第12話

寝れそうなところ探して、とにかく休もう。

どの辺なら寝れそうかな。

お腹がいっぱいなのが唯一の救いだ。


思考を巡らせながら歩いていると、昼見つけたドワーフの武器店が目に付き、店の前に立ち止まる。

夜でもやってるんだなと思っていると、


「っんだよ!昼のおっさんじゃねぇか!ッペっ!!おっれの店の冷かしやめろっつってんだよっ!!っぺっ!」


このおっさんほんとムカつくな!

自分の店にツバ吐くなっつってんの!

またヒゲに付いてるし、きたねぇっ!


「おい、おっさん。宿以外で寝ても兵士に捕まらないし、盗みや襲撃に遭わない安全な場所はどこだ?ただし、自分の家や知人の家とかそういうのは除く」

「おっれは!おっさんじゃねぇ!まだ17歳だっ!ッペっ!!ん?なんだ?なぞなぞか?おっれぁなぞなぞ好きだぞっ」


なんか勝手になぞなぞにして、

食い付いたが、まぁいいか。


というか、お前、年下だったの!?

なんかごめんなさい。


「おう、そうだ。時間はたっぷりやる」


コイツ武器店だけど、

私の剣鉈見せたら研いでくれるかな?

そもそも研げるのか?このマヌケは。


「完璧に正解したら私の得物を無料で研がせてやる」

「っぃやどぉーいがいでぇ〜...ネテモ...ヌスミにアワナイ...つかまらナイばっショ〜......やーどいがいっで……」


もう聞いてねぇ。

発音の問題で正解か隠れてるパターンじゃないだろ。

私の頭ではそんな場所、牢屋くらいしか思いつかない。


ドワーフは何回も同じことを復唱している。

馬鹿そうだから、ほっといて行こう。


と、したその時、ドワーフは目を見開く。


「っむっんっ!そういうことかっ!!」


ツバを飛ばし、興奮しながら喋るドワーフ。


「......なんだ?わかったか?」

「おうよ!!正解を言っていいか?」

「どうぞ」

「正解は!!城門の外だっ!!」


なにぃ!?どういうことだっ!?

なぜそうなる?訳がわからないぞ!?


「ふむ。いい答えだが、まだまだだな。若造よ。ちなみになぜその答えにいたったのだ?数々の経験をしてきた老骨めが、何かしら助言ができるやも知れん」


余裕たっぷりにゆっくりと話す。

私はあなたを超越してます演出をすることにより、相手の言葉を素直に引き出すことができる。

と思う。


「お、おう。おれが思ったのは最初は広場だ。だけどよぉ、この街ゲルンダルは勝手にで道端で寝てたら兵士に捕まるんだ。そんで、兵士にみっけられずに寝れるとこっつたら、商店街から離れた家と家の間だ。見回りの兵士に見つからずに朝まで寝れるかもしれねぇが、盗みには会うだろうよ」


え?適当に聞いてみただけど、本当に外で寝たら捕まるの!?

このドワーフに絡んどいてよかった!


目を細めて、ドワーフに鋭い眼光を向ける


「...っぅほーう...それで?...」

「そ、っそれでお、おれは兵士にみっけられても捕まらずに、盗みができない場所を考えたんだ.........」


兵士に見つけられても捕まらない?

盗みにも遭わない?

城門の外が?

なんで?


店の前で立つのをやめてゆっくりと余裕たっぷりに勝手に店の入口に入り、背中を壁に当てて、腕を組み、ドワーフを横目で睨みながら言う。


「っつぅづけたまぇ......」

「っでぇ、考えた結果ぁ、城門の外という答えが出たんだっ!」

「...っだからなぜ城門の外が答えなのだっ...」

「あっ......じょ、城門の外ならば、道のど真ん中なら注意されるかもしれねぇが、まぁ寝てても兵士は捕まえてこねぇ。だって街の外なんだからよぉ、街の人も迷惑してねぇし、兵士もかんけぇねぇし、街の外で兵士が寝床を指示する権限もねぇだろ?」


なに!?そうなのか!?


「......」


無言で続きをうなが


「次ぁ、盗みだ。商売の街だ。夜でも門は閉めねぇ。門が閉まるのは戦争で目前まで敵が迫ってきたときくらいしかねぇんじゃねぇか?まぁ、戦争なんてしたら大変なことになるから、どこの国もしねぇが。」

「.........」


夜城門閉めないんだ。そうですか。


「一日中、兵士が各城門を交代で見張ってやがるから、目に見えてる範囲の犯罪は阻止するはずだ!!そいつが好き勝手外で寝てようが、捕まえないが、寝込みを狙って盗もうもんなら、手柄だし、兵士がだまっちゃいねぇ。そもそも兵士の前で盗みをしようとするやからはいねぇだろ。兵士が買収されていなければがな...っぺっ!どうだ!」


な、なるほど!!

こいつは天才なのか!?


「...思ったよりは頭は回るようだな...............答えは以上でいいか?」

「ははっ!そうだろうよ!!あぁ!以上だ!ッペっ!」

「本当にいいんだな?」

「......ぁあ。面白いなぞなぞだったが完璧に答えた。以上だっ!!っぺっ!!」


ほんときったねぇな!

口角が泡立って白くなってる。


「そうか。...残念だ。70点だ。もう少しやる男だと思ったのだがな...はぁ...私の見込み違いか?」

「なに?なにがいけなかった!完璧に答えたはずだ!」

「本当に完璧かね......」


ドワーフはツバを飛ばしながらゆっくりとこちらに歩み寄る。

お前のツバで何かに感染しそうだから近づかないでほしい。


まだ、なぞなぞが気になっているみたいで、

聞けてないことがあるし、都合がいい。

都合がいいだと!?


こ、これが、異世界人の最強のチート能力、ご都合主義ってやつだな!?



......これで逮捕も盗みも城門の外で解決できた。


じゃあ魔物からの襲撃はどうするの!?

兵士は助けてくれるのかな?

盗みは犯罪だし、兵士の手柄にもなって見過ごせないということだろ?

外で勝手に寝てて魔物に食べられそうになって兵士は助けてくれるの?

ざまぁみろ、自業自得だなで見過ごされそうだがな?それも手柄として、兵士がやっつけてくれるのか?


その辺りの問題も、ここは老骨の神髄、を使用してそれとなく聞いてみよう。


「私は、確かに言った。宿以外で寝ても兵士に捕まらない、盗みや襲撃に遭わないはどこだ?と言った。果たして城門の外はに該当するのかね?」

「それはっ......さっき兵士が一日中見張ってると言ったから安全だと言う事になる!城門の外がと言ったようなものだ!」

「外で兵士に見張られているから安全というのはいささか、おかしい気がするが、まぁそこは置いておくとしよう。...外で寝てる人が魔物に襲われそうになったら、兵士が守ってくれる保証がどこにある...ここまで言わないとわからないかね?君は」

「そんなもん全力で守ってくれるに決まってんだろ!魔物が人やっちまったら、赤霧吸って凶暴化したら手が付けられなくなっちまって兵士が魔物討伐すんの大変になるだろ!常識だろっ!」


え!?え〜〜!?

魔物も深淵の赤霧吸収するの!?

お昼の優しい兵士そんなこと言ってなかったよ!?


「...なぜそこまでわかっておきながら言わなかった?なぜ、相手が知っているだろうと言う理由で回答を省略した?君は、先生から出された問題を、俺がいちいち聞かなくとも答えは知ってるだろ?と返すのかね?それは、まさに愚の骨頂というものだ」

「あ、あぁ...常識だと思って言う必要がねぇと思ったのは本当だ。なぞなぞの答えとしてだめだったか」


あれ?いつの間に私は説教しているのだ?

これだからおっさんはよぉっ!!

すまない!ドワーフの少年よ!


「でも、まぁ...なかなか筋は悪くなかったぞドワーフの少年よ。特別に私の得物を研が「くっそぉったれぇぇっ!!悔しいぞ!完璧に出来たと思い上がっちまった!!またやらかしちまった!!くそ!っぺ!!」」


また聞いてない。

私の愛刀の無料メンテナンスしてくれると思ったのに。なかなかうまく行かないな。


肝心な時にご都合主義発動してもらわないと困るのですが。


有益な情報をもたらしてくれたし、後日金ができたら、できるのかどうかは別として、また改めて頼もうかな。


「では、ドワーフの少年。ごきげんよう」

「次は完璧にやってやる!またこい!」


ドワーフの少年に目配せをし、別れる。


無駄なようで無駄ではなかった、いや、やっぱり無駄だったドワーフとのやり取りをして、向かうは今日の寝床である城門の外。


顔馴染み?の南門がいいだろうな。





────────────────────

ここまで読んでいただき、

ありがとうございます!!


先に進みたかったのですが、

おじさんの無駄な

長話しが本当、すみません!!


話の展開が遅くて読者の皆様が

読んでいて退屈かもわかりませんが、


今後とも、お付き合いしていただけると、

おじさんとっても嬉しい!です!

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