第51話 一方その頃(クラウド&サレン)

 

 今日は、エルビス君と部活動を見て回ろうと思っていたのだけど、ホームルームが終わった瞬間どこかに走っていってしまった。


 僕の机にサレンさんが近寄ってきた。


「ねぇ? 彼はどこに行ったの? 放課後はあなたと部活動見学でもすると思っていたのだけど……」


 サレンさんがそう言いながら僕の机の上に座った。彼女の大きな瞳が僕を捉えて離さない。


「僕も知らないんだ‥‥ごめんね?」


「ううん。別にいいじゃあ一緒に部活動見学を回らない?」


 サレンさんが僕に見学のお誘いをしてくれた。せっかくなので乗っておこうと思う。


「うん、じゃあ是地お願いするよ!」


 そうして僕たちは学園を周り始めた。運動は苦手なので文化系だけだ。


 ~魔術研究会~


「きしししし、ようこそ魔術研究会へ。ここは、学校の授業とは違う悪魔を利用した魔術について研究している」


 とんがり帽をかぶり怪しい風貌をした女性がニヤつきながら説明してくれる。


 するとサレンさんが僕の耳元に顔を近づけて魔術研究会の人達に聞こえないような声で話しかけてくれる。


「悪魔利用の魔術はただの都市伝説。過去に利用していたと言う人達はいるけどその人達も願いを命を対価に叶えて死んでいるらしい。胡散臭い出よ」


 サレンさんに手を引かれ僕は外に出た。


 ~魔法生物研究会~


 部屋にはいるとグリフォンの頭や妖精の生け捕りなど色んなものが飾られていてその光景は吐き気を催した。机には本が見開らいて置かれてある。部屋の奥からイケメンな男の人が出てきた。


「いらっしゃい! 新入生のお二人! 僕はここの部長さ! この部の魅力を説明すると長くなるがまずこのグリフォンの首、僕が取ったんだ! すごいだろ」


 イケメンなお兄さんはキラキラした目で説明を始める。僕は半分聞き流していたがそんなことをしているとサレンさんが僕に顔を近づけてくる。


「グリフォンなどの魔法生物は自分が襲われているなどの状況出ない限り殺すのは犯罪‥‥帰ろう」


 ◇


「碌な部活がない‥‥エルビスくんは知ってたからさっさと帰ったのかな?」


 サレンさんは興味なさそうにずんずん歩いていく。


「もう帰ろう、文化系の部活に碌な部活がない。私は運動できないからモウ帰る」


 サレンさんはそう言って自分の家の方へ歩いていってしまった。


 ◇


 休み明けエルビスくんがいない‥‥一級生徒は授業に参加する必要はないだから別にまずいということは無いんだけと‥‥少しさみしいな。


 しばらくポケッーとしていると、サレンさんが教室に入り一直線に僕の机の前に来た。そしてヒソヒソ声で僕に話しかけてきた。


「エルビス君一昨日の授業終了後に、輝きの洞窟というダンジョンに入っていったらしい‥‥そこから出てきてないって」


「エルビスくんに限って死んだなんてことは無いと思うけど最悪の場合がある。僕は先生に行ったほうがいいと‥‥」


 僕がそうサレンさんに提案しようとするとキッとこちらを見てはっきりと宣言する。


「エルビスくんは、生きている。それは間違いない‥‥問題は彼が閉じ込められて出れない状況にいるかもしれないということ」


 彼女は、自信満々にそう言った。まるで未来を知っているかのように。サレンさんは僕の机から離れ教室の外に出た。ダンジョンに向かうつもりだ。僕はとっさに立ち上がり彼女の後を追った。


「待って! サレンさん! 僕もついていくよ!」


 サレンさんは僕を一瞬見ると頷いた。付いていって良いらしい。軽く準備をして僕たちはダンジョンに入った。だがダンジョンの中はかなり異様だ‥‥魔物が一切いないそのままぐんぐんダンジョンを進む。


「こんなに魔物がいないなんておかしいよ! 今すぐ帰ったほうがいいんじゃ?」


 そう、提案するがサレンさんは止まることもなく進む、暫く歩くと大きい部屋にたどり着いた。部屋の中には複数の石像があった。この石像に僕は心当たりがあった。


 今日魔法生物研究会に入った時、机に置かれていた本の見開きページにたまたま書いてあった‥‥見たものを石化させる。その生物を槍で殺した人間はその毒が槍から伝わり死ぬと言われている魔物、バジリスクだ。


「サレンさん! 逃げようバジリスクだ。急いでここから離れて強い冒険者に頼んだほうがいい」


 僕はサレンさんの腕を引っ張り部屋から出ようとしたがサレンさんが動かない。


 なぜかと疑問に思い振り返るとサレンさんは石化していた。そしてその奥から大きな瞳が僕を射抜く、そのまま僕の意識は消滅した。

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