第8話 白

 

 白い犬…狼か。全身真っ白のハスキー犬みたいだ。

 えー。しかもふっさふさで飼い犬?ってくらい毛並みがよろしい気がするのだが、野生だよね?めっちゃ大きいし。今にも飛び掛かって来そうなほどの剣幕だし。


 大丈夫?狼だと思ったら飼い犬でしたとかいうパターンじゃない?

 まあ首輪ないし、テイムはしてみるんだけどな。

 そんなことを考えてるうちに、クー太たちは両サイドに別れて駆けていき、クレナイは俺の横で待機している。


 白い狼はクー太たちに目をくれず俺に向けて威嚇している。睨み合うこと数秒、クー太とランが飛び出した。

 白狼が前に出る形でそれを避け、こちらとの距離が近づいたのでいつでも移動できるよう腰を落とす。なかなか自分から動かない。視線はこちらだが、全体を警戒しているようだ。


 クー太たちは少し離れて威嚇しているが、クレナイがどこにいるかわからない。流石は蛇である。あんな身体が大きいのに気配を消すのがうまい。まあクレナイなら上手くやるだろう。俺はランがいる側に少しずつ移動し一気に駆け出す。


「ガァッ!」


 白狼も噛みつこうとこちらに突っ込んできたので鼻っ柱を叩くつもりで左手を振る。が、噛み付かれそうになったのですぐさま腕を引き戻して白狼と距離を取る。


 めっちゃ怖いわ。あれ噛まれたら腕千切れるんじゃね?

 まあテイムしたいし、逃げてもあちらの方が速いから逃げられないだろうからな。

 気合い入れて行きますか。


 クー太とランがこの隙にも飛びかかろうとして牽制しているため白狼は俺に追撃をかけるようなことはしてこなかった。もう一度横に回り込むように飛び出し今度は手を出さず噛み付きを避け胴体に蹴りをいれる。


「ギャンッ」


 よし、はいった!蹴りがはいりバランスを崩した瞬間クレナイが飛び出し脚に噛み付いた。クー太とランがすぐさま飛び出し体当たりをかまし白狼が倒れ、俺はすぐさま駆け寄り、体当たりをする勢いで白狼に取り付き押さえつける。


「このっ!大人しく仲間になれ!」


 暴れようとする白狼の胴体に乗り、地面に押さえ、クー太とランはそれぞれの手足に噛み付き、クレナイが口元に身体を巻きつけ拘束している。

 程なくして白狼はグッタリとしたので、殺してないよな⁉︎と思ったが、アナウンスがはいった。



《白狼が仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》

【Yes or No】


 よっしゃ!Yes!


《白狼が仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください。変異体をテイムしたことにより職業【テイマー】のレベルが上がります。職業【テイマー】のLvが上昇したため、基礎スキル【テイム】のレベル、個体名【中野 誠】のLvが上昇します》


《白狼との戦闘により個体名・中野誠のレベルが上がりました》


《白狼との戦闘により個体名・クー太のレベルが上がりました》


《白狼との戦闘により個体名・ランのレベルが上がりました》


《白狼との戦闘により個体名・クレナイのレベルが上がりました》



 おお!テイム+全員レベルアップ!倒さなくてもレベルアップするのか!


『ご主人様…。重たいです…』


「ん?あ、すまんすまん。それと名前はハクでいいか?」


『いえ。負けて配下になったのです。謝罪は不要ですよ。ハク、ですか?はい、よろしくお願いしますね』


「おう!よろしく。にしてもずいぶん綺麗な声だな」


『ふふ。ありがとうございます』


 とても女性的な綺麗な声だ。

 クー太たちはとっくに噛みつくのをやめて離れている。ただやっぱ手加減できなかったのかハクの手足からは血が滲んでいた。


「傷は大丈夫か?歩けるか?」


 ハクは起き上がり確かめるように少し歩く。


『ええ。多少痛みはありますが、行動に支障はありません』


「なら良かった。これからよろしくな。ステータス確認してもいいか?」


『はい。確認していただいて大丈夫です』


「了解。それとこっちが俺の仲間のクー太、ラン、クレナイだ。よろしくな」


 ハクは近づいてくるクー太たちに鼻を近づけ匂いを嗅いでいるようだ。てかクー太たちと比べるとハクは大きいな。初めて会った灰色狼よりも断然大きい。

 クー太達が小型犬サイズで、クレナイは長いからなんとも言えないがクー太を三匹繋げたくらいだな。でハクは大型犬を更に一回りか二回り大きくした感じか。

 立ち上がったら俺より大きそうだ。


 そしてふさふさだ。

 あとで撫でさせてもらおう。

 んじゃ魔物たちが交流している間にステータスチェックだな。


 まずは俺のから。



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 個体名【中野 誠】

 種族【普人】

 職業【テイマーLv3(使役上限数♾)】

 性別【男】

 状態【 】

 Lv【9】2UP

 ・基礎スキル:【拳術Lv3】【防御術Lv1】

       【速読Lv2】【造形Lv2】

       【料理Lv2】【毒耐性(中)Lv3】

       【精神耐性(中)Lv7】UP 【回避術Lv1】

       【テイムLv3】UP【蹴術Lv1】new


 ・種族スキル:【無特化】


 ・特殊スキル:【ステータス鑑定】【ボーナス(特)】

       【テイム(特)】


 称号:【適応する者】【魔物を屠る者】

   【魔物に好かれる者】


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 レベルが戦闘で一つ上がって、職業が上がって一つと。精神耐性が上がっている…。上がりやすいなー。こうポンポンレベルが上がると精神弱いって言われてるようで複雑だな。

 それとスキルの詳細が変わってないか一応チェック。


 テイムは変化なし。いやレベルが上がるとテイム枠が一つ増えるのが変化といえば変化だが、俺には関係ないしな。


 新しく出た蹴術はなんだろう。蹴り技の威力があがるとかかね。


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【蹴術】

 ・脚をつかった攻撃時補正あり。Lv1脚強化


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【拳術】の脚バージョンかな?

 この強化って頑丈になるのかね。


 次はクー太だな。



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 個体名【クー太】

 種族【魔狸(亜成体)】

 性別【オス】

 状態【進化可能】

 Lv【★10】3UP

 ・基礎スキル:【噛み付きLv4】【体当たりLv2】

       【気配察知Lv2】new


 ・種族スキル:—


 ・特殊スキル:—


 ・称号:—


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 ん!?レベルのとこに星マーク!状態のところが進化可能に変わってるんだからレベル上限ってことだと思うが…。いや、その前に気配察知をみよう。



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【気配察知】

 ・五感が鋭くなり、気配に敏感になる。


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 まあそのまんま、と。

 んで星は?



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【★】

 ・レベル上限に達した証。


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 やっぱレベルマックスってことだな!進化ができる!まあ状態のところにも進化可能とは書いてあるからな。

 よし、ステータスのチェックが終わったら進化だな!


 お次はラン。


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 個体名【ラン】

 種族【魔狸(亜成体)】

 性別【メス】

 状態【 】

 Lv【9】3UP

 ・基礎スキル:【噛み付きLv4】UP【体当たりLv2】

       【気配察知Lv1】new


 ・種族スキル:—


 ・特殊スキル:—


 ・称号:—


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 クー太と同じで三つもレベルアップして、気配察知も覚えたか。



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 個体名【クレナイ】

 種族【大赤蛇(成体)】

 性別【オス】

 状態:【 】

 Lv【7】4UP

 ・基礎スキル:【噛み付きLv3】UP


 ・種族スキル:【脱皮】


 ・特殊スキル:—


 ・称号:—


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 クレナイは新しくスキルは覚えずレベルアップのみだな。

 にしても全員レベルが結構あがったな。

 ハクが強かったのか、変異体だから経験値が多かったのか。



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 個体名【ハク】

 種族【森狼(亜種)】

 性別【メス】

 状態:【 】

 Lv【8】

 ・基礎スキル:【噛み付きLv3】


 ・種族スキル: 【群狼】


 ・特殊スキル:—


 ・称号:【変異体】


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 ふむふむ。森狼って名前の亜種だったのね。森狼って名前だと緑を想像するが、灰色と白ってどうなのよ。緑色の狼もいるかな?後ここ雑木林じゃなく森扱いなのかね。どうでもいいか。

 レベルは高いな。クレナイが怪我せずに済んで良かった。


 んでみんな覚えてる安定の【噛み付き】。

 それと【群狼】と【変異体】か。



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【噛み付き】

 口と牙を使った攻撃時ダメージ量上昇。Lvが上がるほどダメージは上昇する。


【群狼】

 群れの仲間が多いほど能力が上がる。


【変異体】

 色や体格、身体的特徴が異なって生まれた変異体。

 その種族とは異なった種族スキルを覚える。


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