第8話 フェンリル登場
真っ白でサラブレットほど大きなオオカミがやってきた。
足の長さをのぞけば ほぼ馬なみ。
「フェンと呼んでくれ」重々しい声音だ。
「はじめまして。念話に応えて ここまで来てくれてありがとう。僕がドラです。
こっちの人間は リン」
「はじめまして。お世話になります」
フェンリルに握手を求めるのもどうかと思ったので(だってお手と間違えられたらめちゃ失礼だもの)片足をひいてあいさつした。(お辞儀で頭を下げても フェンリルよりも私の頭が高い位置にあることにかわりはないからね)
「ふむ まだお世話するかどうかは決めておらんが。望みを言え。」
「海岸線に沿って 領地南部地域を視察するために 背中に載せて移動して欲しいのです」
「報酬は?」
「なにをお望みですか?」
「うむ 海水浴・海遊びというものをしてみたい。泳いだ後 くつろぐことのできる家と水場 それに食事だな。
我がここにいる間、海の生き物を食べることも認めて欲しい」
「私や私が認めた者に害をなすことなく、また私に害意を持つ者を我が領土・領海から排除し、海辺に住む人のくらしや海やこのあたりの生態系を崩さぬ程度に食することは認めます。海辺の家と水場については 私にできる範囲で用意しましょう」
「よかろう。とりあえず わしの背にまたがっている間に不味い食事を出すようならお前を食ってやるからそのつもりで」
「ことわざにも無い袖は振れない といいますが・・・
好き嫌いとか どれくらいの量が欲しいとか教えていただけますか」
「むむ 食べる量なぁ だいたいわしの体重の同じか半分くらいは 1日に食べるな。お前の料理がうまかればそれを、まずければ、新鮮な生肉が良いな」
「新鮮な生肉のストックと狩りの獲物の確保ができるかどうか・・・
このあたりの海でそれほど大量の魚がとれたかしら。ゴメンナサイ よくわからなくて。手持ちの食材で調理をがんばってみます・・・・・・・」
「フェン あんまりリンちゃんを困らせないでくれる?。
いざとなったら 僕が北の森から獲物を運んでくるから」
ドラ君が助け船を出してくれました。
「ふん とりあえず お試し程度につきあってやろう」
フェンリルは体を少し低くして 「早く乗れ」と言った。
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