第21話

説明された通りに進み、魔物窓口に到着。

客、従業員、誰もいないようだ。


「あの〜...すみません!お話が聞きたいのですけれどもっ!」チンチンチンチン~


窓口に置いてあるベルを鳴らす。

魔物コーナーに人がいないというのは平和ということなのかな?


「すみませーん!」ティンティン~


「…〜ぃ…ます〜。......はい!換金ですね?」


また綺麗なお姉さんかよ!

だが、窓口カウンターのへだたりがありますので、大丈夫ですね。


「いえ、換金?ではないのですが、魔物の買取基準についてお話をお聞きしたいと思いまして、どなたか対応できますでしょうか?」

「それでしたら、私が説明いたしますね。こちらへどうぞ」


まずい!対面式か?

お姉さんの身が危ない!

おじさんから守らなければ!


「いえ!この場で大丈夫です!ざっくりとご説明していただければわかると思いますので!!」

「そ、そうですかぁ。......では、ご説明いたしますね」


お姉さんはちらっと私の後方を見て、客がいないことを確認する。


「魔物の買取に関しては、まず、基本的に腐っていない魔物から、というのが前提条件です」


そ、それは当たり前じゃないのか?


「そのうえで、魔物の皮、骨、肉等々、部位別で重量単価が決まっておりますので、血抜きした状態で持ってきていただければこちらで解体し、査定いたします」


意外と余すことなく買い取ってくれるのね。


「腐っていない系の魔物でしたらいたんでいない限り何でも買い取っておりますので、どんどん持ってきていただけると幸いです。合わせて血液も容器に詰めていただければ買取ります」


買取基準が低くて助かる。

兵士がある程度強いやつじゃないと買い取ってくれないとか言うから、心配したけど、大丈夫そうだな。


「また、野生動物に関してはご存知かも知れませんが、世界がせばまり、数が少なくなってきております。野生動物の狩猟は国で禁止されております。野生動物の殺傷は重罪となります。終焉の日まで、共に暮らしていく仲間です。くれぐれもお間違えのないようご注意ください」


そうなのかい!?それは可愛そうだ!!

ここの世界の全生物がそうか...


「心得ております!おまかせください!」

「はい。お願いしますね。昆虫だけは例外です!見つけたら即座に殺しましょう。買取はしておりませんが」


お姉さんがにっこりと微笑む。

可愛すぎる!

昆虫苦手なのかな?

窓口カウンターが無かったら、私が野生動物に豹変していたところだった。


「それで、討伐した魔物をここまで持っていただくと皆様にご迷惑をお掛けすることになりますので、ギルド入り口とは反対側にある魔物解体窓口で預かっております。そちらで魔物と引き換えに、引換券を受け取り、一日後、こちらの窓口で引換券を渡していただければ、金銭をお渡しいたします。引換券は三週間有効ですので、ご都合の良い日にいらしてください。説明は以上となります」

「わかりました。因みになんですが、買取価格が高い部位とかございますか?また、この辺でよく出現する魔物を丸々一匹買い取っていただけた場合、ここの食事に換算すると何食分くらいの価値でしょうか?」


価値の高い部位だけ集めて持って帰ったほうが効率的だ。

相場が全くわからないけど、この聞き方ならいちいちどれがいくらとか聞かなくて済む。


「そうですね〜...平均的に内蔵系ですかね〜?血液も高いです。それと、魔物丸々一匹ですと、そう、ですね...二日か三日分位でしょうか?」


内蔵系ね。

魔物一匹で意外と食っていけるな!よかった!


「わかりました。後、二つ確認したいことがございます。一つは、魔物の見た目とか情報が調べられる場所はございますか?」


これが、一番重要だよね。

即死級のヤツと知らずにエンカウントしたらゲームオーバだ。


「それでしたら、図書館に行けばわかります」


さっきちらっと見たな。


「わかりました。2つ目は、魔物を狩って生計を立てている同業者は何人ほどいるかわりますでしょうか?」

「もし、お客様が魔物狩りだけで、生活していらっしゃるのならば、お客様お一人ということになりますが...」


なに?どういうことだ?


「...魔物の素材を納品しているのは、どんな方々でしょうか?」

「街道を巡回してくださっている、兵士の方々です。個人だと狩りを趣味としてる方が一人二人程度です。他の街に出たことがないのでわかりませんが、この街で危険を犯してまで魔物を狩る方は、ごく少数です。基本的に兵士の方々がやっつけてくれているので...あとは...商人の護衛がお仕事で倒した魔物を売りに来るくらいでしょうか」


なんだと?

異世界と言ったらアレのアイツらはどこにいきやがった?


「なるほど...そうでしたか。つかぬことをお聞きしますが、冒険者ギルドと呼ばれる組織はありますか?」

「冒険者ギルド?ん〜〜...冒険者なのにギルド...?世界が閉ざされているのに冒険?......あ!巡礼者、旅行者のことでしょうか?......すみません。よくわかりません」


お姉さんは一生懸命考えてくれていたが、様子からして無いだろうな。

兵士が魔物狩りの役目を担っているということなのだろうね。


「いいえ、やっぱりなんでもないです。気にしないでください。色々とご親切にありがとうございます」

「いいえ。後は気になることはございますか?」

「特にございません。ありがとうございました」

「わかりました。魔物狩り、気をつけてくださいね。では、終焉の日まで」

「......ぁうぁ...」


なんて返すが正解なんだ?


まぁとにかく、よくわかった。

お姉さんに頭を下げ、ロビーに戻り、目立たないところの椅子に腰掛け、くつろぎながら考える。




さて、収集した情報を元に魔物狩りの戦略を立てると、

・街道から離れすぎない、離れると敵強いおそれ

・腐ってるやつ売れないだめ倒すだけ

・内蔵持って帰る売る

・魔物狩って赤霧を蓄積をさせる

・頭痛めまいしたら副作用だから帰る

・レベル上げる

・野生動物だめ

・様子がおかしい魔物に近づかない

・綺麗なお姉さんに近づかないだめ


おじさんの戦略はこれが限界。

その先はレベル上げてからどうするか考えるか。

あ、そういえば、蓄積したら捧げなきゃいけないじゃん。

祭壇場にある代表的な4系統の悪魔にするか?

それも蓄積させてから考えるか。

おじさんの体がどういう戦い方が合ってるかもよくわからないし。


小太りおじさんだと近接戦はつらいのではないか?でも重装兵すごい速かった。

レベル次第なのだろうね?

小太りのイメージは、魔法使いな感じかな。


いかにも魔法使いなローブを小太りが身にまとい、ゆったりと詠唱することによって大物感をかもしだす。そして、力強い魔法を放ちそうだ。

『くそぅっ!!全然刃が立たねぇ!!このままだと餌になっちまう!おおおっさん!!どうせ何かやべぇの隠してんだろ!?』

『勿体ぶってんじゃねぇ!おっさん!!』

『.....っく....あんまり呼びたくないが...この状況ならば、仕方あるまい...15秒だ。......それで仕留めるっ!』

『そうこなくちゃな!てめぇら聞いたか!10秒だぁっ!腕の一本くらいくれてやらぁぁ!この化け物めっ!!!』

『ふんっ、むぅちゃいってくれるわぁぃ............漆黒の堕天使ネグロ・アザバンチェ・デ・アンヘル・カイド............煉獄を這い上がりツレパァ・ア・インフィエルノ.........今宵はエスタ・ノーチェ........................いい星空ですね......』


だめだぁ。今日良いのが思いつかなかった。

呼びたくないとか言ってる時点で召喚士じゃん。魔法使いじゃないじゃん。

今日の脳内厨ニング調子悪いな。

全然厨ニ心受信できなかった。

はぁぁ...途中までは、気持ちよかったんだけどなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る