夢の中での旅。今回から本番だそうで
朝日乃陽
第1話 天井のひかり
天井に、反射したアルミ灰皿の光が揺れている。
ベッドに仰向けで寝転がりながら僕は、水に反射してるみたいだなと思う。
夏も終わりかけ少し涼しくなってきた土曜の昼前。
少しの空腹感と頭の奥に鎮座するような眠気の中、無気力な体に逆らえずにいた。
目を瞑ると1分ほどで眠ってしまいそうだ。
カーテンを開けた窓から右肩に優しく当たる日差しに、やんわりとした心地よさを感じながら天井で揺れる光を見つめなおす。
右肩が暖かい。
瞼が重くなる。
27度に設定したクーラーの音が耳の奥まで届く—
———目を開けると空にいる。
風に煽られバタバタと音を立てる白のTシャツ。
周りは暗く、薄い雲がはっきり見える。
晴れているのか星も多い。
この、寒くもなく暑くもない不感温度にも慣れてきた。
なぜか夢の中で空を飛ぶときは夜ばかりだ。
下を見るとどこの国か分からない光の集合体。
何度見ても鳥肌が立つほど綺麗な上空から見る夜景。
細く伸びて曲がって回って、あれは多分高速道路。
あの光が多いところは都心部。
と、心を落ち着かせるように予想していく。
そうこうしてる内に地面が近付いてきた。
叩きつけられる恐怖に怯えながらも、どうせまた夢の中だからそんな心配はいらないと心のどこかでは安心している。
———ふわっ。
夢の中独特の、イメージと体の僅かな不一致に少し不満を覚えながら着地する。
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