第8話 要求

「ありがとう、満足したわ」


肌に潤いが戻り、ツヤツヤな鷺沼。それに対して俺は干からびかけていた。

分かりやすくいうならサキュバスにすべてを吸いとられた男だ。

別にあの後エロス展開は断じて無かった。

時間にしておよそ10分、犬のように匂いを嗅がれただけだ。

およそ10分。

されど10分。

山川拓也は変態に屈してしまったのだ。


「またお願いするわ」


「2度とごめんだ」


「ふっ、あなたに拒否権は無いのよ」


そう言って鷺沼はスマホを俺に見せてくる。

そこには先程の写真、鷺沼が俺に馬乗りになり倒れこんでいる画像が表示されている。


「これを見せて私が弱味を握られて~とか言えば皆信じると思うんだよね」


くっ、この糞変態ストーカー匂いフェチ女めっ……。

俺と鷺沼の発言力の大きさは歴然。

俺が襲われたと言っても誰も信じないだろう。

俺の負けだよ。

俺は素直に負けを認めるタイプだ。

だって負けを認めないやつって大抵包茎じゃん(主人公の偏見です)。


「何がお望みだ……」


「うーん、じゃあ付き合お?」


「仕方ねえn…………んえ?」

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