第47話 サバイバルの終わりと自己紹介
森の奥の方で爆発が起きた。かなりの人数の悲鳴が聞こえる。校庭の方で砂嵐が起きている。そして目の前に合格発表一日目に見た180㎝くらいの大男がいる。あいつは強化魔法使いだろう。体から魔力があふれている。
大男は俺に飛び掛かってきた。そのまま素手で受け止めると痛みが走った。苦痛完全無効があるので苦しむ程ではないが骨がヒビ入っているかもしれない。それほどに強力なパンチをしてきた。
「お前、俺の攻撃を受け止めるとはやるじゃないか、名前は?」
「エルビスだけど?」
そう言うと彼の顔が引きつった。
「試験会場で破壊の限りを尽くしたあのエルビスか!」
どういう噂が流れているんだ? ちょっと怖くなってきた。
『リーフバインド!』
背後から女の子の声が聞こえる。振りむこうとしたが足が地面に縫い付けられていた。動けない
「優勝はSクラスよ! やっちゃって! ダリウス!」
女の子が大男に指示を出した。どうやらダリウスという名前らしい。というかいつの間にこんなコンビネーションを組む時間があったんだ?
ダリウスの一撃が腹に直撃した。脚の拘束が引きちぎれ俺は空を舞った。落下地点は崖になってた。そのまま川に落下した。
「マスター手を!」
ディーネが出てきて俺に手を差し伸べてきた。その手を掴み岸まで上がった。
「はぁ、普通の人間なら死んでるぞ。ちょっとは手加減しろ! どれくらい飛ばされたんだ?」
「マスター大体300mくらいです]
飛ばされすぎだろ!
「っていうかこの崖どうやって登ろうかな....」
「風魔法で飛べばいいのでは?」
「えぇ~前それやってとんでもないことになったじゃん」
「今のマスターなら余裕です!」
ディーネが自信満々にそう言ったので信じて試すことにする。風を足元に纏わせ上昇気流を作り出した。
「ぎゃあぁぁあ!」
地上から見た人間がいるなら『なにあれ?鳥?』と言うくらい空高く舞い上がった。そして土煙を上げ地面に着地した。
「あ~まじ死ぬかと思った」
「マスター普通の人間なら死んでます。」
「まぁ俺は死んで無いし、会場に戻ろうぜ?」
「マスター! カードを見てください!」
ディーネにそう言われカードを見ると灰色になっていた。場外負けですか....歩いて会場に戻るとクラウドが火魔法で爆炎を起こし、詠唱はしているがかなり早く次の魔法を発動し、魔眼で攻撃を事前に察知して避けて無双していた。
「あれ? クラウドってあんなに強かったっけ?」
「マスターが渡した本の所為です」
やばくない? あんな化け方するとは思ってなかったぞ? シルヴィといい勝負をしそうだ。まぁ6年前のシルヴィとだが....
そしてすぐに終了の鐘が鳴った。クラウドがこちらに走ってくる。
「どう? エルビス君! 君の本読んだらメキメキ魔法がうまくなってさ! あ、エルビス君残念だったね。場外負けがあるとは聞いてなかったから僕もびっくりしたよ」
「あぁそうだな....カードの認識範囲外に出ちゃったんだろうな」
クラウドとしばらく話していると生徒会長が出てきた。
「今年の新入生サバイバルはここで終了だ! 各自、自分ののクラスに帰って教師の指示を仰いでくれ」
そう言ってこちらに来た。
「やあ、クラウド君だったかな? やはりEクラスに入るだけあるな。あのクラスは能力の低いクラスの集まりだと思われているが違う。例外的な能力の持ち主が集まるまさに怪物の部屋さ」
「は、はぁ」
クラウドが気の抜けた相づちをうった。
「まぁ、絶望的に弱いやつらも集まるから他の生徒の認識も間違ってはいないんだけどね。エルビス君!君には期待しているよ、今回は場外負けになっていたがそれまでの戦いは僕も勉強になったよ」
そう言って去って行った。
「クラスに行くか」
「そうだね....」
誰もいない廊下を走りEクラスのドアを開ける。
「遅いぞ! エルビス君、クラウド君!」
ヴァリオン先生の叱責が飛んできた。
「すみません! 生徒会長に話しかけられて遅れました。」
俺は謝罪をして席に座った。ヴァリオン先生がクシャっとした髪の毛を掻き分け正面を向いた。
「さぁ、毎年新入生サバイバルはEクラスがビリなんだが今年はSクラスに続いた2位だ。異常なポイントを獲得していたエルビス君を場外負けさせたSクラスがポイントをほとんど持って行った。よって2位だ。」
なんかそう言われたら申し訳なくなってくる。ごめんなさい!
「だからと言ってエルビス君を責めない様に!」
フォローが遅いんじゃ!
「中間のランキング戦でクラス設備がまた変わる。それまで各自しっかりと授業を受けて精進するように!じゃあ自己紹介して終わったら、寮に戻るように!」
寮ってなんだ? 聞いてないんだけど? ディーネが俺の頭に直接話しかけてくる。
「マスター....しっかり書類は読んでください....入学した生徒は寮に住むと書いてあります。ちなみに先ほどのサバイバルの個人成績はマスターがぶっちぎりの一位なので、寮のスイートルームですよ!」
俺の隣の少女がこちらをガン見している。なんか用かな?
「次、エルビス君だよ!」
クラウドが自己紹介の順番を教えてくれた。
「あ、エルビスです。」
そのまま椅子に座った。
「ちょ、ちょっと待って!? エルビス君それじゃあ君のことがわからないだろう? 何か特徴みたいなものを一つ言いなさい!」
「え、はい! うーん、あ! 魔法教えるの得意です! ぜひ声を掛けてください。そこのクラウドも俺が成長させました!」
よし! 完璧な自己紹介だ! ....隣の彼女の俺を見る目が更にキラキラし始めたぞ。
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