第17話
遠目から視界に捉えた大きな建物、詳細は分からないが見た限りでは他の物より被害が少なく思えた。
「ひとまずあのデカイ建物に向かう。被害が比較的少ない様に見える……」
街の至る所で悲鳴や呻き声が聞こえて来るが、状況が分からない今は見える範囲での救助が精一杯だ。しかも俺が直接体に触れる事さえも出来ない。
「ハク様……いったいこれは……まだ信じられません」
走りながらもササラの悲痛な思いが伝わって来るが、状況が把握できない俺は何も返す事ができないでいた。目標の建物へと走る途中で、少し広い道に抜け出した俺達はあり得ない光景を目にして立ち止まってしまう。
クチャグチャ……バリッ!クチャ……
耳にこびりつく異様な音
理解出来ずにただ光景を眺めていた
「アァ。オイシ……オイシいわァぁーー!オなかへッテタのヨねェェーー!じゅッ、ジューしーだワァ!ウフっッ……うフッっ!」
そいつは明らかに焦点が合わずひたすら肉に何度も何度も…… 喰らいついていた
頭部を失ったそれは死んだ後も痙攣を繰り返すと、肉を食われるたびに反応する
「い、いやっ!?イヤーーー!!」
アリスの悲鳴が辺り一面に響いていた……
悲鳴を聞き、スーッとそいつは顔を上げてこちらを確認する。のそっと立ち上がったそいつは高く、2メートル以上は軽くあるだろう異様な姿を、見上げて俺は息を飲んでしまう
手脚と首は長く頭部から無造作に垂れ流す髪がそいつの表情を隠してはいるが、髪の毛の隙間から覗いている目は焦点が合っていない
体の所々の皮膚が伸び切っており、筋肉が直に覗いているのが異様な雰囲気に拍車をかけていた。
「あラアらアラー……ごめんナさいネェぇ!アナたタちモ食べチャっテもいいのカしラァー!?」
両手に握り締めていた亡骸を地面に無造作に捨て去ると、頬元まで裂けた口から現れた長い舌で指を乱暴に舐めまわす。危険を感じた俺は咄嗟にアポカリプスを握り締めそいつに剣先を向けていた。
「ササラ、アリス、リム!?気をつけろ!!」
俺の行動を見た3人は、恐怖の中で武器を手に戦闘態勢に入っていく……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます