第72話 ドラゴン襲撃

「サクッと買ってくるから少し待っててくれ」


 俺は、魔法道具店に入った。店の中にはいろいろな商品が陳列されている。その中から保存の鏡を選び購入した後店を出た。


「おまたせ、そう言えばクラウドはなにしに来たんだ?」


「うん、僕は散歩かな、この街に来たのは半年前だけど僕たちは石になっていたから実際はそんなにこの街に来てないし街を見ようと思って」


「なるほどな、じゃあ俺も観光しようかな」


「エルビス! あそこ行こうよ」


 シルヴィが指を指した場所には見晴らしの良さそうな塔があった。


「そうですね……あそこならこの街を見渡せるでしょうね」


「いや、あれ登って良いのか?」


「大丈夫だと思うよ。あの塔は一応街を上から監視するための塔だけど一般開放もされてるはず」


「じゃあ、あそこの塔にいくか」


 俺達は塔に向かって歩き始めた。今日も平和だ。


「主様よ、妾はお腹が空いたのじゃそこの唐揚げを買ってほしいのじゃ」


「ああ、まあ良いけどさ、ほらお金渡すから買ってこいよ」


「感謝するのじゃ、行ってくる」


 俺はノータが唐揚げを露店で買うのを見守った。


「ところでそれなんの肉だ?」


「グリーンワームの唐揚げだよ、どうしたの顔真っ青にして」


「ノータ頑張って食べてくれ」


 グリーンワームの唐揚げの入った箱を可愛く手に持ったノータはポカーンとした顔で突っ立っている。


「ノータ近づかないで下さい。そんな気色悪いあのグリーンワームの唐揚げなんて見たくもないです」


 ディーネが悲鳴を上げながらノータから離れる。俺もよくわからないがグリーンワームという名前だけで食欲は消えた。


「うぇ気持ち悪い……嫌い」


 シルヴィが俺の背後に隠れた。ノータは恐ろしげに唐揚げを見ている。


「ちゃんと食べようなノータ」


「主様も少し食べてくれんかの?」


「え、嫌だ……作ってくれた人に感謝してちゃんと食べなさい」


「ディーネ! 一緒に食べような?」


「嫌です。一人で食べて下さい」


 ノータが爪楊枝で唐揚げを突き刺し口に運んだ。俺達はそれを恐ろしげに見守った


「お、美味しいです」


「「「「まじかよ」」」」


「まぁゲテモノほどうまいって言うもんな」


「じゃあ、全部ノータに食べてもらうとして早く塔に向かうか……」


 俺達は、ゆっくりとしたペースで街を歩き夕方に塔へ到着した。


「高いね、エルビス早く登ろ?」


「そうだな」


 俺達は塔の中に入り街を一望できる場所にたどり着いた。


「すごい! エルビス見てほら人がホコリみたい」


 え……表現の仕方どうなってるんだ。


「エルビス?」


「そ、そうだな豆粒見たいだな」


「マスター! あれを見て下さい」


 緊張感のあるディーネを声が飛んでくる。ディーネのいる背後を振り抜くと巨大な30mを超えるドラゴンが空を飛び魔術学校に向けて火球を放った。


 一瞬で魔術学校は轟轟と燃え始め魔法の閃光がドラゴンに向かって飛んでいくのが見える。ドラゴンに当たった魔法は弾けれドラゴンが更に吐いた火球で火柱があがる。


「今すぐ学校に戻るぞ。シルヴィこの鏡使っとけ」


「え、あうん」


 シルヴィが鏡を見て鏡が光るのを見た後鏡を取り上げ塔を駆け下りた。塔の上から見えていたが街は大混乱だ。魔術学校に走ろうとはしているが魔術学校から逃げる人々が俺達を押し戻し全く進まない。


「エルビス君! こっちの裏道を使うんだ」


 クラウドの声を聞き俺は裏道に入り込んだ。


「マスター! 流されます」


 ディーネが人混みに流されていく。


「剣にもどれ!」


 その場からディーネが消え剣に戻った。ノータは塔から降りる段階で剣に戻っていた。


「エルビス……大丈夫?」


 シルヴィが俺の事を心配してか声を掛けてきた。


「大丈夫だ。あのドラゴン天然のドラゴンだよな?」


「そうだね。あのドラゴンはテンペル山に住む火竜エグドラスだと思う。なんでここにいるかわからないけど知能は高いからちゃんとした理由があってのことだと思うけど」


 テンペル山はベルガナ王国の北部にある。ライナン王国との国境でもある巨大な活火山だ。


「急ごう、このまま裏道をたどって学校まで走るんだ」


 急いで学校に戻ると既に悲惨な状態だった。門は破壊され校舎は崩壊してけが人もたくさんいた。


 取り敢えず未だに攻撃を続けているあのドラゴンを討伐もしくは撤退させなくては

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る