第9話 盛大な勘違い

は?今こいつ何て言った?

付き合う?

俺の聞き間違いに違いない。

うん、きっとそうだ。

そうに決まっている。

多分ブチあおって言ったんだよな。

お互いあんなエロス紛いなことの記憶消すために全力でビンタし合う。

それだ!間違いない!


「よし、どっちからいく?」


「え?どっちから??」


「好きな方選んでいいぞ。覚悟はできてる」


「(え?山川君は何を言ってるの?どっちから?覚悟?……まさかっ!どっちからキスをするかってことね!?主導権を握るためには私がするべきよね!)じゃあ私からいかせてもらうわ」


「おう、本気で来いよ」


俺は頬を彼女に差し出す。

確かに怖いが俺だって忘れたい。

出来れば最初から。

俺は目を瞑って衝撃に備えた。

そして、


『チュッ』


「っ!!!!」


頬に優しくも確かな感触が残る。

全身の鳥肌が立ち、背中を電流のような何かが駆け巡る。

こいつ、ビンタじゃなくてキスしやがっただと!?


「こんの糞ビッチがぁぁぁぁっ!!!」


俺は泣きながら教室から逃走した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る