第13話 ガチの決闘
カインさんの前だ。この一年の成果見せてやるよ! べフィスの動きは不自然だ。剣の振り方は素人同然なのに、動きだけはカインさんと同等に近い速度が出ている。
べフィスの攻撃を避ける。だが動きが早いくせに、剣筋がふにゃふにゃしているせいで服を掠った。
「当たったぞ! 俺の勝ちだ! ハハハ、シルヴィには俺のものだ!」
こいつ何言ってるんだ。掠っただけだし、肉体には当たっていない。
「おいおい何言ってるんだ? そういうルールがあるなら先に言えよ。ルール設定がないなら気絶させるまでが普通だ! あとシルヴィを物扱いするな。殺すぞ!」
そう脅すとベフィスはびくりと震えた。もう怒ったぞ! こっちにも考えがある。
俺は、カインさんとの修行で身につけた剣の奥義、スキル:剣圧を発動した。奥義を先に習得して、剣術のスキルはさっきまで小だったのは、笑い話にしておこう。
俺の体に赤いオーラが満ちる。スキル、剣圧は剣を持つことで自動発動、敵の気配を察知、速度上昇、適正魔法の魔法属性付与の効果がある。今は火属性の剣気を出している。
「け、剣圧だと、そんな馬鹿な……ど、どんな錬金術師に頼んだんだ! クソ! やってやる」
べフィスの剣を避け俺は、べフィスの剣を弾き飛ばした。だがその剣に向かって高速で飛びつき再び戦線復帰していた。あんな身体能力子どもが出せるものじゃない。おかしい
カインさんを見ると、変な顔をしてこちらを見ていた。や、やばい。時間が来たようだ。俺の剣圧は、火属性の場合一定時間立つと、俺自身の服を燃やしてしまうのだ。魔力が多すぎる影響だ。
普段は水魔法と同時に使って延焼を防いでいるのだが……今は単属性だから……
「シルヴィ! 服が燃え尽きる前に新しい服持ってきてくれ。
シルヴィに聞こえる大きな声でそう言った。シルヴィが頷いて、俺の家の方向へ走っていった。
べフィスの高速な動きとヘナヘナ斬撃に付き合っているとシルヴィが走ってきた。間に合ったようだ。
「エルビス! 服持ってきたよ!」
「ありがと! 助かった。」
ギリギリ大事な部分は隠れてたけど、ほぼ全裸で恥ずかしいな。そう思いながら服を着るためにべフィスを思いっきり蹴っ飛ばしそのスキに着替え始めた。
シルヴィは顔を真っ赤にして「あー」と叫びながらどこかへ行ってしまった。ごめんね?
俺はきりっとした目でベフィスに言う。
「お前のせいでシルヴィが逃げただろ! もういい加減に諦めろよ! いつまでやってんだよ! その気持ち悪い動きはなんだ!」
「ふざけるな! 僕はここで諦めるわけにはいかないんだ! シルヴィは僕のものだ」
そう言って、更に加速して俺に飛びかかってくる。べフィスの横薙ぎを避け剣の腹で思いっきり胴体を叩いた。
叩きつけた時、剣に剣圧を掛けすぎて木剣が燃え始めた。燃えた剣を投げ捨て近接で決めようと一気に近づいた。
「ま、まて! 降参だ」
べフィスが降参した。俺の勝ちだ、傷を治してやろう。
「手、貸せ治す。」
そう言って回復効果のある水をベフィスにかけた。あっという間に回復した両手を見て唖然としている。
「お前聖者か? こんな! 骨折してたのに一瞬で・・・くっ俺の負けだ! 帰る」
何か知らないがリタイヤしたのでシルヴィを追いかける。
「おい! エルビス、シルヴィなら向こうに行ったぞ!」
カインさんがシルヴィ向かった方向を教えてくれた。
「ありがとうございますカインさん」
「シルヴィ! ほんとごめ~ん変なもの見せてごめん」
そう言いながら辺りを探したがいない、シルヴィの家に行ってみよう!シルヴィの家に行くと、どストライクお姉さんがいた。
「あ、エルビスちゃん何してるの? そんなに急いで、そういえば、一年くらい前にエルビスちゃん私に告白してたよね、ふふっ」
黒歴史なので忘れ去りたいのだが、シルヴィの姉は合うたびに掘り返してくる。面白がっているのだろう。
「シルヴィ家にいますか?」
「いるわよ? なんか『わーー』って叫んで寝室に入ったまま出てこないから心配してたんだけど何か知ってる?」
「あの、今さっきまで決闘しててそれで僕の服が……」
そう言うとシルヴィの姉は納得した顔をする。
「また、剣圧で燃えたのね……シルヴィはピュアだからねぇ、これからも仲良くしてあげて? 家には上がっていいから」
「はい、ありがとうございます。」
俺はシルヴィの部屋まで走る。シルヴィの部屋の前に来るとノックした。
「シルヴィ変のなモノ見せてごめん、あのな……」
最後まで言う前にガチャリとドアが開いた。中から茹でだこになったシルヴィが出てきた。
「えとえと、ごちそうさまでした!」
訳の分からない事を言ったシルヴィに対して俺は報告をする。
「勝ったぞ! 決闘は俺の勝ちだ!」
というと、うん知ってた。とあっさりした返答を返された。頑張ったのに!
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