第21話 賭けは負け?
とりあえず俺はダゴンを食べたし今のとこは空腹感もないからいいや。一応別の果物を見つけたら味見してみよう。
「これからどうしますー?」
モモが見た目りんごの果物を突きながら聞いてきた。
「ダゴンを何匹か倒してスキルペーパーを手に入れたい。こいつらから何種類のスキルペーパーが出るかわからんが今までの傾向的に二〜四つくらいだろう。レア度が高いものは知らんが、平均的に出やすいのはそれくらいだろうからとりあえず十匹くらい倒してスキルペーパーが出るのを期待しよう」
「わかりました!でも見える範囲にはあまりいなさそうですよね?」
「ああ。だからモモ。お前が湖の中心の方まで探しに行ってお引き寄せてくれ」
「えー…。囮ですかー?いやですよぅ…」
「お前ならできる」
「水魔法で攻撃されたらどうするんですか!」
「お前なら避けれる」
「もう!煽てるならもっとちゃんと煽てくださいよ!」
「モモだからこそ任せるんだっ。お前は優秀な迷宮妖精なんだからそれくらい朝飯前だろう」
「ふ、ふんっ。そんなこと言われたって信じられませんっ」
とか言いつつも少し嬉しそうな声音のモモ。本当単純なのか阿呆なのか…。まあ頼りにしているのは本当だが改まってそんなこと言いたくないしな。
「じゃあちょちょいっとダゴンを探して連れてきてあげます!」
「任せた」
パタパタと飛んでいくモモ。他にも誰か居たら賭けをしたいところだな…。
一、魔法を撃たれ逃げ帰ってくる。
二、途中で飽きて帰ってくる。
三、一匹じゃなく三匹くらい引っ掛けて大慌てで逃げ帰ってくる。
四、魔法で撃ち落とされる。
どれだろうか…。四の撃ち落とされるはないな。あいつはなんだかんだと言って素早いし、さっきいたダゴンも俺には水大砲を撃ってきたがずっと頭上に居たモモには何もしなかったところを見ると大して脅威と思われていないか、迷宮が創り出した存在ってことは同族みたいなものだろうから積極的に襲わないとか。何かしらある気がする。
そう考えると一の可能性もあんまりないな。
二か三。三だな。一匹だと思って挑発した結果、周りに二、三匹いてそれらに追いかけられる。俺ならこれに賭けるな。
………ちゃんと一匹だけを連れて戻って来る可能性?それはないだろう…。モモだぜ。
なんて一人で賭けて暇つぶししているとモモが大慌てで戻ってきた。こうなると一か三で、三だろう。俺の賭けは当たりだな。
「だ、大地さーーん!!」
「おう。一匹だと思って挑発したら複数いたか?」
「なっ!?見てたんですか!?」
おお。正確!流石俺。
「いや、予想していただけだ」
「ならなんとかしてください!もうすぐそこまできてます!」
「了解した」
木の矢を作り待機状態にして置き湖に近づく。見えたらすぐに撃ち込めるように。そして撃ち込んだら魔法が来ないうちにすぐ下がりダゴンが陸に上がって来るまで挑発する。
「波が出てきたな。何匹誘き寄せたんだ?四匹くらいか?」
「何言ってるんですか!数え切れないほどです!」
はい?今なんつった?とりあえずダゴンらしき影が見えたので矢を撃ち、下がる…と同時に大量の水大砲が水中から飛んできた。
「ちょっ!?お前!!何だこの数の魔法!まじで何したんだ!?」
「予想してたんじゃないんですか!?」
「これは予想外だわ!まじで何したんだよ!」
「一匹見つけたので火魔法を撃ったんですけど反応しなかったんです!その後殺菌効果のある水を上からこれでもかーっていうほどかけたら何処からか大量のダゴンが出てきたんですよう!」
「おまっ!その殺菌作用のある水何か変なもんでも入ってんじゃねーのか!?」
「知らないですよー!」
はぁはぁ…。物凄い数の魔法を避け切った。水だから当たっても大丈夫だろう…なんて思って気絶でもしたら嫌なので全力で避けた。まあそんなこと思わないけどな。後ろに着弾した水大砲の後には小さいがクレーターが出来ている。相当な威力があるんだろう。
「でもこれなら…」
左で右腕を抑え、出来るだけ木の矢を連続作成して発射させる。威力は必要だが当たり所が悪くて死んでもらっては困るのでほどほどの威力で短く作成した矢を狙いを気にせずに撃ち込む。
「……………魔法も本体も出てこないな」
「ですね…」
「ちょっと見てきてくれるか?」
「嫌ですよ!絶対魔法が飛んできます!」
だよなぁ…。一分、二分と待っているとバシャッとダゴンが現れた。しかも一匹ではなく何匹、何十匹も一斉にだ。作戦でも練っていたのだろうか…。
「モモ。お前は少し離れてろ。気を逸らして欲しいが…こいつら遠距離攻撃できるしな」
「はい、そうさせてもらいます…」
よっしゃ。何匹いるのかわからんが陸でなら何とかなるだろう。問題はこの位置どりで戦闘をすると湖に蹴飛ばしたりするとドロップアイテムが無駄になるんだよな…。側面に回り込んで叩くか。
右側に駆け出し右手で棍棒を振り回し、左手に持ったライノマンの角で刺突する。出来るだけ湖の方に飛ばさないように。棍棒も蹴りも右側から陸側に振り抜くように。たまに間に合わず振り切った状態の棍棒を戻す勢いで攻撃もするがそれは諦める。
胴体は結構硬いようで基本的頭部、もしくは脇腹に攻撃していく。人型なので急所は人とほぼ同じだろうからな。
そして棍棒を振り回すこと数分。いや数十分か…?俺の後ろにはドロップアイテムだけが落ちており、目の前にいる倒れた三匹が最後のようだ。
「モモ!」
「は、はい!お、怒らないでくださいよー!ちょっと連れてき過ぎたかなぁ…なんて思わないこともないですけど…オーダー通り連れてきたんですから!」
「いや、怒ってないぞ?ぶっちゃけ陸でのダゴンは弱いからな。怪我もしなかった。武器を持ってたり魔法をバンバン撃って来るならまだしも魔法は始めに使ってきただけだったからな。そうじゃなくてドロップアイテムを見てもらうために呼んだんだよ」
「ああ…。ならよかったです!褒めてもいいのですよっ」
「怒りはしないが褒めもしないわ。これがダゴンじゃなきゃ俺はボロ雑巾のようにリンチされてんぞ」
「ですよねー!わかってましたぁー」
「ならドロップを見て行こう」
「はい!」
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