第18話
「俺が先陣を切る…… ササラは俺のサポートに回ってくれ、出来るか?」
「は、はい!ハク様気をつけて下さい。あれは普通じゃありません……」
俺は視線を異様な存在から離さずに頷いていた。そいつはまだ狂った様に全身に付着している血液を舐め回していた
「アリスとリムは無理をするな。まだ他にもいるかもしれない…… 周りを警戒しておいてくれ」
「わ、わかった!」
「了解……」
俺はアポカリプスを構えると、全力で駆け出して行く。この化物はいったい…… ササラ達も見たことがない様子だった、それに何処から現れたんだ…… 疑念を抱きつつも戦闘へと集中するため、気を引き締め直す。
「やるぞ!」
俺はトップギアのスピードで奴の動きに注意しながらも、サイドに回り込むと脇腹を切り裂くように切りつけていく。そのまま一気に背後へと回り込みながらも、背中へと全力でアポカリプスを振り下ろしていく。
斬り付けられた傷口から時間差で噴き出る血液……
「あラェ? いたァイ!? ワダぢノからダぁあア!!」
歪な叫び声を上げながら鞭の様に伸びて来る腕を紙一重で避けていく。ヤツの伸び切った腕にササラはすかさず光の斬撃を繰り出していた。
光の斬撃は腕へと直撃すると、重力を受け地面に落下する奴の腕を視界に捉えながら、俺はトドメの一撃とばかりにアポカリプスを奴の首元に勢いよく突き立てると、勢い任せにに奴の体を蹴り飛ばし無理矢理アポカリプスを引き抜いていく。奴の首と腕から勢いよく噴き上がる大量の血液と、俺の手に残っている嫌な感触は俺にとって初めてのもので、握りしめていたアポカリプスを小刻みに震わせていた……
俺とササラはヤツから素早く一度距離を取る
「や、やったか? 手応えはあったが……」
ササラは気を抜かずに奴を見据えていた。前のめりに地面へ倒れた奴は這いずりながらもまだ動きを止めてはいない……
「あガァぁあ…… やっトテにイレたノヨぉォおーー!? 食べナキャっ!アハっ……」
その姿は一言で表すと狂気に満ちていた……
「お前はいったいなんなんだ…… 」
俺は恐怖に駆られながらも這いずるヤツにトドメの一撃を突き立てる
「ガァぁぁッーーーー!」
奴の叫び声は俺の耳をつん裂くほどの残響を刻み込むと、徐々に声は掠れ動きを停止させていくのだった。突き刺したアポカリプスを震える手で引き抜くとベッタリと付着した血を振り払う。肉を切り裂いた時の嫌な感触は未だに消えず残っていた……
「ハク様あそこ…… まだいるよ!」
アリスの声の方へと振り返ると、俺は無理矢理震えを押さえつけながらも再び戦闘態勢を取っていた。建物の脇道からゆっくりと姿を現わす異形な生き物……
「あれレ。なんで倒れテるのぉー?まったク…… ちゃんとタべなきゃおオきなテンしサまになれなイよー?」
顔だけを此方へと向けるその姿は、地面に倒れたヤツより少し大きく見えた……
「あなタおんけイうけてるのネェ?うれしいワぁ…… またテんしさまにちかズくことガできるワ……ヒっ、イヒヒヒっッ!!」
ソイツは頭を掻き毟り狂った様に笑い声を上げていた……
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