第61話 黒の魔窟
本日は、黒の魔窟に向かう。先生曰くここに錬金術の極意が書いてある本があるらしい。
朝早くリビングに向かうと、既にシルヴィがリビング待機していた。
「おはよ! エルビス」
「おう、おはよ本当にダンジョンに付いてくるのか?」
「当たり前でしょ! 早く行くよ」
そう言ってシルヴィは腰に差した綺麗な剣を振り回しながら歩き家を出た。俺はシルヴィについていく。シルヴィはどこに向かうのか分かっているのだろうか?
「そう言えばディーネは?」
シルヴィがふと思い出したように質問してきた。
「ディーネは今剣の中にいるシルヴィとディーネの仲が悪いからな」
「私そんな事しないもん、もう大人だからね! 感情的に動くなんてしないもん」
ドヤ顔をしながら自身の成長を語り始めたシルヴィ、そのシルヴィの背後にディーネが出現した。
「おはようございます。シルヴィ」
「ひょわぁ!」
いきなりディーネに背後から声を掛けられシルヴィは、変な規制を上げた。
「何驚いてるんですか? 私はふ・つ・うに声を掛けただけなのに」
ディーネが全力でシルヴィに喧嘩を売っている。俺はふたりを置いて黒の魔窟に向かい始めた。背後で騒がしく喧嘩をしているのを放置してガンガン進む。三十分ほど歩き街の北西まで来た。たどり着く頃には喧嘩も収まっていたため普通に二人に話しかけることにした。
「二人共、準備はいいか?」
「大丈夫!」
シルヴィが元気よく返事をした。俺は警戒しながらダンジョンに入った。空気が変わりジメッとした空気が体にまとわりつく。
黒の魔窟はダンジョンと言うより施設、と言ったほうが良いような形をしている。ダンジョンには一本道などなく基本的に曲がりくねった通路をしているが黒の魔窟は、綺麗に真っ直ぐ道が作られており歩きやすい。
「なんかきれいな形のダンジョンだね。道がまっすぐで見通しがいいし歩きやすい」
シルヴィも俺と同じことを考えていたようだ。
「マスターなにか来ます!」
ディーネの警戒した声が鋭く飛んでくる。そして重々しい音を立て悪魔のような姿をした黒いガーゴイルが複数こちらに来た。黒魔種だ。
「任せろ! 硬い石の魔物なら破壊属性を付与した剣で一撃だ」
俺は走って来るガーゴイルに向けて剣を構えた。そして剣が届く範囲にガーゴイルが入った瞬間に剣を振る。ガーゴイルにヒビが入ったが壊れることはしなかった。以前戦った時は一撃だったんだがおかしい、ここの黒魔種は異常に強い。
緩めていた気を引き締め再度剣を振ろうとした瞬間、ガーゴイルの硬い腕が俺の腹にめり込んだ。そのままディーネとシルヴィも巻き込み後方に吹き飛ばされた。
「ごめん! ここの黒魔種は外の黒魔種より強い、気をつけてくれ」
「わかった! 私は魔法で威嚇するからエルビスが何とかして!」
「マスター私は支援魔法を使います」
ディーネが俺に支援魔法を掛けるのを待ち、土魔法で作った針に破壊属性を付与して飛ばしまくった。少しずつ破壊属性がガーゴイルの体に浸透していき針一発が削る石の量が増えていく。
『ファイアーボム』
背後からシルヴィの魔法が飛びほぼ半死のガーゴイルが爆散した。これで一体だ、幸運にもガーゴイルが大きい為、通路につっかかり一度に攻めてくることはない
「そのファイアーボムいいな! 使ったことなかったけど使わせてもらう」
『ファイアーボム』
縦に連なっているガーゴイルの真ん中に破壊属性を付与した爆弾を飛ばした。シルヴィの数倍の威力で爆発し砕いたガーゴイルの破片がこちらに飛んできた。頬を掠り血が出てきた。
やばいと思ったのかボロボロになり所々掛けたガーゴイルが特攻してきた。
「魔法を打ちまくって倒せ!」
俺とシルヴィは、自身ができる最高速で魔法を撃ち続ける。先頭のガーゴイルが盾になっているせいで、先頭のガーゴイルを倒しても後方のガーゴイルが出てきてどんどん、ガーゴイルとの距離が狭まっていく。
「マスターやばいです! 今の調子だとガーゴイルに接近されていまします!」
「分かってる! シルヴィ破壊属性を付与した魔法を撃つからしばらく時間を稼いでくれ」
「分かった!」
シルヴィの返事を聞く前に破壊属性を付与し始めた。シルヴィが一発魔法を撃っている間に付与が終わった。
『ファイアーボム!』
凄まじい爆音がした後、爆炎の中からガーゴイルが突っ込んできた。たぶん最後の一匹だ、そしてかなりボロボロだ。あれなら普通の魔法で倒せる。
『ファイアーボール』
ガーゴイルの当たりガーゴイルは砕けた。
「ふぅ~まじ危なかった。 こんなに硬いガーゴイルが湧いてくるなんて予想外だった」
「マスター、こういう硬い敵が出てきた時のためにハンマーとか持っていた方が良いのでは?」
確かに……ハンマーで叩けばかなり早く壊れそうだ。一応買っておこうかな。
「さあ、先に進もう! 全然進んでないから早足で行こう」
黒の魔窟はまだまだ続く。奥に行くほど暗くなり少し進んだ所の左右に部屋が2つあった。調査のためには入らなければならないだろう。
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