第28話 休息

 


 都合六回。


 三つあるダゴンの群れに各二回ずつ攻撃を仕掛けた。各一回ずつやった時点で魔力が切れかけたので一度二十六階層手前まで行って休み、魔力が回復した時点でまた作戦を実行した。


 五回目まで【水中呼吸】【水泳】【高速水泳】【寒冷耐性】【水圧耐性】しか出なく、本当に水魔法なんて物はあるのか?とは思ったがとりあえず初めに決めた回数はこなそうと六回目を仕掛けた。

 結果【水魔法】がありました。小躍りしたいくらい嬉しかったのだがそんな気力はなく。やっと終わった…。とモモと一緒に脱力した。

 ダゴンの赤身やらの素材の数は合計五十二個。ドロップしない個体がいたらもっと倒したかもしれないが…。そしてスキルペーパーは二十六階層に行く前に戦った群れと合わせて【水中呼吸】が十五個、【水泳】が、二十四個、【高速水泳】が三個、【寒冷耐性】六個、【水圧耐性】六個だ。そして最後の最後に【水魔法】が二つ…。

 もっと早く出て欲しかった。でもこれで二十六階層でガーゴイル狩りができる。


「大地さん…お疲れ様でした!」


「ああ…。モモもお疲れ。ありがとうな」


「えへへ。どういたしまして!」


 ガーゴイル狩るにしても魔力の回復を待たなければな。今のうちにステータスを確認しておこう。


 ————————————————————


 個体名【泉 大地】

 種族【日本人】

 性別【男】

 Lv【56】11UP


 スキル

 ・戦闘スキル

【格闘術2】【受身3】【腕力上昇1】

【肉質向上1】【聴覚上昇1】【魔力操作2】UP

【生命力上昇1】【木魔法2】UP【表皮硬化1】

【脚力上昇1】【水中呼吸4】UP【水泳1】

【高速水泳1】【身体強化魔法1】new【水魔法1】new


 ・耐性スキル

【苦痛耐性3】【物理耐性3】

【毒耐性3】【精神耐性4】UP

【寒冷耐性2】UP【水圧耐性1】


 固有スキル

【再生】【種】【ドロップ率上昇】

【時空間魔法】【超速再生】

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 五十匹以上、下手したら六十、七十倒して11アップか。……まあ妥当と言えば妥当か。

 そしてスキルが4になるのは物凄く大変だとモモは言っていたが、【精神耐性】が4になっている…。まあ辛かったよ。【水中呼吸】の練習を含めたら俺どれだけ水中で苦行しているんだよ。って感じだったしな。


【水魔法】は後で試すとして【木魔法】が2になっているがどう変わったのだろうか?確かレベルが上がると消費魔力が少なくなったりするんだっけか?まあこれも後ででだな。魔力が底を尽きかねない。


【魔力操作】が上がったのは嬉しい。後は魔力量次第で【時空間魔法】が使えるかもしれないと思うとワクワクする。それに結構魔力量上がった気がするんだよな。【木魔法】を手に入れたばかりだったら十四本の矢を作成して待機状態にさせておくだけで魔力切れそうだし。【時空間魔法】が使える日も近いかもしれん!そしたらアイテムボックスとか転移魔法とか使いたい。そしたら食料に困ることもなくなるだろう。


 それから一時間ほど。ステータスを眺めてニヤニヤしたり、モモと会話したりして過ごす。


「大地さんどうです?まだ魔力は回復しませんか?」


「うーん…。気怠さは無くなったがまだだろうな。気怠さが無くなってそんな経ってないし」


「そうですか…」


「なんだ?そんなにガーゴイル狩りしたいのか?」


「はい!私がちょーーー活躍出来る相手じゃないですか!バシバシ倒してレベルアップしちゃいますよ!」


「お、おう。でもお前のステータスが見れないのは不便だな。進化するってことが分かっていても後どれくらいかとかスキルは何を持っているかとかわからんし」


「まあそれに関してはどうしようもありませんし…。バシバシ魔物を倒してればそのうち進化出来ますよ!」


「まあそうだな。さてと…俺は少し仮眠するよ。水中だけど【水中呼吸】が4になってるおかげで問題なくねれるだろ」


「そうですね。私も少し休みます。階段内なら敵も襲ってこないでしょうし」


 そういうことで一緒に仮眠を取ることにした。



 ♦︎



 ドンッ!


 いてぇ!?な、なんだ!?

 って階段じゃない!?湖!?


 足が痛む。何かに攻撃されたんだろうとすぐさま敵を探すと少し離れたとこにダゴンが一匹いた。群れじゃなくて一安心だが…。


「モモどこだ!」


 毛皮の半纏を捲ってみるがいない…。どこ行ったんだ…?ダゴンにやられた…?


「チッ」


 とりあえず二発目の水大砲を撃とうとしているダゴンを倒すのが先だ。水大砲が放たれた瞬間に横に避け、矢を作り始めながら接近していく。

 だが何故かダゴンは距離を詰めると距離を取る。

 俺が倒し損ねたやつかっ!

 おそらく近づくと魔法で倒されていたので距離を取っているのだ。魚の癖に知恵が回るやつだ…。


「だが…その距離なら届かないことはなんだ」


 太さも鏃の形も気にせず複数の矢を放つ必要があったから群れと戦うときは出来るだけ近づかせて撃ったが一本だけなら飛距離も威力も高くなる。しかも生成を始めた瞬間気付いたが使用魔力が減っているのを実感できる上に生成速度が上がっている。なので多めに魔力を込め三発目の水大砲を撃とうとしたダゴンに向けて矢を放つ。

 結果、水大砲を撃たせる前にダゴンの顔面に矢が刺さり倒すことができた。


「それよりモモだ!死んでねーだろうな!?どこ行ったんだっ」


 ドロップアイテムは放置し、モモを探すが羽の一枚すら落ちていない。あいつもダンジョンが作った生物なんだから死んだらドロップアイテムが残ってたりするだろう。だがそういったものは見つからない。


「くそっ。まじでどこいった。まだ階段にいるのか!?」


 すぐさま階段へ行き潜っていく。すると二十六階層の手前でふよふよと水中に漂っているモモを見つけた。


「モモ!」


「ふぁあ…。大地さん…?」


「無事か!?」


「え、え?無事って…?何かあったんですか?」


 寝ていただけ、か…。まじで焦った。死体が浮いてるのかと思う寝方してんじゃねーよ。


「目が覚めたら…というかダゴンに攻撃されて目が覚めたんだ。寝ている間に湖の方まで昇って行っていたらしい。んでモモがいなかったからダゴンにやられたのかと思ったんだが…お前は上に浮いていかなかったんだな…」


「あ、大地さんは人間だから潜ろうとしなきゃ浮いちゃうんでしたね…。私は妖精ですから水中や大気中でも自分の意思で移動しない限り浮力や重力に影響はされないんですよ」


「そうか…やっぱり水中で寝るのは良くないな…。次からは気をつけよう」


「はい!」


「とりあえず二十六階層に降りよう。少し休んだらガーゴイル狩りな」


「了解でっす!」


 呑気に寝ていたのは俺の心配を返せって感じだが、モモに悪いところはないからな。無事でよかった。

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