第13話
西商店街を抜け、中央の
そして今気が付いた。
人の表情までは近づかないとわからないが、
遠くの人も見えるくらい明るい。
なぜだ?
辺りを見渡しても側道にポツポツと赤暗いランタンは灯されていて、薄っすらと側道と商店街の各店の看板などが照らされおり、とても幻想的でずっと眺めていたい気持ちになるが、この街全体に青白く照らされている光はなんじゃ。ランタンの光とは違う色だ。
まさかっ!
おじさんは上を見上げる。
「月でかっ!!」
地球の10倍はあるではないか。
とても綺麗だが、見慣れないので、なぜかうまく言えないが、恐怖を感じる。
「ハハッご機嫌だな酔っ払い。っどけっ、道の邪魔だ!っじゃっまだぁっ!!」
しまった。また独り言を。
後ろから、酔っぱらいのおじさんが私の肩を自分の肩でぶつけ、どかしてくる。
これだからおじさんは。
っやかましいっ!!おめぇも邪魔だっ!!
負けじと、こちらも肩で酔っぱらいおじさんの肩を押し返す。
お互いに意地になって肩を押し付け合って歩く。
肩おじさんがなかなか離れないので、仕方なく肩にくっつけ、街を歩くことにする。
中央広場から南の商店街を抜け、
昨日から今日の午前中にかけて拘束されていた、南の城門までやってきた。
肩おじさんはいつの間にか途中で曲がったので、いない。
流石にこの時間から出て街道に行く人はいない。が、大きな馬車と護衛を引き連れて外からやってきている金持ちそうな商人もいる。
ん?このまま城門から出て、明日の朝また街に入るとしたら、流石に服装も現地のだし、丸裸検問にはならないけど、検問されるのかな?
通行証的なのもらっていないけど、どうやって確認してるのかな?
「あの、すみません。午前中ここでお世話になったセイノスケと言います。お尋ねしたいことがございまして、今、お時間よろしいでしょうか?」
城門で暇そうにしていた兵士を選び、話しかける。
「ん?どうかしました?何かお困りですか?」
優しそうな兵士は笑顔で対応する。
この人なら大丈夫そうだ。
「はい。今から街を出て、その辺で朝まで寝ようかと思っていたのですが、明日の朝、検問されずに入れますか?」
「うん?その辺で寝る...ん?もう街に入れているということは検問はお済みということですよね?検問の時に渡された通行証をご提示していただければ、そのまま通過できますが」
なに!?やっぱり通行証あるじゃん!
もらってないし!変態門兵の野郎!!
「え?いただいておりませんが」
「え?」
「え?」
「「......」」
兵士は何を思ったのか、顔から笑顔が消え、腰にぶら下げてる剣に手を掛けた。
え?これ絶対に勘違いされてる雰囲気。
「どうやって、何の用で街へ入った?」
怖い怖い怖い!!怒らないで!
「ちちちちがいますぅっ!!わわわたしはこの街にきのっ「話し合う気があるなら、ゆっくり腰の剣をこちらに投げ捨てろ。話はそれからだ」...」
「ままま、まずは、話を聞いてく「話は剣を捨ててからだっ!!妙な動きをしたら即刻切り捨てる...」......はい」
この人もやばいひとだ!
この街にまともなやついないのか!!
愛刀の
「よし、そのまま、5歩後ろに下れ。ゆっくりだ」
言われた通りにする。
私からは目を離さずゆっくりと兵士は剣鉈を回収し、首にぶら下げている笛を唇に挟む。
「ピッピッ、ピュイッ...」
「...っっ!!っがはぁっ!!!」
私は起こった事をしばらく理解できないでいた。
兵士の20m位後ろでこっちに背中を向けて平野を見つめていた重装兵が、笛の音が終わったと思ったら弾丸が発射されたかの如くこっちに向かって飛び出したかと思えば、頭を鷲掴みにされ、倒され、重い足で背中を押さえつけられていたことを。
息が、できない。
力を入れてもびくともしない。
なんでこんなことに。
「......っか...っはっ......」
必死にもがく。
「っっっっっ!!!!」
もう息が、もたない。
「.................................................................................よし。力を加え過ぎだ。少しだけ緩めて」
「っっっがっはっ!!!はっ!はっ!はぁっ!……」
全然緩められていない!まともに息ができない!!
コイツらひどすぎる!!
「...これで、話せるな?どうやって街へ入った?」
「...昨日、ここの、も、んから、入ろう、とし、て、取り、調べ、を、受け、今日、のご、ぜんに、許可、がおり、街に、入りまし、た」
少ししか息を吸わせてもらえず、途絶え途絶えで喋る。
「誰から取り調べを受けた?特徴は?」
「なまえ、は、存じ上、げませ、んが、もの、すごく、臭い、息の、きんに、くで、した」
「...っ!...急いで確認に向かうっ!!」
兵士は慌てた様子で走っていなくなる。
押さえつけている重装兵は力を緩めてくれない。
「もう、少し、ゆるめ、て、くる、しい」
「...............」
無視かよ。
呼吸に必死で何分経過したのかわからないが、兵士が戻ってきた。
「確認が取れた!今すぐそのものを解放していい!」
重い足から体が開放される。
「っはぁあっ!っはぁあ!はぁはぁはぁ…」
必死に酸素を取り込み、目の前がチカチカする。
「私の早とちりでとんだ勘違いをして怪我を負わせてしまい、大変申し訳ございませんでした!また、担当の者が通行証を渡し忘れていましたこと、大変申し訳ございませんでした!」
兵士は頭を下げ、謝罪をする。
私はうつ伏せから膝立ちの状態になり、必死に息をする
「っはぁ、っはぁ、っはぁ…」
もうとっくに酸素は全身に巡っているのに、過呼吸もどきを続きているので、また目がチカチカし、目眩がしてフラフラする。
顔を歪め、苦しそうに息をしながら、
私大変だったのよ、あなたたちのせいで。
をアピールする。
「す、すみません、っはぁ、っはぁ...私も、はやく、説明、すれば、よかったので、すが、はぁ、はぁ、怖くなって、しまっ、て」
「本当に、怖い思いをさせてしまったことを心からお詫び申し上げます」
っふん。
ゆるさんぞ、ゆるさんぞぉぉっ!!!
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