第11話 開き直り

翌朝、俺は最高の目覚めだった。

何故かって?

そう、おれは開き直ったのだ。

元より俺は何かあってもあまり引っ張らないタイプだ。

意外とすぐに受け入れてしまう。


体操服を盗られた?

良いじゃないか、盗られるほど魅力的だということだ。


体操服の匂いをかがれた?

良いじゃないか、嗅がれるほど魅力的な香りだったわけだ。


体育館履きを盗られた上に匂いを嗅がれた?

良いじゃないか、盗られて嗅がれるほどに魅力的な体育館履きだったわけだ。


そしてファーストキスを奪われた?

良いじゃないか、鷺沼はちょっと性癖が歪んでいるビッチだが美少女ではないか。


人間、開き直りさえすれば意外となんとかなる。

俺は普通に学校に行った。


そして昼休み、鷺沼がうちのクラスに訪れた。

そして俺の席まで歩いてくる。

田中くん、すれ違う瞬間に鼻をクンクンするのはやめような。

それじゃこいつと同じ変態のカテゴリーに入れられるぞ?


「拓也くん、一緒にご飯食べよ?」


クラス中の目線が俺と鷺沼に集まる。

うん、俺もわけわかめ。


「どうして?」


「どうして?だって私たち付き合っているじゃない?カップルなら一緒にご飯は当たり前だよね?」


ちょっと待った。

さすがにそれは聞いてない。

そして教室内は阿鼻叫喚に包まれていた。

特に田中くん、体中の穴という穴から涙を流している。

あ、鼻から出てるのは鼻水か。

まぁとりあえず汚いよ。

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