第7話 紅
二匹を引き連れ…ではなく二匹に先導してもらい灰色狼の元へ戻る。魔石も取り出したんだからわざわざ倒した灰色狼のところに行く必要はないのだが、一応ちゃんと見ておきたい。理由としては自分達が殺したんだから目を背けるのはなんとなく良くないな、と罪悪感が湧いたからだ。
『ご主人さまーもうすぐだけど、狼さんの近く赤い蛇が何匹かいるみたいだよー?どうするー?』
たぬきの嗅覚って鋭いのか?まだ狼見えないんだけども。
「赤蛇が灰色狼を食べているのか?」
『多分そうー』
『多分そうよ』
「自然の摂理だろうしな。ほっとくのがいいのかもしれないが…後味悪いし、レベル上げにもなるからな。赤蛇は倒そう」
『はーい』
『わかったわ』
そういうとクー太達は飛び出して行った。二匹に任せっきりは嫌だからな。俺も行くか。
小走りでクー太達が飛び出して行ったほうに行くとクー太が既に赤蛇を一体噛みちぎって倒し、二匹目に突撃していた。ランも赤蛇を倒したようだ。
《赤蛇を倒したことにより個体名・クー太のレベルが上がりました》
《赤蛇を倒したことにより個体名・ランのレベルが上がりました》
もう上がったのか?灰色狼の経験値がたまってたのかね。いや、レベルの上がる速度を考えると三体倒して上がるのは不思議じゃないか。
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個体名【クー太】
種族【魔狸(亜成体)】
性別【オス】
状態:【エネルギー過多】
Lv【8】
・基礎スキル:【噛み付きLv4】【体当たりLv2】
・種族スキル:—
・特殊スキル:—
・称号:—
個体名【ラン】
種族【魔狸(亜成体)】
性別【メス】
状態:【 】
Lv【7】
・基礎スキル:【噛み付きLv3】【体当たりLv2】
・種族スキル:—
・特殊スキル:—
・称号:—
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レベルが上がっただけで他は変わりなし、か。これレベル上限に達したら表示変わるのかね?
「クー太は魔石を取り出してランにあげてやってくれ」
『はーい』
クー太に指示をだし、ランを見るとランは自分が倒したやつに噛み付いて魔石を取ろうとしている。俺はランを横目に灰色狼のところへ行く。内臓が出ているわけではないが、体中噛みちぎられた後があって結構くるものがある。首周りの傷はクー太とランだろう。胴体は蛇、か。
灰色狼の近くにしゃがみ手を合わせる。自己満足だがやらないよりマシだ。俺の精神的に。
「よし、赤蛇はもう問題なく倒せそうだし、灰色狼狙いで付近探索するか」
クー太たちはもう魔石を取り出してランが食べたようだ。ランのステータスをチェックしてみるが、変化はなかった。
あ、そういえば職業設定してからのステータス見てないな。一応俺のステータス確認。っと。
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個体名【中野 誠】
種族【普人】
職業【テイマー(使役上限数♾)】
性別【男】
状態【酒酔い(小)】
Lv【7】
・基礎スキル:【拳術Lv3】【防御術Lv1】
【回避術Lv1】【速読Lv2】
【造形Lv2】【料理Lv2】
【毒耐性(中)Lv3】【精神耐性(中)Lv6】
【テイムLv2】new
・種族スキル:【無特化】
・特殊スキル:【ステータス鑑定】【ボーナス(特)】
【テイム(特)】
・称号:【適応する者】【魔物を屠る者】
【魔物に好かれる者】
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おー。そういえばテイム上限がないのか…。灰色狼と赤蛇もテイムしてみようかな。よし、思い立ったら吉日、ってね。
「クー太、ラン。匂いでここら辺の魔物見つけられるか?」
俺がそう聞くとクー太たちはスンスンと鼻を動かす。
『いる、かなー?ここは血の匂いが濃くてあんまりわからないー』
『そうね。少し離れないとわからないかも』
「あー。そりゃそうだな。なら移動しよう。
それと次敵が出てきたら殺さないで弱らせる程度にしてくれ。あとは敵意がなさそうなやつは無理に攻撃しなくていいからな。」
『はーい』
『わかったわ』
「よし。ならまたクー太たちが先頭で頼む」
また二匹に先導を頼み移動する。
移動を始めるとすぐ赤蛇に遭遇。血の臭いに誘われて近づいてきていたのだろう。
「弱らせてみてくれ!」
クー太たちをみて逃げようとした赤蛇にクー太とランが襲い掛かる。敵意がなくても赤蛇は敵扱いだ。俺一人だったら確実に襲ってくるだろうヤツだからな。
なんて考えている間に赤蛇はクー太に首根っこを噛まれ、胴体はランに抑えつけられている。血はそんな出てないが。
赤蛇の顔あたりに移動し…。あれ?テイムってどうやるんだ?とりあえず話しかけてみるか?
「襲い掛かってすまんな。俺の仲間にならないか?」
蛇さんそれどころではないようです。クー太たちを振り解こうと必死のようです。
だよね。うん、ごめんよ。
「クー太、噛み付くのやめて抑えられるか?ランはそのままで」
『大丈夫だとおもうー!』
クー太は歯を緩めたと思ったら間髪入れずに頭を手を振り下ろす。
ドスッという音がし、蛇の頭が地面に叩きつけられそのままクー太が身体を使って押さえつける。
いやー。ランちゃんもそうだけど、クー太君膂力ありすぎじゃない?自分の身体より大きいのにその短い手の一振りで、ドス!って。こわいわー…。
赤蛇が動かなく…動けなくなったので視線を合わせもう一度聴いてみる。
「俺の仲間になれ」
『………』
《赤蛇が仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》
【Yes or No】
おお。敵わないとわかって屈した感じかな?仲良くできるかね?
相手が俺の仲間になりたいと思うか敵わないと思わせられればテイム可能になるのかね。基本は弱らせるか捕獲してからじゃないと厳しいかな?
クー太たちみたいに気性の大人しい、出会い頭で攻撃してこない魔物なら食べ物交渉もあり、と。
まあ、餌付けでほいほいついてくるのはクー太とランくらいだろう。多分。
よし、Yesと。
《赤蛇が仲間になりました。テイムした魔物に名前をつけてください》
『主様、これからどうぞよろしくお願いします』
赤蛇から声が聞こえた。ずいぶん礼儀正しい蛇だな。
「よろしく。無理矢理感は否めないけど蟠りはないか?それとステータス見ていいかい?」
『はい。テイムされるまではそこまで考えられませんでした。テイムされてから意識がはっきりし、そのことに感謝こそすれ、蟠りなどございません。それと私は主様の従僕になったのです。許可など取らず見て下さい』
「ふむ?てか従僕って…。仲間になろうって言ったよな…?でも主従関係ってのは間違えでもないのか?
まあそう硬くならずに仲良くやろう。こっちがクー太、こっちがランだ。仲良くやってくれ」
『かしこまりました』
『よろしくねー』
『よろしくね』
意識がはっきりしないってことは自我が薄いのかね。テイムされて賢さ的な物が上がるのか、テイムのスキルにそういう効果があるのか…。
とりあえず三匹が自己紹介してお喋りしてるので俺は赤蛇のステータスチェックと名前を考えよう。
まずは名前かな。蛇。スネーク。スネ男?いやいや。スネ男はないだろ。サーペントでサーペとか?この礼儀正しい蛇には合わないし…。赤いからクレナイ(紅)はどうだ?
きいてみるか。三匹で話している赤蛇に声をかける。
「なあ。名前はクレナイ(紅)なんてどうだ?」
『素敵な名前をくださりありがとうございます。これからはクレナイと名乗らせていただきます』
クレナイはそういって小さな頭をぺこりと下げる。即答だから不満は無いかな?あっても言わずに即答しそうだけど…。まあいい。
次はクレナイのステータスかな。
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個体名【クレナイ】
種族【大赤蛇】
性別【オス】
状態:【 】
Lv【3】
基礎スキル:【噛み付きLv2】
種族スキル:【脱皮】
特殊スキル:—
称号:—
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大赤蛇、ね。魔狸に大赤蛇ね。種族名、雑だなー。
レベルは三か。まあそんなものだろう。スキルは噛み付きで、種族スキルが脱皮…。まあ蛇だし脱皮くらいするよね。
それと大赤蛇も進化するとしたらこれからの魔石はランよりクレナイに比率を多くしてあげようかね?
脱皮は、っと。
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【脱皮】
・脱皮することによって身体傷が治る。損傷が激しいと治らないこともある。
・脱皮するにはエネルギーを使用し、連続使用できない。
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中々良いスキルじゃないか?どれくらいの傷まで治るかはわからないけどある身体が千切れてたりしなければ治るんじゃないだろうか。
「ステータス確認できたし移動しようか。クレナイは傷大丈夫か?脱皮できるなら脱皮して治して良いからな」
『ご主人さまーそんな強く噛んでないよー?』
『私もそんな爪を立てたりしてないわ』
『はい。大丈夫です。それと脱皮は今はまだできないと思います…』
大丈夫ならいいか。脱皮ができないのはエネルギーが足りないからかね。やっぱクレナイに優先的に魔石をあげようか。
「今まで通りクー太とランは敵の両サイドから突撃で。クレナイはまだレベルが低いからクー太たちが突撃したあと様子を見て攻撃してみてくれ。まあ、状況次第ではクー太たちと一緒に突撃してもいいぞ」
『はーい』
『わかったわ』
『かしこまりました』
「あ、それとクレナイは同じ大赤蛇を倒しても大丈夫か?同族はイヤなら参加しなくてもいいぞ」
『いえ、特に問題はありません。同族同士でも殺し合うことはありますので』
抵抗がないならいいかな?あとは…蛇もう一匹仲間にしたいな。できればメスを。初めに魔狸のオスとメスを仲間にしたから今後仲間にするやつもできるだけ、雌雄二匹ずつでテイムしてみようかな?なんかこういうのは揃えてたほうが気持ちがいい。
「次はメスの大赤蛇を仲間にしたいんだが、雌雄の区別はつくか?」
『たぶんー』
『だいたいは匂いでわかると思うわ』
『同族以外でもわかると思います。それと一応申し上げますが私の番の心配はせずとも大丈夫です』
おー…すごい。俺には区別つかんよ…。そのうち判別できるようになるかね?
「番ってわけではないよ。気に入ったら番になってもいいけど強制する気なんてないし。ただ同じ種族を二匹ずつ仲間にしておきたいと思っただけだから気にしないでくれ」
『かしこまりました』
コレクション扱いみたいで不快だったかね?まあその感覚も否めないが、物扱いする気はないから安心してくれ。
「んじゃメス見つけたら殺さないように!それと灰色狼くらいの大きさがないと俺が戦闘に参加するのは厳しいから、小さい敵は基本的にクー太たちに任せっきりになる。すまないが頼むな」
『だいじょうぶー!』
『それくらいなんてことないわ』
『任せてください』
『あ、魔石はどうすればいいのー?クレナイに渡すー?』
「魔石か。そうだな。一度俺のところに持ってきてくれるか?それから分配するよ」
『わかったー』
ナイフでもあれば俺も解体?できるのだが。なんか色々とクー太たちに任せてばっかりだな…。狼とかの大物が来た時くらい頑張ろう…。
『ご主人さまーなんか来るよー?たぶん狼さんー』
さっそく灰色狼か!よし、テイムするぞ!
「できるだけ殺さないように!難しければ怪我しないうちに倒してくれ。俺も参戦する」
ガサガサと音が聞こえ灰色狼が…灰色?
いや。真っ白の毛玉が現れた。
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