第17話 再生とは?
「あ!再生の話ついでに、大地さんって今おいくつですか?」
「なにがついでなのかわからんが29だな」
「うーん。再生は最も健常な状態に、って言ったじゃないですか?大地さんの見た目ってもっと若く見えますよ?」
「そう言われても鏡もないから、な。別に再生で肌年齢が若返った、ってことか?」
「多分?」
「多分って……それより肉はもういいか。多少生焼けでも再生するんだろ」
——とは言いつつも味の心配もあるので肉の端を少しだけ齧る……少量すぎて味がわからなかった。
臭くはないので気合いを入れて焼き鳥くらいの大きさの肉を丸々口に含む。
「あんま美味しくは、ないな。不味くもないが」
「まあ本当にただ焼いただけですからね。まあ不味くないならいいじゃないですか!」
「そうだな」
その後も千切っては焼いてもらいブロック肉を全て食べ終わった。
「ふぅ。ありがとうな」
「どういたしまして!」
「それにしても再生って呪いみたいだよな。さっきも思ったんだが赤ん坊が再生スキルを手に入れたら赤ん坊のままってことだろ?あとは健常な状態に戻すってことは疲労もしないのか?極論食事や水分を摂取しなくても死なないってことじゃないのか?」
「もー。質問が多いですね!仕方ないので答えてあげましょう!」
ふふん。といった感じで胸を反らすモモ。見た目だけなら可愛いんだがなぁ…。
「赤ん坊は赤ん坊のままですね。幼児が手に入れたら確かに呪いでしょう。まあスキルを封印するスキルもあるのでそういうスキル持ちを探して成長するまで再生を封印して貰えば成長はできますが」
「そんなスキルもあるのか。強そうだな」
「強力ではあるんですけど使い勝手はあんまり良くないですよ?まず相手がどんなスキルを持っているのか知らないといけませんし、一人につき一つしか封印出来ません。後は五人までしか封印が出来ないので六人目のスキルを封印しようとするなら誰か一人分の封印を解除しなきゃいけないとか」
「ほぅ」
「えーと、再生についてですよね?赤ん坊には呪いでしょうけど、老人が手に入れたら若返ります。あと肉体的な疲労は時間が経てば治ります。食事も水も摂取しなくても死ぬことはないです。ただ…それは肉体の問題だけですね。肉体的には治るので放っておいても問題ないですが精神的な疲労はあるでしょうし、食事を摂らなければ飢餓感を感じます。大地さんだって空腹や喉の渇きを感じたでしょう?それは精神が…脳がそういう判断をしてるだけで肉体的には問題ないと思いますよ?」
「……つまり再生待ちを殺すなら即死か、再生が追いつかないほどのスピードで切り刻むか、精神的に追い詰めてショック死とか、脳に死んだと判断されるしかないと?」
「まあ後はナイフとか刺して抜かなければずっと刺さったままなので、痛みを感じて治る、でも刺さってるからまた痛みを感じる。でも治って痛くなくなる。ってのを瞬間的に感じ続けたりするんじゃないですかね?」
「なにその拷問。再生持ちは拷問に弱いな」
拷問に強い人間なんて居ないと思うが。
そして細かく色々聞いてみるた結果。
一、再生を取得した時点までの一番健常な肉体に戻ってそこが再生の基点となる。
二、寿命が無くなる。
三、再生する部位、量によって魔力量は変わるが魔力を使用するため魔力は肉体よりも再生し難い。(全く再生が効かないわけではない)
四、普通の再生なら再生が追いつかないほどの傷を与えれば死ぬ。
五、超速再生も持っている俺の場合は魔力枯渇状態で殺すか、心臓や脳を破壊されて即死するか、精神的な死以外は何とかなる、らしい。
まあ不死身ではないならいいか。いや、不死身の方がいいって人もいるかもしれないが俺はそんな何百年何千年も生きて精神が保つ自信は…あまりない。それに治るといっても痛いものは痛いからな。極力再生のお世話にならない方がいい。
「そういえばオークと戦ってる時、最初は棍棒が重すぎて持つのが大変だったがだんだん持つのが楽になったんだよ。それは筋肉とかが常に再生し続けて筋力が上がったんだと思っていたんだが違うのか?」
「……気のせいでは?それか…【苦痛耐性】とかの熟練度がステータスに現れないレベルで上がって持ち上げるのが楽になった、とか。あとは【格闘】のスキルで棍棒をどう持った方がいいとか無意識で理解したとかですかね?」
「そうか…。じゃあそろそろ移動するか」
「はい!」
雄鶏と雌鶏……イビルへェンとイビルルースターは攻撃手段はどの個体も似たような物だ。まずタッタッタッっと近づいてきたと思ったら飛び蹴り、その後何故か硬い羽などで攻撃。毎回必ずと言ってもいいほど跳んでくるので、棍棒を構えて打ち返す。まあホームランとは行かずにピッチャーゴロくらいしか打ち返せていないがすぐ様追撃すれば楽に倒せるようになった。
そして肝心のドロップアイテムは…。
「なあ。十匹倒してスキルペーパーは【脚力強化】と【物理耐性】が二枚ずつで、後は鶏肉十個とトサカが一つなんだ。トサカの使い道を教えてくれ」
「ドロップはしてるんですからいいじゃないですか」
「いや、もう使えないスキルペーパーとか持っていけない鶏肉なんて出ても仕方ないし。トサカなんて何の意味があるのかもわからないし」
「トサカは薬の材料ですね」
「薬作れないから必要ないよな?ちなみになんの薬だ?」
「精力剤ですね」
「……トサカ以外の材料を聞いてみてもいいか?」
「欲しいんですか?精力剤」
「いや、いらん。興味本位だ」
「イビルルースターのトサカ、ホーンラビットの心臓、キングスネークの血液、バジリスクの卵、ハッピータートルの肉、ですね」
「その中だとイビルルースターが最弱?」
「はい」
「そんなもん誰が作るんだよ…。精力剤作るのに命懸けじゃねーか」
「でもでも効果は凄いらしいですよ!三日三晩…」
「もういいから」
「そうですか?必要になる…ことはないですね。大地さん再生しますし」
「あー…」
いや、命懸けで素材集めてそんな強力な精力剤なんていらんわ。なんでそんな情報までダンジョンは植え付けたのだろうか…。
というか再生凄いな。衰え知らずか。
「トサカは捨てていくか」
「まあ邪魔なだけですもんね…あっ」
「どうした?」
「あそこ!階段ありますよ!」
「おお、でかした。次は…二十五階層か。降りたら一休みするか。さすが疲れたな」
「まあそろそろ丸一日くらいは経ってるでしょうからね。再生があっても疲労感はありますからね」
もうそんなに経ってるのか…。再生って戦闘では助かるが肉体の疲労も治るし気が付かないうちに精神が限界。とかありそうで怖いな。ちゃんと休みは入れないとな…。
そして二十五へと。
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