第17話
「
「終焉というのは、深淵の赤霧によって世界が覆われることさ。赤霧に支配される前の世界は今より数千倍広いと言われている。世界の果てから湧き出たとされている赤霧が何千年、何万年もかけて、世界を徐々に覆い、今も侵食を続けている。赤霧に飲まれた場所がどうなったか知る術がないが、この世界の大半は深淵の赤霧に覆われている」
終焉に向かってると思えないな。
街の活気を見ると余計に思う。
みんな活き活きとしてるが。
「深淵の赤霧を止める方法は...?」
「無いだろう。ここからどの方向に向かってひたすら歩いても、いずれは、深淵の赤霧の壁に当たる。赤霧通過しようとすれば、一気に蓄積され、第七副作用どころではない。身体が爆発するか、ドロドロに溶けるか、霧のように風に吹かれて無くなるかだ。もしかしたら、赤霧の向こう側は晴れていて、普通に暮らしていけるのかもしれないが...どうにも調べる手段がない」
なんだよ!触れたら即死とかクソゲーだ!
「逃げ道なども無い。唯一、この大陸の一部がまだかろうじて残っている状態だ。だが、日々狭くなってきているのさ」
「バカな...もしかして、朝日が赤いのって...」
「そうだよ。夕日が赤黒いのもそうだ。太陽の光に照らされた深淵の赤霧で空が染まるのさ。すぐそこまできている。だけど、この街に赤霧が到達するまで、急激に迫って来るような事がない限り、千年以上はかかるはずだ。人間の君が今すぐ心配することではけど、油断はできないね」
なんでよりによって滅亡寸前の異世界に転移させやがった!
もし、弱った何らかの神が私を転移させたのならば、死にかけの中途半端のなけなしの力で適当に転移させるな!!
この世界を救ってほしくて転移させたのなら、せめてチートスタートだろ!!
どう考えてもチート能力案件だ!!
この世界は、一般異世界人がなにをどうやっても手に負えないだろ!!
「...また、急激に深淵の赤霧が迫ってくることもあるということですか?」
「周期はわからないが、あるよ。今、赤霧がいる位置が急激に迫った後なのだけれど、二百年前、まだあと千年は大丈夫だろうと
「そ、そんな...」
「まぁ、正直なところ、またいつ急に迫ってくるかわからない。二百年前の教訓は、人生悔いの無いように毎日、全力で生きることだね。セイノスケ君」
「わかりました...ありがとうございます......」
もしかしたら、今日か明日にでも深淵の赤霧が迫ってくる可能性があるということか。
「記憶喪失にはひどく怖い内容だったね。他に聞きたいことは?」
「いえ、そんなことは。ありがとうございます。話は戻りますが、能力強化のお話で先生は代表的な神と仰っていましたが他にも能力強化をしてくれる神?悪魔?がいるということですか?」
「うん。いるよ。祭壇場にある代表的な悪魔は強化してくれる系統がはっきりとわかっているのと違い、何を強化してくれるのかわからないから、あまりおすすめはしないよ。なにより、その得体の知れない悪魔に捧げてしまって、大した能力強化もしてくれなかったとしたら、悲惨だね」
自分だけのマイ悪魔を見つけたとしても、ハズレを引いてたら、一生変更ができないのはきついから、無難な得体の知れてる代表的な悪魔にしてねってことか。
「なるほど。ハズレを引く危険性があるということですか。因みになんですが、どうすれば他の悪魔に深淵の赤霧を捧げることができますか?」
「それは悪魔ごとに違うからわからない。ただ一つ言えることは、赤霧を蓄積をした状態じゃないとだめだということだ。後は悪魔の気まぐれ次第と運だね」
「なるほど。蓄積量をどんどん増やせば悪魔に繋がりやすいとか、感知されやすいとかはありますか?」
「それはわからないな。理屈でいえば増やせば気づかれやすいのだろうけど、それは私達がきっとそうなのだろうという勝手な思い込みであって、悪魔が私達と同じ思考とは限らないよね」
いずれにしても、魔物を討伐して蓄積してからが本番と言う訳か。
「わかりました。先生、色々と教えていただき、ありがとうございます。聞いてばかりで申し訳ないのですが、最後に、深淵の赤霧の終点となる場所をもし、ご存知であれば教えていただけますか?万が一、急に赤霧が迫ってきた時の避難場所として知っておかないとな〜って思って。ハッ、ハハハ〜...」
まじで、そう。
というか、
今すぐそこに行きたいくらいだっ!!
「そうか。賢明だね。この世界で最後に赤霧に覆われるであろう場所は、終焉の塔が
深淵の赤霧がその塔に向かっているということか?
「終焉の塔...赤霧がその塔を目指しているということですか?その塔は何の施設ですか?都市が出来るほど重要な施設ですか?」
「偶然かもしれないし、必然かもしれない。終焉の塔が元々なんの為にあるのか、誰も知らない。中に入ることができて、たくさんの魔物が湧いている。見た目は塔なんだけど、探索すればするほど地下に潜っていく。その先に終焉から逃れる道に続いていると信じている者も多く、探索は三千年以上も前から積極的に行われているが、成果は乏しい」
いかにも異世界キター!!
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