第2話 荒野の紙袋
「今回はどこだ?」
周りを見渡すと、遠くの方に空の上から見えていたビルの上部だけがうっすら確認できる。
それ以外は何もない荒野のようだ。
ふと昔見た深夜のテレビでやっていた西部劇の映画を思い出す。
かといってサボテンや転がる枯れ草の塊があるわけでもなさそうだ。
「さてと……」
状況を少し確認しながらビルの方へと歩きだす。
最近眠ると空を飛ぶ夢を見る。
毎回降りる場所が違うからまずは周囲の確認から始めるのがルーティンのようになっている。
前回は海に浮かぶ周囲100メートルほどの小さな孤島。
中央にヤシの木のような木が生えている以外何もない島だった。
小さな孤島ではやることも特になく、砂の上に胡座をかいて目が覚めるのを待つしかなかったから、今回のような目的地があるのは嬉しい。
かといって前々回のような禍々しいツノを持つ巨大生物が闊歩するジャングルに降りたつような経験は二度と御免だが……
「今回は人がいるといいな……」
今まで10回程夢の中で色んな場所に飛んだが、人という人に会えたことがない。
人のような形をした喋らない動く木には遭遇したが、あれを人とはカウントしたくない。
「ガサッ」
「んっ?」
考えながら歩いているとボロボロの大きな紙袋を踏んだ。
「何だこれ?」
中を見てみると「当たり」と書いた紙が入っていた。
「当たり?」
こんなこと今までになかった。
初めてのことに戸惑っていると当たりと書いた紙が急に劣化したかのようにボロボロ崩れ落ちた。
「えぇ…」
当たりなのにハズレのような演出に少しガッカリしていると、紙が落ちた地面にいつの間にか猫がいる。
「にゃー」
「……どゆこと?」
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