第14話

っふん。

ゆるさんぞ、ゆるさんぞぉぉっ!!!


「わ、わたしは、っはぁ、はぁ、このあと、いったい、なにを、されるの、でしょうか?また、拘束されて...怖い...ぁあ...衣服、ボロボロに...あぁ...もう、だんめだぁ...」


苦しそうにしながらも、今後の事を考え絶望しているかのように、呆然としながらも、頑張って小刻みに震わせた手を見つめる、

演技をする。


「た、たいへん申し訳ございませんでした!体調は大丈夫でしょうか!?もう怖い思いは絶対に致しません!落ち着いてください!」


兵士はゆっくり私の方へ歩み寄り、同じように膝立ちになり、両肩に手を置かれる。


っなぁに気取ってんだ!間違えたクソが!!ゆるさん! 


「っはぁ、はぁはぁ、ほん、とう、でしゅか?」

「はい!!破損してしまった衣服はこちらで新しいものを至急ご用意いたします!隊長から事情は伺っておりますゆえ、宿は既に手配してございます!まずは、お怪我の手当てさせていただけませんでしょうか」


その程度の事で許されると思うなよ!

コイツ許さん。

ゆるさぁん!!


「あぁ、自分でもどこが怪我してるのかもわからない。至急手当てをしろ」

「は、はい。ささ、どうぞ、こちらへ。ご案内致します」


兵士は立ち上がり、目的地であろう方向に腕を差し出し、反対の手は後ろにやりながら、腰を曲げ、私に頭を下げる。


んだと!?んんんだァァとぉお!!!??

どこまでもムカつく野郎だっ!!

何気取ってんだ?


やってやる上等じゃぁあああ!!!!!








////////////////////

ステータス

名前:36歳童貞おじさん

レベル:45/45

HP:19/19

MP:69/0721

スキル:無

状態

童貞マジシャン

気狂いクレーマー

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

                ※嘘です







「貴様ァ...どこまで勘違いすればそんな言葉が出てくるのだ?誰がしろと言った?私は至急手当てしろと言ったんだ。無能にも程があるぞ?」

「は、はい?」

「はい?じゃねぇだろ?勝手に早とちりして怪我させておいた挙げ句、どうぞこちらへだと!?どぅぞこちらへぇだぁとぉうっ!?!?キッサマァ!!ナメてんのか!?えぇ?」

「.........ぅわ、私の理解力が浅く、お考えを理解することができませんでした。愚鈍ぐどんな私に、わかりやすくご説明していただけないでしょうか」

「頭は回らんくせに口だけは達者だな!!頭が悪いなら言葉遣いも相応のものにしとけぇっ!!見苦しいぞ!!」

「返す言葉もございません」

「いちいちしゃくさわるやつだ!」

「大変失礼いたしました」

「貴様ァ、言わせてもらうが、勝手な勘違いで無力な一般人を話も聞かず、無理やり押さえつけて、武力で物事を解決しようとするその魂胆こんたん反吐へどが出るわ」

「大変もうし「怪我!させておいて、怪我させた人の身体の状態もろくに確認もせず、骨折してるかどうかも確認もせず、"あっちで治療するから付いてこい"とは、貴様ァ、頭が腐ってるのか?貴様が怪我させたのだから、貴様が手当てできる方をここに連れて来るのが誠意せいいじゃないのか?医学的な知識も無いくせに、よくもまぁ、無責任にと言えたものだな?貴様が得意げにとやらをしてる間に私の容態が悪化して倒れた場合、貴様に責任取れるのか?取れないよな?口だけはよく動かせる、そのウジが湧いた頭じゃあ。人をナメるのも大概たいがいにしとけぇ!!貴様のことだ、自分が発した気取った言葉遣いととやらに夢中で、後ろで人が倒れても気付かないだろうよ」」

「っそ!そんなこっ「っどうせろくに考えもせず、また早とちりして"間違えたから早く連れて医者に治療してもらおう"としか考えてなかったのだろう?早とちりの反省をしたばかりの貴様は、その数秒後にまた早とちりとは、どうしようもないな。脳みそと口が別々の生き物なのか?この場合、兵士と兵士ごっこをしていた人を見分けられなかった、私が悪いのか?」」

「わ、わたしは「人の話をさえぎるなっ!貴様ァァ!!全く懲りてないようだなぁっ!!人の話しも聞かず、さえぎった後、どうなったか、その腐った脳みそは、もう忘れたのか?なぜこういう状況になっているのか、理解できてるのか?あぁ??」......」

「兵士の真似まねごとはやめて、盗賊をやったらどうだ?貴様の特技、早とちりが、存分に発揮できそうだから、貴様に向いてるよ。あれ?失礼。私としたことが。盗賊に転身しても、肝心なときに早とちりしてすぐ捕まるか。あぁ〜そうだった。早とちりが特技の貴様は何やってもだめなんだった。ハハっ」......」


「セーノスケ殿。このたびはご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。あとはこちらでヤツの処遇を決定しますので、どうか、落ち着いてください。」


どこからかやってきた別の重装兵?になだめられるおじさん。


「あ?...あぁ...言い過ぎたとは思わないが、昨日からこの街に来てろくな目にあっていないのでね。怒り爆発してしまったよ。ありがとう。だか、そこの頭にウジ湧いてるヤツは許さないがね」

「はっ。ありがとうございます!では、至急手当できるものをヤツに呼ばせます。服もすぐに新しいものを用意します。今しばらくお待ちを」

「面倒をかけてしまってすまない。頼む」

「とんでもないことでごいます。むしろ、ご指導いただき、ありがとうございます」

「あぁ...」


これで悪目立ちしなければいいのだか。

はぁ...疲れた。


「おい!なにボサッとしているっ!今の会話聞いてただろう!さっさと医者を呼べ!ついでに衣服も持ってこい!!クソが!」


重装兵はウジ野郎に大声で指示を出す。


5分位、体育座りで倒された場所に動かずにいると、ウジ野郎と医者らしき人が戻ってきた。


「お、お、お待たせいたしました。セーノスケ殿...」

「...」

「では、患者の手当てをさせて頂きます」


「......あー、これはかなりひどいですね。よっぽど激しい喧嘩でもしたのですか?じゃなきゃ、ここまで傷口が開くことは無いですよ〜」


どうやら、叩きつけられた衝撃と地面に押さえ付けられた力で、右側のこめかみが、ぱっくりと切れ、押さえつけの力でさらに広がってしまったという。

あ?このウジ野郎、こんな状態で医者まで連れて行こうとしていたのか??


あぁあああ!!許さない!

また怒りがぶり返してきた!!!


「貴様ァ!!よくもセーノスケ殿がこのような状態になるまでやってくれたなぁっ!セイノスケ殿が言うとおりお前は兵士など向いておらぬ!!前々からお前の気取った気に入らなかったのだ!引き継ぎをちゃんと聞かないからこうなるのだ!!即刻兵士をやめたまえ!!」


私がまた、ウジ野郎に説教しようと思ったら、重装兵が気持ちの代弁をしてくれた。


「笛を吹く判断を誤ったお前に全責任がある!」

「わ、わたしは......も、申し訳ありませんでしたっ!!!セーノスケ殿!」

「.........」


医者のおじちゃんは手慣れた手付きで、丁寧に、こめかみが切れたところを縫い合わせ、優しく身体のあちこちにできた擦り傷を綺麗にしてから、塗り薬を塗っていく。


「よし、これでもう大丈夫だ。5日後くらいに私の診療所に来てね。状態が良かったら抜糸するから」

「先生、行きたいのは山々なんですが、訳あって一銭たりともお金を持ち合わせていないので自分で適当に抜いときます。糸適当に細かく切って、抜いとけばいいんですよね?」

「......あ、あぁ...そうか...すまん「ッカネならそこのウジ野郎に払わせればいい!喜んで出すよな?あ?」...」

「っもちろんでございます!!セーノスケ殿!お金の心配はいりません!!先生!私にツケておいてください!」

「そういうことならわかった。では5日後、忘れずに来るように。東の大通りに入ってすぐのところにあるから、行けばわかる。では、失礼するよ」

「「ありがとうございました」」


そもそもあいつが早まらなければこんな事にならなくて済んだのに。


「それで、服は?」

「はい!こちらです!通行証も!」

「あぁ、それより先に、私の大事な剣はどうした?」

「あ、少々お待ちください!...こちらです!」


剣鉈と新しい服、通行証をウジ野郎から受け取る。


「では、私はもう疲れたので寝る。重装兵殿、ありがとうございました」

「いえ、当然のことをしたまでです」

「セ、セーノスケ殿!この度はたいへ「おいクズ野郎。頭が悪いなら言葉遣いも相応のものにしておけとセーノスケ殿に言われたのを忘れたか?このクズが」...ごめんなさい!セーノスケ殿、宿は取ってありますので、ごあんっ...いきましょう!!」

「っふん。貴様の施しは受けない。当初の予定通り城門の外で寝る」

「...そ、そんな...どうか、許してください!」

「セ、セーノスケ殿...流石に外というのは...どうか宿で休まれてく...」


私はその場で服を脱ぎ捨て、新しい服に着替える。


「こ、更衣室はあち「ん?重装兵殿、それは大丈夫だ。この街に入る前に、ここの門兵に言われた通りに全てをさらけ出して、ケツの穴まで皆にちゃんと広げて見せてから街に入ったんだ。広げて見せたとき、空気も一緒に入ってしまったのはいい思い出だ。とにかく、街の皆から称賛を受け、街に入るお許しが出たんだ。今更、私の裸を見たところで、何の問題にもなるまい」.....ぁぅ....................っそんなことしたヤツはだれだあああああ!!!今すぐ出てこいっ!!」

「き、昨日の出勤記録を見ればわかるかと.......」

「さっさと確認にいけ!」


新しい服に着替え、兵士たちのやり取り無視して城門を抜けると、

右端の視界に私のことを押さえつけていただろう重装兵?が、こちらに向かって片膝を地面につけ、右手を胸の前に置き、左手を後ろにやりながら、頭を下げている。


私は片手を上げ、気にしてないと合図する。まぁ、彼は言うとおりに仕事をしただけだからな。


城門から30m離れたところで、雑草が生い茂っている道の脇に古い衣服を敷き、横になる。


城門から怒鳴り声が聞こえるが、それなりに離れているので何を言っているのかは、わからない。


今日は色々とありすぎた。

すぐに眠くなり、次第に意識が遠退とおのいていった。

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