第18話 シルヴィのお土産

 えぇ~説明と違うぞ! コンチクショウ! もう一度鑑定してみる。


精霊宿しの鞘:精霊宿しの剣。この鞘に無の剣を戻すと切れ味が戻る。


 あ、もしかして切れ味が戻るって、この錆びた状態が戻った後ってことか……くそぉ、期待して損した。シルヴィにお土産買って帰ろう。


「まぁ気を強く持てよ坊主。俺もその剣が魔法剣だなんて知らなかったけどさ、錆びてるならどのみち売れねぇし」


 店主が慰めてるのか、バカにしているのかわからないセリフを言っているのを聞きながら、俺は店を出た。


 武器屋を出て表通りを歩いていると人集りを見つけた。面白そうだったので覗いてみることにした。人集りがきになるのは日本人の性だ、仕方がない。


 そう思い覗くと、どこかで見たお守りだ。……確かベストラーナ伯爵の子供べフィスが持ってたお守り、えっと……そう!黒錬金術だ。人だかりができるほど、人気なんだな。これをシルヴィに買うか?


 これを持ったべフィスもそこそこに強くなっていた。いや、待て白金貨5枚とか言ってたな。予算オーバーだ。棚を見ると銀貨6枚の効果が低めのお守りがあった。高いがまぁ買える値段だ。


「黒錬金術があるってことは白錬金術があるってことなのかな?」


 ボソリと思ったことを口に出す。するとその疑問に答える声が聞こえた。


「ええ、そうね黒錬金術は魔術の力を重要視して行われる錬金術、魔術を使って錬金するから効果も高い、白錬金術は自然の流れをエネルギーにして錬金する」


「黒か白かはイメージで分けられたものだから黒だから悪いってことは無いわ。逆に白錬金術は自然を利用してるから環境に悪いかと言われたらそうではないわ。

白錬金術は自然のチカラを借りているだけだから錬金が終わったらしっかりと返すわ、だから大丈夫」



 俺の疑問に答えたのは、売り子さんだった。説明も商売の内らしい。確かに黒錬金術って名前で若干引いていたがその拒否感は消えた。面白いしシルヴィへのお土産に買って帰るか。


「このお守りください。」


 売り子さんは笑顔で対応する。


「ありがとうございます! 六万リートです。」


 銀板六枚を支払い、店を出た。


 後、銀貨五枚せっかく街に来たんだ。なにかしたい。


 黒錬金術、面白そうだな少し勉強してみるか? いや、家族に香辛料とか塩を買って帰ろうかな?。


そうだ! カインさんに何か買っておこう。魔道具屋に行ってみよう。街の中を数時間掛けて探したが結局黒錬金術の店の前にあった。


店内に入ると、薬品の匂いに満ちた店だった。五千リートしか無い、適当に魔術石を買って帰ろう。


魔術石を買って店を出ると外は暗くなっていた。そのまま、街を出る。早く家に帰ろうと全力で走っていると、気づいたら魔物に囲まれていた。ゴブリン5匹スライム2匹オーク1匹だ。


 荷物はすべて降ろし戦闘態勢に入る。今日買った剣を使ってみよう。オークと戦うのは、初めてで怖い怯んだら死ぬ本気で戦う! 剣を鞘から抜くとそこには白く輝く剣が出てきた。


 なんだコレ。剣の輝きで敵の姿がはっきり見えた。真っ黒の体の魔物だ。強個体だ。真っ黒い体で普通の魔物より強いこの個体達は黒魔種と名付けることにした。俺が名付けた。


ゴブリンが飛びかかってきたので脇腹に剣を添わせ横薙ぎにした。だが剣で切ったはずのあのに傷がほとんと無い。剣圧に火と水属性を付与した。剣圧を斬撃波として飛ばすと今までの剣とは比較にならない威力の斬撃波がでた。


魔力伝導率が高いのだろうか? 剣圧の通りが良い。


 次々に飛びかかってくるゴブリンを薙ぎった。剣圧を込めた方が切れ味が上がる。あっという間にゴブリンは全滅した。スライムには子龍魔法のファイアーをぶつけ潰す。最後オークだ。先程までの魔物と格が違う。


 剣を構えオークの振り下ろしを受けきる。重い一撃だ。地面に片足がめり込んだ。普通の人間なら今ので死んでるぞ!


 恐怖を抑え込み腕を切り飛ばそうとするが骨が固く通らない。剣はオークの腕に食い込み抜けなくなってしまった。


 そういえばスキルを使うのを忘れていた。俺の持つ攻撃型のスキルの多くはパッシブスキルではない。


 『破壊属性付与(特大)発動!』


 破壊属性付与は一日一回15分しか発動できない。10分以上発動すると体に付与した破壊属性が自らの体に浸透して自分の体を破壊し始めると言ったものだ。


 そのまま一撃拳を叩きこんだ。だが倒れない……嘘だろ、今のをゴブリンに叩きこんだら大きな肉片も残らないほど吹き飛んでもおかしくないのにオークってのはどれだけ頑丈なんだ!


 血の匂いを嗅ぎつけオークが2頭こちらに来た。やばいあれを同時に三匹はきつい!


 仕方がない龍魔法を発動しよう。


『龍魔法:ストーンバレッド』


俺の上に10mを超える龍が出て口から石の散弾を飛ばしまくる。オークたちの体に当たるとガンガン体が吹き飛んでいく。ついでに地面も抉れていく。


だが、抉れた部分がムクムクと膨らみ再生した。再生機能付きだったとは……


 あいつマジでヤバイ! さっきのストーンバレッドで剣が落ちている。走ってそれを取りそのまま首に剣を突き刺した。だが硬い……少ししか入り込まない。


「エルビス、探したぞ……大丈夫か、こいつら強個体……いや黒魔種だったか? 俺も参戦するぜ」


カインさんがこんな所までカバーしに来てくれた。俺の帰りが遅いから探しに来たんだろう。


「おい、俺が足止めする。お前は子龍魔法を構えて彼奴等の頭を一発で破壊しろ。それが確実だ! いくぞ」


『土、子龍魔法:ストーンスピア』


カインさんが、オーク三体を足止めしている。黒魔種相手に流石だ……俺は遠距離から確実に頭を打ち抜くために腕を突き出し照準を構える。


「おい! エルビス早くやれ! きっついわ!」


「行きます! 発動」


俺の腕に宿った子龍が石槍を超高速で飛ばし二体まとめて頭を貫いた。


「よくやった! エルビスあと一体だ」


俺は、カインさんの元に走り剣でオークの足を斬りつける。剣圧に火属性を宿らせているため、オークの肉が焼ける匂いがする。焼けると回復が阻害されるようだ。


「おらぁぁぁぁぁ」


カインさんが転んだオークに大剣を振り下ろし頭を叩き潰した。やっと終わった。きつかった。


 オークたちの素材をはぎ取り水洗いして持って帰ることにした。


 いつものアナウンスが聞こえてくる。


『ユニークスキル 勇気の波動 獲得 』


 勇気の波動:勇気の泉の権限付与


 *****************************************

 エルビス(7歳)


 レベル45


 魔法特性 火、水、風、土、闇、光

 スキル 

 ・苦痛完全無効、

 ・無詠唱

 ・スキル取得難易度低下

 ・スキル経験値増加

 ・スキル限界突破{ユニーク}

 ・鑑定

 ・魔術支配 (中)

 ・精神ダメージ完全無効

 ・超物理防御 (特大)

 ・破壊属性付与(特大) 一日一回15分発動可能

 ・体力自動回復 (極大)

 ・臓器操作

 ・剣術 (小)

 ・教育指導ブースト (特大)

 ・手加減

 ・速度上昇 (小)

 ・斬撃波 

 ・勇気の波動 (ユニーク)

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