第17話 街へ行こう!

 町の外に出ると、既にカインさんが一日一回の魔物討伐を初めていた。


「お手伝いします! 『剣圧:火、水』」


 カインさんを遠くから弓で狙っているアーチャーゴブリンに剣圧の塊を飛ばし吹き飛ばした。


「おらぁ! 流石だ俺の弟子だ! ナイスフォローだ」


「カインさん残りの一体は俺が貰いますよ」


 ゴブリンもとに近づき胴体を切り飛ばした。今日の魔物討伐は終わり!


 脳内にお馴染みのアナウンスがある。


『斬撃波 獲得』


 おお! なんかかっこいいの獲得した! ちょっと試してみよう!


「斬撃波!」


 思いっきり木剣を振ると、斬撃が飛び近くの木をなぎ倒した。


「うーん、これ使うか? 剣圧飛ばしたほうがいいだろ」


「あのぁ、斬撃波は魔法消費がないんだぞ剣圧は常時魔力を使うだろうが、飛ばすなんてせっかく剣に満たした魔力込みの剣圧を投げ飛ばすなんて離れ業するのお前だけだ」


 俺が唐突にスキルを獲得するのにはもう慣れたカインさんは特に驚くこともなくそれぞれの特徴について教えてくれた。


「え、剣圧って飛ばすモノだと思ってたんですけど」


「んなわけあるか、剣を持ってるやつなんて魔法の才能がないから剣持ってる奴らばっかだぞ」


「そうなんですか……でもカインさん魔法使えるじゃないですか」


「それは俺の師匠のせいだな。あの人は剣と魔法の組み合わせが最強っていつも言ってたからな……丁度お前みたいな戦い方をしていたのさ、さ、昔話は終わりだ。倒した魔物を領主邸に持っていくぞ」


 俺が魔物を引きずりながらシルヴィの家まで運んだ。重い。カインさんも運べよ。


「おお早速狩って来てくれたか! いいな6匹か助かる。こいつはポイズンゴブリンじゃないか! こいつの肝臓はいい解毒剤の材料なんだ! これは十万リートくらい払ってもいいな。ほら」


 袋に入った金貨を一枚くれた。


 この世界の貨幣は鉄貨が十リート、銅貨が百リート、銀貨が千リート、銀板が一万リート、金貨が十万リート、白金貨が百万リートだ。


 いつもシルヴィにお世話になっているし何か買ってあげよう。


「それと残りの五匹銀貨五枚5千リートだ」


 おお、いっぱい貰ったこれをカインさんと半分にしよう。


「カインさん。銀板五枚くれませんか?」


「いや、今回は全部お前にくれてやるよ。お小遣いだ、次はちゃんと分けるからな」


 そう言ってかっこよく立ち去っていった。かっけぇ。裏山の向こうにある街に向かおう。


「待て! エルビス街に行くならこの紙持ってけ」


 ゼオンさんに通行書を貰った。これで街に入るのに余計な金を払わないで済む。さてと何買おうかな。俺はルンルンで村を出た。町まではシルヴィの家の裏山を超えて1kmも無く、割とすぐ着く。リーナズという町だ。


 山を一気に下る。風が気持ちいい。


 脳内にアナウンスが聞こえる。


『速度上昇(小)獲得』


 スキルを獲得した瞬間二段階くらい速度が上昇した。


 早い……最高だ。風になったような気分だ。


 あっという間にリーナズ町に着く。街の門の門番に挨拶してゼオンから貰った紙を見せ、通り抜ける。ゼオンさんから貰った紙は役に立ったようだ。


 この街は元々ゼオン達ローレン家が住んでいた街であり、シルヴィと出会った街でもある。つまりここはローレン男爵領の中だ。


 さてと、魔物と戦うなら剣が欲しいな、いい加減に借り物の剣は嫌だ。取り敢えず武器屋に行こう。しばらく歩くと串カツ屋がある。おいしそうだ。買おう!


「1つください」


「銅貨3枚だ」


 安い! ゼオンから貰ったお金ではなくお小遣いから出した。


 串カツを口に入れるとあっつあつに焼かれた肉と油が口の中で暴れる。ソースもいい濃厚なソースが衣にしっかりと味を染みさせてよだれが止まらない。


「あ~これが都会! おいしいな。濃いソースが最高だ。今度シルヴィを連れて来よう。」


 さて、武器屋を探そう、看板を見つけたのでそのまま辿ると武器屋があった。剣は安い剣で5万リートとかが普通だ。


 お?投げ捨て価格の剣がある。価格は5万リート。う~ん迷うな。鑑定するか。


 精霊宿しの剣:今は、何も宿ってはいないが精霊を宿すことができる剣。



 精霊の剣……興味はある。現状はただの剣っぽいが......そう思い鞘から抜くと錆びていた。


 おい! でも興味深いから値下げしてもらおう! 値段設定が錆びた剣にしては明らかに高い。値下げ前提の値段設定なんだろう。


「すみません。これ欲しいんですけどもう少し値段下げられませんか?」


 売れるとは思っていなかったのだろう。店主の目が輝いた。


「いいね! 僕、その剣なら3万リートでどうだい?」


 3万リートかよし買おう!


「わかりました、あとそこの砥石おまけしてください。」


 店主がくっくっくと笑う。


「僕、意外とたくましいね! いいぞ! それおまけ込で3万リートだ。おっと、その鞘は飾りみたいなもんだから付かないぜ」


「じゃあこの剣に合う鞘をください。」


「鞘か……少し待て」


 そう言って裏に行ってしまった。暫く待つとこれまたボロボロな鞘が出てきた。


 うぅ恥ずかしいからちゃんとした鞘が欲しかったのに一応鑑定しとこ……


 精霊宿しの鞘:精霊宿しの剣。この鞘に無の剣を戻すと切れ味が戻る。


 なん......だと切れ味が戻る! やったぜ。錆が取れるんだな!


「買います!」


「あいよ、一万リートだ」


 銀板を渡す。これで後は、六万五千リートだ。。


 さてと剣に戻してみよう。カチャリと鞘に収めると鞘が光り始めた。すごい! そんな光景を見て店主が言う。


「魔法剣だったか? もっと高く売れたなぁ」


 魔法剣! なにそれかっこいい、早速剣を引き抜いて確認してみる......錆びていた。なんでだよ!



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