第13話 物理耐性


「なんだ?また後出し情報か?」


「いえ、この内装…植物が発光花しかないですし、全て石壁ですから多分ガーゴイルかライノマン、ですかね?」


「ですかね?と言われても俺はわからんぞ。ガーゴイルはわかるがライノマンってなんだ?」


「二足歩行のサイだとお思っていただければ!」


「ほーん?オークのサイバージョンか?」 


「まあそんな感じです!」


サイ、か。皮膚が硬い、力が強い、角が生えてるってことくらいしか想像できんな。

ガーゴイルもそうだが硬そうだよな…。オークの棍棒でダメージがなきゃまた眼球攻撃、か…。


「その二種類の特徴は?」


「??二足歩行のサイと動く石の像ですよ?」


「そうじゃねーよ。攻撃手段とかそういうのだ」


「うーん。サイは突進?ガーゴイルは…突進?」


「突進しかできないのかよ。誰でも出来るわ。オークもキングエイプも突進してきたわ」


「アルラウネとマンドラゴラはしてきませんでしたよ!」


「そういうことじゃなくてだな…」


「何でそんな諦め切った顔してるのですか!突進だって立派な攻撃手段ですよ!」


「はいはい」


まあ魔法を使えず武器を持ってないなら突進して殴りかかってくるくらいしかできないか。

進んで行くと行き止まりが…じゃなくT字路が見えてきた。


「ちょっと待て。音が聞こえる。多分この先どちらか曲がったところを歩いてる。待ち伏せして姿が見えた瞬間に突っ込む」


「うーん…。聞こえないです。【聴覚上昇】のおかげですかね?」


「そうじゃないか?これはサイ、か?ガーゴイルが石で出来た魔物なら歩くだけでもっと大きな音がするだろうし」


「サポートします?」


「いや、大丈夫だ。とりあえず一人でやってみる。オークの何倍も強いってことはないだろ?ならなんとかなるだろ」


「わかりました!見守ってますね!」


「そろそろ大声を出さないっていうサポートをしてくれ」


「あ、すみません」


「…今回は大丈夫そうだ。割と離れているみたいだしな」


そして三十秒、六十秒と時が立ちモモでも歩く音が聞こえるくらい近づいて来て灰色の物体が右側の通路から見えた瞬間に飛び出す!


ゴンッ。


物凄く硬い物を殴りつけた音がした。やっぱり硬いのか!?


「ガァァァ!」


「オォォォ!」


「うおおお!?」


「三重奏ですね!」


「…じゃねーよ!ビビったわ!一回下がるぞ!」


現れた魔物はサイ…ライノマンだった。それはいい。そして一撃を喰らわせ感触的にあまり手応えはなかったが次は膝などの関節に攻撃しようと突っ込もうとした瞬間に左から唸り声が聞こえたのだ。

そして唸り声の正体はもう一匹のライノマン。

完全に右から出て来た一匹と戦闘を始めるつもりだったから完全に不意を突かれたのだ。


「あ…。左から突っ込んできたやつが右のやつにぶつかって消えましたね」


「ああ…。ぶつかって飛んでったのは間抜けだがすぐにでも二匹で俺を襲ってくるだろう。てことでモモ。一匹頼む」


「はーい!任せてください!」


ドスドスと二匹が走って角を曲がってやって来た。モモは後ろの個体に水をかけ足止めを始めたので俺は棍棒を一本だけ持ち駆け寄ってくる一匹に肉薄し体勢を低くして通り抜けたところで膝裏にバットを持つように両手で持ち思い切り振り当てる。

そうすると目論見通りバランスを崩し転んでくれたので膝を執拗に叩く。


バキッ。という音がしたと思ったらライノマンの膝は割れ血が出ている。

血はちゃんと赤なんだな…。もう立てないと判断しもう一本の棍棒を拾い何度が叩くと動かなくなった。


「大地さーんそろそろいいですかー!?手の届かないとこから攻撃してるとはいえ怖いんですよー!」


「ああ!今行く!」


そしてモモが引きつけていたライノマンも同じように倒すことができた。


「ふぅ。お疲れ様です!それにしても大地さんかなり強くなりましたね!」


「ああ。キングエイプ、オーク、ライノマンの方がまだ膂力的には上だろうが、速さならもう負けない気がするな。と言っても少し上ってくらいだろうが」


「膂力も勝ってそうですけどね?そんな重たそうな棍棒を二本も振り回せるんですから」


「あー…どうなんだろうな。まあそれはいいさ。余裕を持って勝てるようになったんだしな」


そしてライノマンが消えていきそこに現れたのは十五センチほどの角。


「ライノマンの角ですね!加工して槍とかに使うといいらしいですよ!」


「加工技術ないしこんな大きな角持ち歩いても邪魔になる…いや。柄がなくても刺突用にはなるか?」


もう一匹の方を見るとそちらは角とスキルペーパーが落ちていた。

悩むが…棍棒を一本捨て、その代わりに角を一本持って行くことにする。


「そのスキルペーパーはなんだ?」


「えーっと。物理耐性ですね」


「それは持ってるから使えないな」


てことで折り畳みポケットに突っ込む。ポケットもかなり膨らんできた。キングエイプを倒した時に手に入れた毛皮の半纏にポケットがあればよかったんだが…。


えーっと、使えなくて持ってきたスキルペーパーは…。オークからドロップしたスキルペーパーが【肉質向上】が五枚、【腕力上昇】が二枚、【聴覚上昇】が一枚。

アルラウネからのスキルペーパーは【生命力上昇】が九枚、【魔力操作】が二枚、【精神耐性】が二枚。それとマンドラゴラのを含めて種が二十個、か。種のドロップ率がかなり高いな。数匹は種を残さなかったがほとんどの個体が種を残したので種は絶対にドロップするのかと思ったくらいだ。

これ地上で売れるかなーって持って来てるが…地上に帰るまでには広辞苑並みの厚さになるんじゃないだろうか…?


「邪魔だし、【肉質向上】は捨てて行くか」


「まあそれは仕方ないですね。全てを取っておいたらどれくらいの数が貯まるかわかりませんしね」


「それな。ステータス確認するから少し待ってくれ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る