第27話
西通りの公衆浴場へ向かい、到着した。
「おぉ〜...すごいな」
目の前に立派な石造建築があり、高さは3階建て位。
この街の経済力を誇示するかのように、高くそびえ立つ屋根を支える円柱がいくつも並び、びっしりと彫刻が施されている。事前情報が無ければ、ここは神殿だろうと勘違いしていたくらい、立派な造りだ。
まぁ見た目は街の中心にある公共広場とほぼ同じなんだが。
こんなところが無料で使えるなんてすごい!
中へ入り、剣鉈を預け、代わりに札をもらう。案内に従い男性の建屋へ進み、身体の汚れを落としてから湯に入る。
もちろん石鹸も無料!
しかも24時間営業しているそうだ。
ついでに服を洗えるコーナーがあったので服も洗っておき、常時焚き火で熱している乾燥室というのがあったので、そこで服を乾かしておく。
公衆浴場を堪能し、疲れも癒やしたところで、外に出た頃にはもう辺りは真っ暗になっていた。
「いやぁ〜お風呂使いたい放題とか最高だなぁ!」
夜のひんやりとした風が火照った身体を冷やしとても心地が良い。
では、お給料を受け取りに商業ギルドに戻るか!楽しみ!
「はい、こんばんは。換金ですね?少々おまちください」
商業ギルドまでやってきた訳だが、防水性のある袋が買える値段位になってほしい。
「お待たせいたしました。合計で3500アウルムです」
それがどのくらいなのかまったくわからないな。硬貨を受け取る。
銀貨3枚に銅貨5枚。
だいたい分かった。
「はい、ありがとうございます」
お金を受け取り、今度は商業ギルド正面左側の商売の事ならなんでも相談窓口へやってきた。
「こんばんは。どのようなご用件でしょうか?」
これまた綺麗なお姉さんだぁ...
「えぁ、あはい。実は、内側が防水性がある背負えて私の体と同じくらいの大きさの袋がほしいのですが...どこかそういうお店はございますか?用途は新鮮なお肉とかを中に入れて持ち運びたいです」
これがあれば、狩りの時に内蔵とか単価が高い物だけ持ち運べるようになって効率的だ。
「水筒みたいなものでしょうか?移動の必需品ですので、あるかと思います。西通りの武器、防具店で取り扱っていると思いますので、そちらの店主に相談されてはいかがでしょうか」
「わかりました。ありがとうございます。助かりました」
西通りね。
いつぞのドワーフに聞いてみるか。
と言う訳で西通りのドワーフの店の前まで来た。
「んだぁ?この間のおっさんじゃねぇか?また冷やかしか?んん?ッペっ!!」
相変わらずだな。
「いや、今日は相談があって来た。中へ入っていいか?」
「相談ねぇ?まぁ入れ」
「それで相談とはなんだ?」
「あぁ、実は魔物の内蔵とか、入れられて、入り口を閉められる防水性のある袋がほしいんだが、あるか?」
「どのくらいの大きさだ?」
「私の上半身より少し小さい位であれば十分だ」
「それなら材料もあるから、今からでも作れるが、どうする?」
「因みにいくら位掛かりそうだ?」
「...そうだなぁ...う〜ん...2000...アウルムあれば作れるが?」
しまった!!
物価を調べるのを忘れてた!!
2000とか言われても、妥当なのかわからん!!
まぁぶっちゃけ、泊まれる宿と日々の食事が出来るお金さえあればいいと考えていたから、お金にそこまで興味が無かった。
考えてみれば、ふっかけらない程度に物価を調べる程度のことをするべきだった。
くそぅっ!!
「別に今から作れとは誰も言っとらんが?その2000に夜間割増が入ってるだろ?明日作業に取れかかれば問題あるまい」
「...1700だ。っぺっ!!」
「そうか、わかった。1700で手を打とう」
「はいまいどあり!ヘヘッ」
ドワーフが僅かながら顔をニヤけさせ、ご機嫌になる。
そうだと思ったよ。
「こちらこそ、本当にありがとう。今晩はとても良い取引が出来た」
「あぁ!こちらこそだぜぇ!」
「商業ギルドに相談しといて良かった。明日出来上がった品を相談に乗ってもらった人にお礼ついでに見せにいかないとなぁ...楽しみだなぁ...」
「っへぅ!?まま待ってくれ.........よ、よく考えたら大きさの計算が間違えてたぜっ!せ、1000アウルムで作らせてもらうっ!っぺぇっ!!」
調子の良いやつだな。ムカつく。
「そうか友よ!1000アウルムで作ってくれるか!!そうかそうか!本当にここのお店に頼んでおいて良かった!!いやぁ〜安くしてもらってなんか悪いなぁ。...かなり安くしてもらったお礼にと言ってはなんだが、商業ギルドには1000アウルムの商品をあわよくば1700で売ろうとしていたとも伝えておくよ。なぁに、気負うことは何もない」
「っす、すまなかった!!ひゃっ!?ひゃっぱ、850で勘弁してくれぇっ!」
最初からそのくらいの値段で売っとけぇ!
クソがぁっ!!
「...いいだろう。明日の午前中に受け取りに来る。代金は現物を受け取ってからでいいね?」
「明日の午前中だな?完璧に仕上げてやる」
「完璧に仕上げていないものは売り物にするな」
「っんなことしねぇよ!!失礼な!」
「ならいいが。ではよろしく頼む」
ドワーフの武器店を出て、いつもの南城門外の道端で横になる。
身体がきれいになってベトベトがなくなったので、快適だ。すぐに寝れそう。
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