第14話 表皮



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個体名【泉 大地】

種族【日本人】

性別【男】

Lv【28】2UP


スキル

・戦闘スキル

【格闘術2】【受身3】【腕力上昇1】

【肉質向上1】【聴覚上昇1】【魔力操作1】

【生命力上昇1】【木魔法1】


・耐性スキル

【苦痛耐性3】【物理耐性3】

【毒耐性3】【精神耐性3】


固有スキル

【再生】【種】【ドロップ率上昇】【時空間魔法】


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レベルの上がりが遅くなって来たな。


「あんま変わってなかったからもう行こう」


「はーい!」


その後ライノマンを倒しつつ進んだ。

二体同時は初戦だけで後は一体ずつだったので大した苦労は…一度角で腹を刺されたが…それだけだ。それも一分もせず塞ったしな。刺されたことよりも筋肉や脂肪、皮膚がボコボコと元に戻って行く方が衝撃的だった。

人間やめてね?というか超速再生を手に入れたから再生は死にスキル、なんて思ったが相乗効果が生まれてないか?超速再生だけの再生速度がわからんからなんともいえないがそう思うほど異常な光景だった。


「あれ?モモ。何匹倒したか覚えてるか?」


「十二匹です!」


あ、そうそう。十二匹。ドロップしたのは【物理耐性】が三つと【表皮硬化】が三つ。角は十二個。角は確定ドロップなのだろうか…?部位破壊でドロップ変わったりするのだろうか…?


そして【表皮硬化】を見て思ったのが表皮があるなら真皮硬化などもあるのだろうか。と思った。もちろんモモに確認はしたが、わからない。の一言が帰ってきただけだった。


「それにしても階段みつからないな…。そろそろこの光景にも飽きてきたんだが」


「頑張ってください!それもダンジョンの醍醐味です!」


「いや、お前だって飽きてくるだろ?」


「大地さんを見てると飽きないですよ?」


…それは俺の台詞だわ。石壁を見てると気が滅入ってくるので少し前からはもっぱらパタパタと羽を動かすこのヒヨコを見ている。

羽を動かさなくても飛んでられるのに何故動かすのだろうか。とか、やっぱり飛べない鳥だから無意識に羽をはためかせないと落ち着かないのだろうか。とか。

後は会話する時にそのちっさい嘴を動かすのはいいが、どうやって喋っているのか?

もはや俺の観察対象となっているモモ。


「なんか失礼なこと考えてません?」


「いや?至極真っ当な疑問を抱いているだけだ」


「…ちなみにどんな疑問か聞いてもいいです?」


「……………色々だ」


「絶対私が鶏に進化するのか、とか!失礼なこと考えてましたよね!?」


「いや、そんなことは本当に考えてないから安心しろ」


「本当ですかー?それならいいですけど…」


「ああ。だって鶏に進化するのは疑問じゃなく確定事項だろう?もうそんなことを疑問に思ったりしないから安心しろ」


「!?」


モモが無言で羽で叩いてきた。

痛くはないんだが…鬱陶しい…。


「ちょっと事実を言われたくらいで暴れるなよ」


「鶏は可愛くないから絶対なりませんー!!!」


別にそんなことないと思うんだが…。まあヒヨコの方が可愛いな。

モモを適当にあしらいつつ進んでいく。流石のモモでも魔物が出てきたら暴れるのをやめた。


「またライノマンか。時間がわからない何時間この階層にいるかわからんが、こうも同じ石壁、同じ魔物しか出ないと飽きるな。あと腹が減った」


「基本一層に一種なんだから仕方ないです」


「いや、それでもさ。たまには別のが出るんだろ?後はお宝とかお前以外の妖精とかも見ないし」


「あれ?」


「なんだ?」


そう言いつつも突っ込んできたライノマンを棍棒で殴り倒し眼球にドロップ品であるライノマンの角で攻撃する。


「あ、いえ、先に倒しちゃってください」


そう言われてももう終わるが。角を刺しても即死はしないので何度か棍棒で打ち付けると沈黙し、消えていった。ドロップアイテムはスキルペーパーとライノマンの角だった。


「このスキルペーパーは?」


「えーっと。【表皮硬化】です」


「またか…。【表皮硬化】と【物理耐性】しかドロップしないのか?」


「そんなことないと思いますけど…その二つしかドロップしませんね?」


「早く次の階層に行きたいな…。それでさっき言いかけたのは?」


「ああ。一度妖精が居ましたよ?大地さんが知らないってことは透明化してたんでしょうね。軽く会釈だけして行っちゃいましたけど」


「は?居たんなら教えてくれよ。どんな妖精だった?」


「猫型の妖精でしたよ。一番多いタイプですね」


「ほほう。何で一番多いんだ?」


「私達ダンジョンフェアリーは一応人間のサポートが主な役割なので人間に親しみ易い、不快感を与え難い姿が多いんですよ。ゴキブリ型の妖精なんて嫌でしょう?」


「まあ大半の人間は拒否反応があるだろうな…」


「だから人間の身近にいる生き物、よく見る生き物が多いんですよ。犬型と猫型が一番多いですね」


「ヒヨコは?」


「鳥も身近な動物でしょう?だから鳥型も多いです!」


「鳩とかカラス、インコとかは身近だが…ヒヨコって俺見たことないな。鶏は身近といえば身近だからその子供も身近だろう。って話なら、まあ納得だな」


「ヒヨコも身近、です!知らない人なんていないでしょう!?」


「ああ。そういう意味なら確かにそうだな」


「そうでしょうそうでしょう」


うんうん。と満足気に頷いているが満足していいのか…?まあ本人的にヒヨコの姿なのは別に嫌じゃないらしいからいいか。成長して鶏になったり、進化して鶏になるのが嫌なんだな。


「次見かけたら教えてくれ。モモ以外の妖精ってのを見てみたい」


「私じゃ不満ですかー?」


「………そんなことはない」


「今の間はなんですか!鶏が食用じゃない世界だったらきっとヒヨコは愛玩動物でしたよ!」


「愛玩動物になりたかったのか?」


「え…あー。微妙ですね」


どうしたいんだよ…。


「まあいい。ほら。早く階段を探すぞ」


そうして数度ライノマンとの戦闘はあったが下階層への階段を見つけた。

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