第15話 親御さん?
ライノマンを倒しまくり下階層への階段を見つけた。
「ようやくだな」
「ですねー。体調とかは大丈夫ですー?」
「腹は減った」
「オーク肉持ってくればよかったですね?」
「オーク肉な…。でもポケットに入る大きさじゃなかったし、片手が塞がるのは困るからな。上着で包んで即席の風呂敷包みみたいにしてもよかったんだが…この毛皮のじゃあ分厚いから難しいし、これがないとシャツ一枚で装甲が心許ないからな…。キングエイプからドロップした毛皮だし多少の防御力は期待していいだろう?だからこれを着ないという選択はあまりしたくない」
「まあそれは仕方ないです。曲がりなりにも二十階層のボスから出たアイテムですのでそれなりに防御力はありますよ?元々着てた上着を捨てなきゃよかったですね?」
「ああ。まあ過ぎたことはいいさ。別にオークからしか食料が出ないわけでもないだろ?」
「はい。一応マンドラゴラやアルラウネから出た種だって食べれますからね?」
「……それも置いてきたしな。ライノマンからは食べられそうな物はなにも出なかったし次の階層に期待だな」
二十四階層はアルラウネがいた所の様な場所だった。通路の幅は十メートルほどだろうか?車線の幅が大体三・五メートルだから約三車線って感じだ。それよりも細いかもしれないが。そして床や壁には草や蔦が生い茂っている。アルラウネのところと明確に違うのは明るさだ。発光花…だろうか数が多いし、一つ一つの光も強い気がする。
「ここはなにが出るか予想がつくか?」
「わからないです!」
「ダメ元で聞くが二十一〜三十階層に出てくる魔物を全て思い出せないか?どの階に何がいるかって詳しくはいいから」
「ひ、人型です!」
「優秀そうな迷宮妖精がいたらそいつと契約しようかな…」
「な、何でそんなこと言うんですか!初めての相手は大切にしてください!」
「嫌な言い方するな。二人…二匹契約とか無理なのか?」
「え、え、えっと…だ、だめです!契約は一度だけです!」
何故吃った。絶対嘘だろ。
「そりゃ残念だ」
「ふぅ…」
「今度試してみるか」
「えぇ!?駄目ですよう!た、大変なことが起こります」
「………まあ今度見つけたら試してみるさ。それでもし、万が一、モモが嘘を付いてたら契約解消な?まあ…モモは嘘ついてないんだろうから大丈夫だと思うが…念のため試してみるさ」
「ご、ごめんなさい!契約できます!何体でも契約できます!だから私のこと捨てないでください!こんな深い階層にいたら次いつ人間に会えるかわからないんですよぅ…!一人は寂しいです…!」
「ふっ」
「なんで鼻で笑ったんです!?捨てませんよね!?ね!?」
「安心しろ。俺がそんなことするわけないだろう?」
「す、するって言いました!」
「冗談に決まっているだろうが。冗談もわからんとは…」
「だーかーらー!大地さんの冗談はわかりにくいんです!」
なんだかんだと、モモは揶揄い甲斐があるというか反応がいちいち大袈裟だが、声がでかいのを除けば結構可愛いんだよな。声が聞こえなきゃピヨピヨと羽をバタつかせているんだろうな。なんて思ったら微笑ましくなり指先でモモの頭を撫でる。
「い、いきなり優しくされたって騙されないんですからねー!」
「はいはい。…待て。音が聞こえる」
「え?魔物ですか?」
「ああ。とりあえず魔物を倒したら覚えてる限りで二十一〜三十階層の魔物を教えてくれ」
「わ、わかりました」
階段を降りてモモと戯れてたがゆっくりと進んではいた。まだ横道を見つけていないし、見える先も一本道にしか見えないが何処か横に道があるんだろう。流石に一本道で全く影も見えないのに音だけ拾えることはないだろう…多分。
そして視線の先、数十メートルは離れているだろうが魔物が現れた。
目を凝らしてよく見てみると…。
「あれは…モモの親御さんか…?」
ペシッ。
頭を叩かれた。全く痛くないが。
「なんだよ」
「なんで私の親御さんになるんですか!私の親は迷宮で!名付け親は大地さんです!」
「だから大声を…って。まああっちもこっちに気付いていたみたいだからいいけどさ。アレって二足歩行してるし、人型に近いが…鶏、だろ?」
「あれはイビルルースターかイビルヘェンです!私とは無関係です!」
「ルースター?へェン?何が違うんだ?」
「雄鶏か雌鶏です」
「ああ。アルラウネとマンドラゴラみたいなもんか」
「はい。とにかくあれは私とは縁もゆかりもない魔物です!なのでチャチャっと倒してください!」
縁もゆかりもないって…同じ迷宮を親とする生物だろうに…。
まあ鶏なら鶏肉がドロップしそうだし頑張るか。走ってくる鶏…巨大人型鶏が突っ込んできた。こいつも突進しかできないのだろうか、と思ったら駆けながら跳びドロップキックをしてきた。
「!?予想外すぎるだろう!つか足発達しすぎじゃねーか!?」
近くで見たら鳥足は鳥足なのだが腿のところがものすごく膨らんでおり筋肉盛り盛りといった感じだ。
とりあえず避けることは出来たのですぐさま後ろを向き棍棒を振るう。
バシンッ!
「クェェェェ!」
は?羽を広げ俺の棍棒を弾いたんだが…。というか鶏らしくない鳴き声だな。
「モモ援護!」
「はい!」
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