第20話
「それでは、ご説明いたします」
「よろしくお願いいたします。セイノスケと言います」
「それではセイノスケ様、施設の使い方をご説明いたします。まず、入って前方に見えたかと存じますが、窓口では、様々な品の売り買いが出来ます。窓口係の上にある看板が見えますでしょうか」
立ち上がり、仕切から顔を出して窓口係の頭上を見ると、木の絵や石、防具に剣、穀物なぞ、様々な絵が描かれている。
「該当する窓口に並べば売り買いの手続きができるということですか?」
「そのとおりでございます。売り買いの詳細はいかがなさいますか?」
「それはまた今度で大丈夫です。それより、魔物の買取はどんなふうに行えばよろしいですか?」
商人になる気は今のところ無いし、利用しないかな。
「魔物の買取は正面の窓口から向かって右手の階段を降りていただきますと、魔物素材の買取窓口がございます。詳しい説明は、そちらで聞かれたほうが早いかと存じます」
「わかりました。ありがとうございます。こちらの施設は他に、どんなことができますか?」
「はい。仲介業務、代行業務となりますが、護衛の手配・契約業務、犯罪奴隷の手配・契約代行業務、賃貸契約、家屋、土地購入手続き、家具、防具等々の特注品のご相談まで、その他、諸々ございます。金銭の預かりも行っております。詳しくは正面の窓口から向かって左手の階段を降りた先に窓口がございます。全て王国、領主から許可をいただき、民が極力不利益にならないよう運営しておりますので、ご安心ください」
おーすごいね。
なんでもやってるということか。
「大体わかりました。ありがとうございます」
「いえ。では、商業ギルドをご利用されるなら、商業ギルドが発行している個人番号を発行いたしますが、よろしいでしょうか?」
「...個人番号とはなんでしょうか?」
「はい。個人を特定するために発行している番号です。こちらを発行いたしますと、自動的にセイノスケ様の銀行口座も開設されます。金銭の預かり、引き出しの際にも発行した個人番号を使用いたします。こちらが見本です」
おじさんが懐から取り出したのはトランプほどの大きさの厚めの紙切れ。
そこに、表裏にびっしりと小さな数字が印字されている。
マイナンバーカードね。
「発行に手数料はかかりませんし、発行したからといって、セイノスケ様に不利益になるようなことはございません。
まじで!?やばすぎ!お金貰えるの!?
太っ腹な街だな!
「いえ。お気になさらず。それでしたら是非、発行をお願いいたします」
「他に聞きたいことが無いようでしたら、発行いたします」
「あ、つかぬことをお聞きいたしますが、終焉の塔までここからどのくらい掛かるか、ご存知であれば、教えていただきたい」
「そうですね...天候に左右されますが、早ければ馬車で二週間より少し早いくらいじゃないでしょうか」
この世界の馬車が一日どのくらい移動できるのかわからないが、二週間ならそこまで離れていないのか?
一日40km移動できたとして...
計算苦手だからいいや。
「わかりました。ありがとうございます」
「いえ。では、発行手続きをして参りますので、少々お待ちください」
待ち時間の間、打合せ場所から出て、
視界の端に、先程の綺麗なお姉さんが時より私のほうをチラ見しているような気がする。
いや、絶対に勘違いだろうね。
自惚れるなクソが。落ち着け。
そんなこんなで、かれこれ待っていると、
さっきのおじさんが戻ってきた。
「セイノスケ様、お待たせいたしました。こちらが個人番号でございます。後はこちらの石を握っていただければ、登録が完了いたします」
個人番号の紙切れを受け取り、言われた通りにお盆の上に乗せられた石を握る。
「はい。離していただいて結構です。登録は完了いたしましたので、特に無ければ、これにて失礼いたします」
「はい。ありがとうございました」
「では、終焉の日まで」
「...?」
なにかの
商業ギルドおじさんは頭を下げ、立ち去っていく。
次は生活の基盤となる魔物買取窓口に行こう。
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