第67話 闇の精霊
ティラノの速度はかなり早く遠くにあった山がどんどん近づいていく。山に近づくにつれ山の周りに取り囲むような、高い柵があるのが見えてきた。どこかに山に入るための入口があるのだろうか?
「ティラノ適当にこの山を一周してくれ」
「GYAUGYAU」
風を切るように走るティラノサウルス。そのまま30分ほど山の周りを回っていると大きな門が見えた。
「そこで止まれ! お前は何者だ。どんな用があってここに来た。この山には我らの神がいるんだ。ふざけた理由なら殺す」
門の前に話すでかくてごつい石像がいた。
「その神にここに来いと妾に会いに来いって言われたんだけど」
「我らの神がお前を呼んだだと? 冗談でも許されるものではないぞ。その門を触れてみろ。もしお前が我らが神が呼んだ人間ならこの扉は、自動的に開く。開かなかったら殺す」
だ、大丈夫だよな。闇の波動があればなんとかなるよな?
俺は恐る恐る扉に触れた。すると扉に黒い線が走り出し、扉が粉々に砕けた。
「な、本当に使者だったのか……申し訳ない。先に進んで下さい。この上に我らが神がいます」
すんなりと通してもらい俺は、徒歩で山を登り始めた。かなり険しい山だ。魔術支配を切って飛翔で飛ぶか。
「おい、ティラノこっち来い」
「GYAUUU」
俺はティラノを抱きしめて飛翔で飛んだ。高度がどんどん上がって行きあっという間に頂上までたどり着いた。
頂上には、薄紫の髪をした、巨乳和服美人が立っていた。
「ようやく来たようじゃの……結構待ったぞ?」
「まだ一日くらいしか経ってないだろ?」
「まぁそうなんじゃがの? 儂は主と契約をはよしたいと思っての? 待っておったのじゃ」
「一ついいか?」
「うむ、構わぬ。話していいぞ?」
「ディーネとはどういう関係なんだ? ディーネは元々一体の精霊だったって言ってたんだけど」
「そうじゃの……何から話すべきかの? 確かにディーネと儂らは元々一体の精霊だったんじゃが……まぁとある理由があって6つに権限を分けたんじゃ」
「それが基本属性の火、水、風、土、闇、光ってことだよな? ディーネはどこにも当てはまらないぞ?」
「そうじゃ、水の泉ウィンデーネだけは、それでももっと権限を分けるべきだと言っていた。6つに分けても一体精霊と契約するだけで契約者は膨大な力を手にすることになる。だからもっと細分化するべきとな」
「つまり、水の精霊のウィンディーネが別れた姿がディーネという事か?」
「そうじゃな、ディーネは儂が知ってる限り、水、回復、勇気に分けれておる」
「元々一体の精霊なのになんか……ディーネと性格違うな」
「ふっふっふ、まぁそうじゃの。分裂して時間も経っておるからの。さて、そろそろいいか……契約の時間じゃ」
俺は、正直乗り気じゃない。毎回毎回それ以上は人間やめますよ? ってアナウンスをされるのもなんか嫌だ。
「そう言えば、名前聞いてなかったな」
「そうじゃったの、ノータと言うんじゃ」
「そうか……ノータお前その話し方中途半端じゃね?」
「な、なな、何を言っておるのかわからんの。これはどこかの方言をパクったとかではなくノータ語じゃから」
視線を思いっきり明後日の方向に向けてノータはそう言った。
「そういうことにしておこうかな。それじゃあ帰るな」
「え、契約しないのか?」
不安そうに俺のことをみてくるノータ、俺こういう目に弱いんだよなぁ。守ってあげたくなってしまう。
「なんだ? したいのか?」
「うっ、したい……です」
「じゃあするか。しかたないし……どうすればいいんだ?」
ノータが手を出してきた。何をしてるんだ?
「ほれ、手を出せ。契約じゃ」
言われた通り手を出すと、ノータが俺の手を握った。その瞬間手に黒い鎖が巻き付き始めた。
精霊との契約時に流れるいつものアナウンスが脳内に流れる。
『……もう貴方は人間の範疇を超えました。直にこちらから使いがでます。詳細はその後に』
『闇の秘術を獲得しました』
『闇の世界を獲得しました』
闇の秘術:自分だけの世界を創造することができる。想像する世界の規模で必要な代償が変わる。闇属性魔法の消費魔力ゼロ
闇の世界:日中のみ使用可能。日光の光を吸収し魔力に変換する。
「お、おい? なんかアナウンスが『お前は人間じゃないから、こちらから使いを出す』って言ってたんだけど?」
ついにアナウンスさんに見捨てれてしまった。なんかショックだ。
「おお、言われてしまったか、まぁ気にするな。神界基準の『直に』じゃからの、地上基準では数百年掛かったりするもんじゃ、寿命で死んだ後に使いが来るとか普通にある」
「そうか……ならいいか。それと、ディーネのスキルより全然おかしくないか? スキルの内容が3つあるぞ?」
「そりゃそうじゃ。ディーネも三つ権限があったじゃろ? 回復のスキルと勇気のスキルそして水のスキルじゃ」
「なるほどな……分裂してない分強いのか。じゃあ、」ちょっと闇の秘術使っていいか?」
「構わんがどんな世界を作るんじゃ?」
「特に考えてないけど取り敢えず、闇魔法にアイテムを収納すると常に魔力使うから物置の世界でも作ろっかなって」
「ふむ、問題ないじゃろ。やって見せるのじゃ」
『闇の秘術』
スキルを発動した瞬間魔力が対価として持っていかれた。一軒家くらいの土地しか作っていないのだが、俺の魔力全部使われた。意識を失いかけたので、とっさに闇の世界を発動して魔力を回復することにした。
空から太陽が消え真っ暗になった。そして失われた魔力が一瞬で満たされた。
「ふむ、問題なくて安心したわい」
「で、作った世界にはどうやって行くんだ?」
「ん? 扉を作ればよかろ? 闇のゲートを作って、作った世界と繋ぐんじゃ」
言われたとおり世界を繋いで作った世界に入ってみた。
「おお~初めてにしてはうまくできとるの」
なるほどな、取り敢えず。闇魔法に収納してるモンスターの討伐部位とか全部ここに置いていこう。
「じゃあ、元の世界に戻してくれるか?」
「任せるのじゃ!」
ふっと景色が変わり元いた世界に帰ってきた。
「そうじゃ、主様よ主が連れてきたペットもこっちに連れてきたのじゃ」
「GYAUGAYAU」
こいつにも名前を付けてやらないとな。あと、シルヴィが不安で死んでるかもしれない。早く安心させてやろう。
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