第48話 未来視能力者は知っている‥‥
独白
エルビスさん彼は数少ない私の友達になる人‥‥私は未来のどこかでこの人に恋をする。しかしその恋が絶対に実らないことも私は知っている。
理由は二つある‥‥一つはシルヴィさんという女性の存在‥‥
二つ目はそんな恋が実る前に私は死ぬという未来を私は知っているからだ。
◇
「はぁ、緊張した、言うことがなくてクラウドの名前出したらすごい注目されたのびっくりしたわ~」
「エルビス君は元から注目受けてるじゃん今更だよ。」
「いやいや、そんな事無いって、俺なんてそんなに目立つわけ無いだろ?」
「それ、モテない人に言ってみなよ、多分呪い殺されるから」
‥‥そういえば鏡なんて無いから俺がどんな顔か知らないや‥‥水の反射で見たこともあるけど子供の頃で最近は見てないな。
(マスターは人間基準で言うと上の中くらいの顔立ちをしています。私から見れば世界トップクラスですが)
ディーネが頭の中に話しかけてくる。頭の中事を読み取るなと何度言っても聞きはしない。もう諦めた。ディーネが裏切る事も多分ないだろ‥‥
(多分じゃなくて絶対に裏切りませんよ! なんでそんなに信じてくれないんですか! 見てください! 隣のピンクの髪の頭の中まで、ポワポワしてそうな女がこっち見てますよ! マスターはそこそこいい顔してます)
ディーネのそんな話を聞き流している間に自己紹介は終わっていた。なんでこの子こっちめっちゃ見るんだ。だれだ?
(サレンという名です。というか自己紹介ちゃんと聞いてください)
「‥‥‥あの? サレンさん。何か用かな?」
「? なに? 特に用は無いけど‥‥」
先程までキラキラした目で俺のことを見ていたのに今は、感情のない何を考えているのか分からないものになっている。
「そ、そうか用がないなら良いんだ。」
「うん、気にしないで‥‥」
気にしないでって言われた‥‥寮に行くか‥‥
「クラウド! 寮に行こうぜ。」
「分かった。ちょっと待って」
クラウドが配られた書類を片付けるのを眺めていると、再び隣の席から俺を見つめる視線を感じた。サレンさんがずっとこっちを見ている。教室に居づらくなって先に教室を出た。
しばらく待っているとクラウドが教室から出てきた。
「そういえば、エルビス君は一級生徒だから僕みたいな二級生徒のクラス順位で生活内容が変化する、なんてこともことも無いんだったね」
「ん? じゃあ俺のスイートルームは?」
「なにそれ誰から聞いたの?一級生徒は各々小さめの一軒家を支給されるんだよ?」
ディーネさん?言ってることが違いますよ?
(す、すみません!マスターが一級生徒だということを失念していました。バツを受けます!何なりと!)
「へーでも一軒家ってどこにあるんだ?」
クラウドが指を指した。その先には一人暮らしをするなら十分に大きい一軒家があった。表札には俺の名前が書いてある。
「おお!ここか‥‥ありがとなクラウド」
「うんじゃあ明日ね!」
そう言ってクラウドは寮の方へ消えていった。家に入ると新築の家独特の匂いがする。
「マスター今日はこれからどうしますか?先程の失態を罰していただけますか?」
「罰しないしディーネは家族みたいなもんなんだから少しくらいの失敗気にするなって」
そう言うとディーネは嬉しそうに鼻歌を歌い始めた。ディーネは俺が貰った書類に一通り目を通している。俺はソファーを見つけたので寝転がった。突然ディーネはなにかの記述を見つけたようで飛び上がって俺の元まできた。
「マスターみてください! ハーミラの街にはダンジョンが4つほどあるようです。学園はダンジョン攻略を推奨しているみたいです。特に学園の敷地内にあるダンジョンは難易度が高く攻略者はいないと書いてますね!あっ、でもダンジョンに入れるのは二年生からみたいです。」
俺は、寝心地の良いソファーに寝転がっていたのでだんだん意識が遠のいていてディーネの話を半分くらいしか聞いていなかった。
ダンジョン‥‥いいなぁ夢があって、明日辺りにでも行ってみるかな?そのまま眠りに落ちた。
目を覚ますと、ソファーの上でまだ寝ており俺のお腹を枕にしてディーネが寝ていた。ディーネの青い髪の毛を撫でる。
「ふぁえふぉ」
眠そうなディーネが混乱したような声をあげ、目を覚ました。
「マスター寝るならベッドで寝ましょう!」
「いや、せっかくだしこの家を探索しようと思ってるんだけど‥‥」
「いいですね! マスター! 」
というわけで俺たちは家の探索を始めた。せっかくなので玄関からスタートすることにした。5メートル位ある廊下の両端には部屋が一つずつある。その先には先程まで俺が寝ていたリビングが一つ‥‥探索が終わった思ったより何もなかった。
「マスター! 廊下の上に隠し階段がありますよ!」
面白そうだ! 見に行くとディーネが隠し階段を降ろしていた。かっこいい!
「ちょっと上がってみるか!」
隠し階段を上がると屋根裏部屋になっていた。これは色々と役に立ちそうだ。魔道具が欲しいところだ!明日ダンジョンに入って金稼いだら氷魔法の箱を買おう。作れるようになりたいとも思うが‥‥
そんな事を考えていると家の扉がノックされた。ディーネが扉を開けようとする。
「待て待て! ディーネが出たらまずいだろ? 俺が出るから」
扉を空けるとサレンさんがいた。手には箱を一つ持っている。なんだろう
「これ、家‥隣だから挨拶」
そう言って手に持っていた箱を俺に渡してきた。‥‥俺そんなもの用意してない! そうだ、クラウドにあげようと思って書いた無詠唱のコツの本あれをあげよう。
「ちょっと、待ってってくれ」
一度家の中に入りディーネに持たせていた本を回収して再び玄関に戻ってきた。
「これ、俺が書いた本これお礼だと思って貰ってくれ」
「ん、ありがと」
そう言って本をペラペラめくりながら隣の家に入っていった。っていうかサレンも一級生徒だったんだな‥‥
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1~4話を加筆修正しました。5以降も修正予定です。特に4話の「シルヴィとお風呂」に関しては大幅に変更を加えてエルビスとシルヴィのお風呂シーンが追加されました。
フォロー、評価いつもありがとうございます。
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