第4話 初戦闘
「大地さんやる気になりましたね!じゃあやってきます!」
モモが離れて少しすると怒ったような唸り声が聞こえたので見てみると走りながら両手を振ってモモを追い払おうとしていた。
くそ。足を止めてくれればその間に階段へ駆け込めたのだが…。
モモは空を飛べるし問題なく逃げられるから気にしなくて大丈夫だろうし。だがその目論見は外れ、少し速度は落ちたが着実に迫って来ている。
「あー!もー!やってやるよ!」
着ていた上着脱ぎもうすぐ後ろまで来ていたキングエイプの顔に向かって広げた状態で投げつけ、横に跳ぶ。
「オォオ!」
モモの魔法と上着によって遮られた視界にキングエイプは足を止めた。大きさは二メートル以上はあるが…。
俺は少し前の方で止まって服を取ろうとしているキングエイプに向かって飛び付き腕を伸ばして顔を引っ掻きながら手に当たった窪みに指を突っ込む。
「ギャァァァア!」
先程の怒声とは違い悲鳴だ。上手く目に指が入った。そして指を抜きもう一つの眼球も潰すとキングエイプは顔を抑え倒れた。
「はぁはぁ…」
今なら逃げられるか…?
「大地さん今です!やっちゃってくださいー!手でやるのが嫌なら足で!踏み潰しちゃってください!」
は?あー…。急所のことだろうか…?さっきはがむしゃらに眼球を潰したが嫌な感覚が蘇る。だがそんなことは言ってられない、か…。
足を上げ、何故か纏っているボロボロの腰布の上に勢いをつけて振り下ろす!
「ギャァァァア゛ア゛ア゛!」
さっきよりも悲痛な叫び声だ。自分でやっておいてなんだが俺も下半身がゾクッとした。
「さ、さすが大地さん!ただ踏み潰すのではなく踵落とし!よっ!鬼畜!」
あのヒヨコは後で説教だな…。
もうここまで来たなら開き直ろう。何度も何度も蹴り続ける。その度にキングエイプは大声で叫びジタバタする。そうしてどれくらいの時間がたっただろうか。キングエイプは動かなくなった。
「はぁっ。はぁっ。こ、殺せたの、か?」
「んー?まだですね。気絶しているだけです!」
いつのまにか俺の顔の横に来ていたモモがそう言う。確かによくみると白目を剥き泡を吹いているが胸は上下している。
「ほらほら!早くトドメを!」
「トドメつったって股間蹴ればいいのか?」
「な、何という鬼畜!殺さず雄として最も辛い苦痛を与え続けようと!?さすがですね!?」
「うるせーよ。刃物があるわかでもないし、こんな太い首折れねーだろうし。下手に股間以外を攻撃して目を覚ましたら嫌だしどうやって殺すんだよ」
「首を絞めればいいのです!」
確かにそれしかない、か?喉の辺りに腕を回し締め付ける。
「もっとです!もっと!絞殺って死んだように見えて中々すぐに死なないんですからね!死んだと思って緩めたらそのうち息を吹き返すことだって…」
「うるせーし、こえーよ。どんな知識植え付けられてるんだ」
黄色羽をバタバタとさせ力説しているモモを止める。でもモモの言う通りかもしれないから締め付ける。
!?!?!?
突然全身に鳥肌が立ち、疲労していた腕、脚、身体全体が軽くなり、身体に力が漲る。
何だ、これ。
「どうしました?」
モモに今起こったことを伝える。
「おー!魔素を吸収できたようですね!殺せたってことです!レベルの確認してみたらどうですか?」
これが魔素を吸収するということか。倒すたびにこんなゾワゾワした思いするのはなんか嫌だな。
ステータスは確認したいがとりあえずこいつから離れたい。落ち着くまでは何とも思わなかったがなんかこの猿臭い。
「とりあえず階段まで行こう。それにしてもモモが言ったようなえげつない方法で倒すことになるとはな…」
「あ、待ってください!もうすぐで多分消えて…あ、ほら!ドロップアイテムです!」
「あ?」
キングエイプに視線を向けるとあの巨体は消え去り宝箱が。
「ほらほら!開けましょう?ドロップアイテムですよ!」
「…罠の可能性は?」
「ボスを討伐してくる宝箱に罠はついてないです!」
ならば…と蓋に手を当て宝箱を開け…毛皮…?
広げてみると茶色半纏のような硬めの毛皮で出来たものだ。
「うーん。微妙ですね?ハズレです!」
「…………当たりは?」
「超大当たりは固有スキルを覚えられるスキルオーブです!」
「そうか…まあ着ていた上着はボロボロになったし、この半纏もキングエイプみたいな悪臭はしないから使うか」
あとはステータスか。階段の近くまで移動し、ステータスを表示する。
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個体名【泉 大地】
種族【日本人】
性別【男】
Lv【10】9UP
・戦闘スキル
【格闘術2】【受身3】
・耐性スキル
【苦痛耐性2】【物理耐性2】【毒耐性3】
【精神耐性3】
・固有スキル
【再生】【種】【ドロップ率上昇】new
【時空間魔法】new【超速再生】new
【告知】
・レベル1の状態でボスを倒したことにより褒賞として能力をランダムに強制付与致しました。
レベル差10以上の魔物を単独討伐に成功したことにより褒賞として能力をランダムに強制付与致しました。
・レベル1の状態でレベル差20以上の魔物を単独討伐に成功したことにより褒賞として能力をランダムに強制付与致しました。
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