第16話 シルヴィの夜這い

シルヴィを振り払い家に帰りそのまま寝た。


今何時だろう誰か俺の上に乗っている。おも……い、だんだん夜目が効いてきた。これは……


「シルヴィか?」


俺の上にいる存在がビクリと震える。シルヴィは焦って降りようとしてすっ転んだ。


「いたぁい、うぅ~」


痛そうにお尻を擦るシルヴィに俺は質問する。


「シルヴィ? 何してるんだ? こんな時間に」


そう言うと焦ったようなシルヴィの声が聞こえる。手をバタバタ振りながら何かを伝えようとしている。


「ほ、ほら昨日のとき私達、婚約したでしょ。だからその……一緒にいたくて」


デへへへと照れながらそんな事を言うシルヴィ。ん? 何の話だ?知らないぞ。婚約なんてしてなかったはずだけど……


まさか魔物討伐を請け負ったのが、そういう誤解を生み出したのか? 全く別の事を考えていたんだけど……


そんな混乱している俺に構わずシルヴィは、話かけてくる。


「そのね? 夜這いに来ちゃった!」


いやいやいや、何言ってるの? このシルヴィさんは……もしかしてサキュバスかとも思ったが、そんなわけ無いかいつも通りだね。


そもそも幼い俺は出るものも出ない。サキュバスに狙われる理由はない。


「シルヴィ……昨日の話だけど俺はゼオンさんの依頼を受けただけで、シルヴィとの婚約とかまだ考えていないんだ!」


そう言うとシルヴィはショックな顔をした。暗闇であんまり見えないけれど悲壮感だけは伝わってくる。


「じゃ……じゃあ今の私は幼馴染の男の子に夜這いに来た、いやらしい子? ……うぅ~」


そう言いながら後ずさりするシルヴィ。そしてくるっと踵を返して帰ろうとした。そのシルヴィの手を俺は掴む。


「待てシルヴィ! もう夜遅い。こんな時間に外に出たら危ないから今日は俺の部屋に泊まりな」


そう言うとシルヴィは、恥ずかしそうにうなずくのが見えた。


さてと寝るか、シルヴィが俺の隣に潜り込む。なんかニヤついてるシルヴィは俺に抱きついた。なにこれかわいい! もう婚約してもいいかな、なんて考えがよぎる。


いや、だめだ。俺は、仲良くしている女の子がシルヴィしか知らないからこんな考えになるんだ! 寝よう。寝るんだ! おやすみ!


朝起きるとシルヴィが俺の服にしがみつき甘噛をしていた。うわぁ服がグチョグチョだ。


シルヴィを起こさないようにベッドを降り服を着替え帰ってきた。まだ寝ている。面白いので起きるまで観察することにした。


「おい、エルビ…‥スお、お前昨日ゼオンさんの婚約話をバッサリ切ったのに昨日の今日でこんな……」


カインさんがドン引きしている。シルヴィを起こさないように小声で反論する。


「違うんですよ。シルヴィが夜這いに来たんです」


「あ、ああ。なるほどな。それは仕方ないな、天災だと思って諦めろ」


「うぅ~エルビスの匂いー」


と言いながらシルヴィが布団の中でもぞもぞし始めた。起きたようだ。


「おはようエルビス......んふぅー」


と言うと再びベッドに倒れ込んだ。シルヴィはベットから、なかなか出れないタイプかな?


「おい、嬢ちゃん朝食の時間だ。おキロエルビスが泣くぞ」


カインさんが冗談半分でそう言ったのだがシルヴィは布団から飛び起きた。


朝食は、一般的な村人の朝食より豪華なモノだ。貴族のシルヴィの口にも合うだろう。


家でゴロゴロシていると「おおおお」、と言う声が聞こえる。何だ?


そう思い外を見るとゼオンが遠くからこちらに走ってきた。シルヴィのだな! 逃げよ


「カインさん! 俺は逃げます。あとはよろしく」


ばれないように裏山に逃げてきた。


突然俺の背後の草が揺れる。何故かゼオンさんが付いてきたようだ。暫く待つと昨日のやつれた顔とは違いハリツヤのある顔になったゼオンが草むらから顔を出した。


「おい! 小僧! シルヴィと寝るなんて許可してないぞ! あと婚約してないってどういうことだ! おい!俺はてっきりシルヴィを貰ってくれるもんかと思っていたんだが?」


俺の方を激しく揺さぶる。


「昨日はシルヴィから僕のベッドに来ましたし、こんな子供が性的なことするわけ無いでしょ! 婚約に関しては俺が貴族になるとか絵に描いた餅すぎて頷けません。」


「お、おうそうか……なんか俺よりちゃんとしているな」


ゼオンは俺に感心し始めた


「待ってくれ、魔物退治はどうなるんだ? やってくれるのか?」


「はい、今から行ってきます。でも、カインさんいるから別にって感じですよね」


「そんなことはないぞ。討伐してくれる数が多い方が村人も安全に過ごせる。全く! なんだよ! 魔物退治してくれるなら良いんだよ! お前はそのうち偉業を成す! 俺にはわかる。だから婚約は今はしなくてもいいさ!」


そう言って立ち去ってしまった。何なんだ。まあ良いサクッと今日のミッションをクリアするか!


*****************************************


    エルビス(7歳)


レベル40

魔法特性 火、水、風、土、闇、光

スキル 

・苦痛完全無効、

・無詠唱

・スキル取得難易度低下

・スキル経験値増加

・スキル限界突破{ユニーク}

・鑑定

・魔術支配 (中)

・精神ダメージ完全無効

・超物理防御 (特大)

・破壊属性付与(特大) 一日一回十分だけ

・体力自動回復 (極大)

・超攻撃力上昇 (大)

・臓器操作

・剣術 (中)

・教育指導ブースト (特大)

・手加減


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