第12話 魔法



マンドラゴラのドロップは種とスキルペーパーだった。

種はアルラウネと同じでデカイし、いらないな。


「これも魔力の種か?」


「多分そうですー」


ならいいか。捨てていく。

さて、このスキルはなんだろうな。


「このスキルはなんだ?」


「これはー…生命力上昇ですね!腕力上昇の生命力版です!」


「生命力ねぇ」


生命力で思い浮かんだのが虫だ。身体が切れても潰れてもある程度は生きている生命力。

生命力上昇ってんだからそういう生命力では無いだろうが。

とりあえずスキルペーパーを持ち上げ、スキルを獲得する。


そのあと移動し、アルラウネとマンドラゴラとの戦闘を繰り返した。その2種以外全然遭遇せず、アルラウネとマンドラゴラの比率は大体8:2だな。

そしてドロップするのは種と生命力上昇。たまに魔力操作。戦闘も何もしてこない相手に近づいて殴って終わり。って感じなので早くこの階層を抜けたい。正確には何もしてこないわけでは無いのだが意味のない攻撃をされても、って感じだ。


「階段が見つからねえ。あいつら何匹倒したんだ」


「二十一匹ですよ!」


「数えていたのか…。戦闘もつまらんし、ドロップも種ばっかだしで嫌になってきたんだが…」


「レベルは上がってますか?」


「ん?ああ。上がってるな。26になってるな。でも21匹?も倒して5つしか上がってないんだよな。俺のレベルが上がってるのもあるが、オークの方が経験値良かったんじゃないか?」


「まあ…そうですね。アルラウネ達は基本的に非戦闘種族なので、レベルは20代でも持っている魔素量が多くないので経験値もオークよりは少ないと思いますよ?」


「魔法を使う種族なら魔素も多いとかじゃないんだな。いや、精神に干渉する魔法じゃなく胞子、か。なら本当早く下の階層に行きたいな」


その後も階段を探し戦闘を繰り返した。


「大地さん!新スキルですよ!」


「お、本当か?なんのスキルだ?」


「木魔法です!多分今の個体魔法使えましたよ!レア個体です!」


「おお!……って言われても瞬殺だったしな。どんな魔法なのか見てみたかったが」


拾うとスキルペーパーは消え去る。

ちゃんとステータスに木魔法1が追加されている。


「モモ。どうやって発動するんだ?」


「えーと、木魔法は魔力で木を生み出す魔法です。魔法全てに言えますが基本は魔力を放出し持っているスキル属性を込め球や矢を魔力によって作り出します。それができれば魔力を使っていろんな形にできます。壁だったり剣だったり。

無造作に属性を与えた魔力を放出すれば、火なら火炎放射みたいになります。

他には木魔法なら種や枝、木を。火なら火種。水なら水。そういう元となるものさえあれば魔力の消費を抑えて魔法がつかえます。

結論としてはスキルとして持っている魔法は魔力量と想像力、魔力操作で形や威力を自在にできます」


「自由自在って凄いな。なら…」


手のひらを上に向け木の矢を想像する。魔力操作のおかげで魔力の出し方がわかる。木の属性を与えるってのはイマイチわからないが、ようは木を生み出すことを念じればいいだろう。


「おお。できた」


手のひらに木の矢が出た。


「あ?でもこれ、手で投げる必要があるのか?」


「いえ、空中に生み出しそのまま放つこともできますよ!手から生み出して射出することもできますし。それは大地さんの想像力が貧相だからです!」


「…うるさいわ。練習しながら移動しよう」


そのあと木の矢を作って放つ練習をして移動する。

矢を作ってから放つ、のではなく飛ぶ矢を想像して魔力を込めると放てるようになった。


「今の勢い凄かったです!でも魔力量を気をつけてくださいね?簡単な魔法と思っているかもしれませんが、一応無から有を魔力で生成してるのでそんなにバンバン使ってたら木の矢程度でも魔力枯渇しちゃいますよ?」


「はぁはぁ。だから、それを早く言ってくれ….。枯渇、とまではいかないと思うが最後に撃ったやつに魔力結構込めたら頭痛が酷いぞ…」


「あ、手遅れでした?まあ枯渇してなければ大丈夫です!枯渇したらきっと頭痛はその比じゃないです!」


「なぁ。魔力ってどうやったら増える?レベルアップか?」


「レベルアップで魔力も増えますし、肉体が強化されるほど一気に使える魔力も増えます」


「魔法使いまくれば増えるとかはないか?」


「ないですね。あ、でも魔法をたくさん使って【魔力操作】や【木魔法】のレベルが上がれば消費魔力は減っていきますよ!」


なら使い続けないとだめか…。ほどほどにだが。


「わかった。とりあえず頭痛も耐えられるくらいになったからこの階層はオークの棍棒でやるか。アルラウネくらいなら魔法使う必要もないしな」


なんて言いながら曲がり角を曲がると階段のある行き止まりの通路だった。


あれだな。物欲センサー、的な。さっきまで全然見つからないって思ってたんだが、さてやるか。ってなったら見つかりやがった。

それなら次の階層で魔法なしの棍棒戦だな。


「一応聞くが…次の階層は何がメインだ?」


「んー、中型の人型魔物でケモノ人系なのは確実ですね」


「ケモノ人?中型の人型魔物とは違うのか?それとも耳や尻尾の生えた人間みたいな感じか?」


「いえ、中型の人型魔物と言ってもアルラウネやマンドラゴラみたいな身体がツタや木、葉で出来ている植物系もいますからね。ケモノ人は部分的に獣とかの半獣半人ではなく…オークもそうなんですが、動物が二足歩行している感じですね。人間とは体格とか骨格が似ている魔物です」


「ほー。で?どんな獣だ?」


「いやー…。なんでしたっけ…?リザードマン?ワーフルフ……?」


「おい。やっぱりわからないのかよ…。ダンジョンフェアリーの知識って中途半端すぎるだろう。それとも知識は植え付けられてはいるがお前がポンコツすぎて忘れただけか?」


「ポンコツとは失礼な!」


「じゃあ元から知識がないだけか」


疑いの目を向ける。全てを把握してないにしてもある程度は知ってるんじゃないだろうか。というかどの階層にどんな魔物が、ってのを知らなくても二十一〜三十階層にいる魔物は知っているのだからその魔物の強さで浅いところに出てくる魔物とか推測くらい出来ないのだろうか。それについても聞いてみる。


「……テヘッ。忘れちゃいました!」


「こっ…このヒヨコ…。すーーはぁーーすーー。はぁ。お前はそういうやつだもんな…。この短い期間でよくわかってる。怒った所で無駄に体力使うだけだしな…」


「む!?その評価は不本意です!」


「なら思い出せ」


「ここまで出かかってるんですよぉ」


黄色い小さな翼でお腹を辺りを押さえるモモ。

それはもはや出てる、よりも出てこない物だろう…。


「もういい。どの階層に何が出るか覚えてなくても二十一〜三十階層に出る魔物は全て覚えてるか?」


「それなら覚えてますよ!オークにアルラウネとマンドラゴラ。それとリザードマン、ワーフルフ……。とかです!」


「おい。覚えてないな?」


「お、覚えてますよ!今言いました!」


「はぁ。降りるか。さっさと進もう」


「あ!信じてませんね!?覚えてますよぅ!ただ…あれです!ネタバレはよくないかなって思っただけです!」


「はいはい。行くぞ」


わーわーうるさいモモは放置して階段を降りる。降りればわかることだしな。ただ危険な魔物なら心構えをしておきたいと思って聞いただけだからモモが覚えていないなら構わない。


そして階段を降りるとオークの階層と似た階層だったを草とかは見当たらない。他の階層と同じように発光花はあるが、上の階層とは違う。


「あ…」

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