、ド素人丸出しで行くか、迷うところだな。
森の生活が長かったせいか、こう見えて私はかなり戦えると自負している。
あまり派手にやりすぎると目立ってしまう。
かと言ってド素人丸出しだと、もしかしたらニコーレさんに見限られてしまうかもしれない。
う〜ん。
...っまぁ、ここは、ニコーレさんすごくかわいいし、格好つけて、惚れさせてハーレムルートに突入するかね。
「おっ、早速出番だぜっ!」
「...では、行ってきます」
っ蹴散らしてくれるわぁぃ!!
剣鉈を握りしめ、魔物を迎え撃つ。
森で1ヶ月半魔物を倒しながら生きのびた経験は伊達ではない。
一人で入った時より、魔物が出てくるペースは早いが、弱い魔物ばかりなので、余裕を見せつけながら現れた魔物を討伐していく。
魔物を倒して次のインターバルまでニコーレさんの様子を見てみると、じっとこちらを観察してるように見える。
フフッ、私の実力に驚いているに違いない。
数体倒したところで地面が揺れ、目の前に穴が現れる。
「次...」
陣形の中心にいる長身の貴族が言うと、全員で穴を囲み、飛び込む。
次のステージもほぼ、私が魔物を倒して穴が現れたところで、第一副作用が発症した。
倒した魔物は合計で50体はいかないと思う。
ここまでニコーレさん含め誰も私を称賛する人はいなかった。
強すぎて、規格外過ぎて言葉もでないかな?
実力の片鱗を見せすぎてしまったか?むふふ。
むへっ。まずいな。
無双するつもりは無かったんだけどなぁ〜。
私としたことが、つい調子に乗ってしまった。
これは後で報告されて、ギルドマスターに呼び出されてSランク冒険者にいきなりさせられてしまうやつだ!!
まぁやってしまったことは仕方ない。
ひとまず副作用が出たことをニコーレさんに報告しよう。
「次!」
あ、あぁ...飛び込んだあとで報告するか
飛び込んで持ち直したところで、
「...ニコーレさん、頭が痛くなりました」
「...ゔぅ?あぁ...おつかれ...なんつーか、すごかったな...」
「「「............」」」
ニコーレさんも周囲のおっさんも私に注目している。
ふっふふ。
私の華麗なる戦いが凄すぎて周りも言葉出せないか。
まぁ無理もない。
これが魔物だらけの森の中で生きのびた経験ってやつだ。
「っむぁ、そぅ、それほどでもないですよ。皆これくらい出来ますよ。ッフ」
クッ!
我ながらものすごいドヤってしまった!
「.......い..いぁぁ...そういうことじゃなくて、...」
ん?ニコーレさんの顔が心なしか引きつっているような...
「...どどどういうことでしゅか?」
「...おじちゃんの動き、気持ちわりぃなーっつて...ハハ...ハ...ナァンツテ...」
「え?」
「ん?」
「......え?......気持ち悪い...ですか?」
「...」
「....ばばぉ....なすぁ....」
すごかったと言うのは、そっちの意味だったの!?
動きが気持ち悪くて誰も言葉を発していなかったのか!?え?
全然気持ち悪い動きしてるつもり無い!
むしろすごく格好良く動いてるつもりなんですが!?
「ぇわ?ゎの...そその、具体的に...どの辺が気持ち悪かったぇしゅくぁ?」
落ち着け!
「...ん〜ゔ〜、動きがなんなド素人丸出しなのに〜、なんかカッコつけてて、ドヤ顔でチラチラこっち見んなって感じ?きっんもいね!...ハハハ」
「ぁぉ...ぅななぁ...」
「...魔物の攻撃で死んだなと思ったけど、ギリギリで避けて倒せてるし、いいんじゃないのかー?と思ったんだけど〜...な〜んて言えばいいのかな、動きが?見ていて、ヌメヌメ?してるようなー...う〜ん...きもい...生理的に無理?とにかく、きもい。きもきも」
え??ヌメヌメ?
確かに見せつけてる気持ちはあったからいつの間にかドヤ顔していたのかもしれないが、
動きがヌメヌメってなに?
大きなめめのニコーレさんに蔑んだ目できもいとか言われちゃうと、ご褒美というか、むしろもっとください!
「てぇしかに見ねぇ動きだったな。どこの流派だ?それともただのへっぴり腰のド素人か?判断がつかねぇぬぁ」
「あぁ、とにかくドヤ顔でチラチラニコーレちゃんを見てるときは殺そうかと思ったぜ」
「防具も身につけてねぇのに、魔物の攻撃をスレスレで躱すとはいい度胸してるなぁ?てかぁ、時間もったいねぇからクソ雑魚の攻撃いちいち待たないでヤれや」
勝手に話しに入ってくんなおっさん共!
「...ニニコーレさん、こ、これは私が長年、森で生活をして独自であ、あみだした技術です。みみ見た目は悪いかもしれませんが...」
もちろん嘘です。
自分の身体の動きに食い付くとは思いもしなかった。てか、そんなにひどいのか!?
「そ!そうか!...そうだったのか!だよなぁ!あんな動きわざとでもできないよね!じゃ、その調子で頑張ってくれ!独自でやってんなら、戦い方に関して私から指導することなんかないわ!ハハ、ハハハ!」
ニコーレさん気不味そうにしているな。
申し訳無い。
「はい!あ、ありがとうございます!動きに関しては気にしないでください!主にお仕事に関する知識を教えてくれれば、だ、大丈夫です!」
「おーわかったぜ!じゃ、今度は私が戦うからおじちゃんは休憩な。その後地上に戻るから、それまで、皆に迷惑かけるなよ!」
「おじさん共、こっからは私が倒す!てぇ出すなよぉ!??」
おじさん共に振り向き天使みたいな笑顔で言い終わると、腰に差した小さな短刀を抜き、さらに前に出るニコーレさん。
「かっ、かわいいっ!!なんて可愛さなんだ!!…」
「ニコーレちゃぁ〜〜ん!!一緒に肉食べようぜっ!!」
「怪我しないように気をつけろ!!怪我をしたら俺が介抱す…」
「っぅはぁぁーっ!ペロペロしたいっ!全身ペ…」
「脇を嗅ぎたい!!はぁぁっ!ニコーレちゃんのワ…」
「っぱぁ〜んぬぁ声が可愛すぎる顔がかわいすぎるニコーレちゃんに全てを捧げたいニコーレちゃんのためなら神を敵にまわ…」
「あぁぁぃまぁので蓄積されていたものがデ、デルゥ…」
全体的にやべぇやつらだ。
てか最低なやつらだ。
その言い方は紳士ではないな。
気持ちは全面的にわかるが。
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