第6話 3日目:ドラゴン応援に駆け付ける

3日目の朝は、日の出前に目が覚めた。


夕べ早寝をしたので 早く目覚めてしまったのだ。

 うーん私の体内時計は 何時に寝てもきっちり7時半後には目が覚めると言う優れもの??


仕方がないので 砂漠の向こうに上る日の出をみることにした。

 観光客なら感動ものの朝日かもしれないが、いろいろいきさつある身には・・・

 何しろ母は、リンド国の神事の一環として春分の日の日の出を迎える行事の時に

 さらわれたのだから。

 しかし過去は過去。 私は新しい領主もとい修道院長として歩み出したんだ!


・さて、早くリンド国に寝具を買いに行きたいのに、愚か者たちに与えた猶予最終日の今日が終わるまでは館を出ることができないと悶々としていたら、北方より呼びかける声が聞こえた。


「もしもーし りんちゃーん」念話である

「どちらさまですか?」 習慣に従って相手を確かめる

「オレオレ ドラ君でーす。

 結界を移動させているみたいだけどだいじょうぶ?」

「心配させてごめん。実は・・」かくかく しかじかと説明した。

「そっかー 何か手伝えることある?」

「よければ おしゃべりに来て。明日から少しの間、領地の見回りに付き合って欲しい」

「いいよー とりあえず今からそっち行くわ。途中で君以外の人間を見つけたら領地の外に放り投げておこうか? 詳細はそっちに行ってからでいいかなぁ」

「ありがとう よろしくお願いします」


というわけで 北のドラゴンのドラ君が来た。


ドラ君との出会いは・・・

 北の森で卵泥棒を襲った盗賊が持ち帰ったドラゴンの卵を、盗賊たちが食べる寸前に見つけた私が買い取ってふ化させたことにはじまる。

 ドラゴンの卵を盗み出す泥棒にも、ドラゴンの卵を食べようとする盗賊にも呆れたが、そこはつっこむまい。


 当時、スレイン国の学院に向かう途中だった私は、買い取ったドラゴンの卵を懐に入れて旅を続け、リンド国を横断中にドラゴンが生まれ、大いに困りました。

 だって本当に生まれるとは思ってなかったもの。なんとなく生きてるって感じがしたので卵を温め続けていただけだから。


 しかたがないので リンド国の教会に行き、ドラゴンの赤ちゃんを保護したいと名乗り上げました。


 リンド国やスレイン国では、子供のドラゴンの保護者になることができるのは、国王か皇太子あるいは、修道院長の資格を持つ者だけ。


 そこで私がリンド国王家の血筋であることをかんがみ、修道院長資格取得試験に合格すればドラゴンの保護を認めると告げられ、見事合格しましたよ~~。

 でも学院入学前の私が論文を書いているわけないので、筆記試験は合格、修士論文はドラゴンの幼生の飼育について書くということで、ドラゴン保護者の仮免のようなものを出してもらい、スレイン国の学院在学中はドラゴンの世話をしながら、博士課程の勉強をしつつ、最初の1年で修士論文「ドラゴンの幼生の1年」を書き上げて、正式に修士課程修了=修士号と修道院長資格を取得したわけでありました。

 博士課程も1年で終了し「スレイン国の植生に関する一考察」という論文で博士号取得。(これはドラちゃんに協力してもらい空からの調査した結果を利用しました)


 だから ドラゴンのドラ君は町育ち。

 でも休暇中は 自然の中で野生生活になじめるよう、二人で北の森から北方山脈まで旅をしました。

 おかげで 私も冒険者としての修業を積むことができました。

 寝袋で寝ることにも慣れました。(笑)


・・・・・・


 両親の不穏な動きを知った私は、すぐさまドラ君に北の森に帰るようにすすめました。不測の事態が起きたときに 私の巻き添えとなってドラ君が人間達に虐げられることのないように。

 生まれたときは子犬サイズ、1週間で大型犬サイズまで育ったドラ君は、1年で馬より大きくなり、さらに成長を続け、騎乗用ドラゴンにと狙われるようになっていたからです。


 ドラ君は「ならばいっしょに帰ろう」と、私をその背にのせて学院を飛び立ち、領地の館のあったところまで来ました。


 おかげで私は館をでっちあげ、失礼急遽建造し、強欲な父の一族を迎え撃つことができたのです。

 (ドラ君には 念のために北の森に退避してもらっていました。


 だって強欲な人間に ドラゴンというおいしい餌を見せつけたら、さらに強引に私に迫ってくること間違いなしでしたから。

 そうなると ドラ君が強欲な男どもをせん滅せざるを得なくなり、いやその前に業火をもって豪華な火あぶりを実行してしまうことになりかねず、それは優しい母方一族の教えに反することもでありましたから。


 あー心優しき人道を実行するためには どれほど多くの手間と労力をかけねばならぬことか。

 そして強欲無知厚顔な輩をしのぐ知力と彼らの貪欲さを刺激しないための気遣いをどれだけ大量にやらねばならぬことか><)


 とにかく ドラ君の方から念話を入れてくれて 良かった。

  ドラ君の気遣いがうれしかったです。

 私としては ドラ君が父方の一族と でくわす危険は冒したくなかったから。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る