第9話
それから俺の記憶は定かではない。
記憶がぶっ飛ぶくらいの快感に身を委ね、恐らく本能のままにササラにぶつけてしまったのだろうか……
目が覚めると横には衣服が乱れ眠り込むササラがいた。スヤスヤと眠るササラは疲れからなのか起きる様子はなかった。俺は…… 最低だな。
手に触れただけで敏感に反応してしまうササラにはきっと、 言葉に出来ないほどの強烈な刺激だったろう…… そんな彼女に俺は……
ササラの髪を優しく撫でてみたが当然の様に反応はなかった。
「ササラ…… 大丈夫か?」
今はもう少し休ませてやらないとな。そう思いながらも、 そっとシーツをササラに掛けた俺は、 シャワーを浴びる為にベッドから体を起こしていが、 突然俺の腰にササラの真っ白な腕が絡み付いてくるのだった。
「置いていかないで下さい。寂しいです」
俺はササラの左腕の甲に掌を添えながらササラに優しく声をかけていく
「ササラ。見えるかい……」
彼女の前で俺は掌をそっとどけて見せた。
「はいっ……ちゃんと見え……ました」
ササラは涙を流し俺に微笑んでいた。
そこには、決して切れる事のない証……
純白で4枚の翼をかたどった紋様が刻まれていた。
…………
……
その後も暫く2人でゆっくりと休んだ。 今日ぐらい許されるだろう…… きっとこれからは嫌でも動かないといけないだろうしな。
それと、ある程度はササラに触れても昨日までの様な急激な発情反応が出なくなった。 きっと昨日の話にあった耐性のせいだろう。
あと、ササラのステータスにも変化があった
※ササラ 17歳
ホムンクルス【白の王守護者】
潜在能力 SS +【白の王加護率2/600】
加護授与率 【2】
固有スキル 【光の守護】
【光の守護】全属性耐性が大幅にアップする
※王の加護率により耐性値が上がる
ユニークスキル【白き王の加護】
【白き王の加護】白の王により付与された加護を自身にエンチャントする事が出来る
※白の王による加護率に応じて武具を具現化する事が出来る
この白の王と言うのは俺の事だろうな。
ステータスにある守護者ってレッドネームの事なんだろうか?
気になるのが潜在能力の加護率ってとこだよな。下の授与率が2で、加護率が現在2になってるって事は……
恐らく1度に吸収出来る恩恵の値だと思う。
加護率2/600と言うのは上限の事だろうか?
もしかすると、 上限値は潜在能力ランクで変わるのか?
後は固有スキル、ユニークスキルだな。スキルに関してはまだ知らない事が多すぎるので、後程調べてみるとしよう。今はとりあえずササラがレッドネームになれただけで満足だよ。
俺はササラの髪を撫で、そっと左手の紋様に口づけをする
「ササラ…… 俺はやっぱり王の1人のようだ。
どうやら白の王と言うらしい」
ササラは頷く
「はい…… これからは私の主としてずっとお護り致しますから!」
主としてか、複雑な気分になってしまう。
他の王達は好戦的なのか?
もしかすると、そうじゃない王もいる可能性もあるよな。とにかくこれからはササラと運命を共にして行くんだ、 無闇な行動はササラを危険に晒してしまう。
もし仮に戦闘になれば、 俺は相手を傷付ける事が出来るのだろうか?
きっと、 日本に居た時のような甘い考えは捨てなきゃ行けないんだ。
俺もササラを守る為に。
「主様……?」
ササラを見つめながらも色々な事が頭を過ぎるのだった。
「あ、ごめん。少し考えていた…… それと…… 主様って言うのもなんだかなぁ……」
俺は突然リベルタという世界に来てしまったんだよな。 向こうの世界で死んでここが実はあの世とか? それとも何かの力で転移したとか…… なんにせよ考えてもわからないだろう。
それよりも今はこの状況を受け止めて、 このリベルタで生きて行く事を考えなければいけないだろう。
この先日本に戻れるかは分からないが、 ここに来てしまった限りは俺が出来る事をしてみよう。
今から俺は王として生きて行くんだ。
「白の王…… しろ…… ハク。よし!俺は、今からハクと名乗るよ! ササラもこれからはハクって呼んでくれ!」
ササラは優しく微笑むと頷く
「はい…… ハク様……」
…………
……
俺とササラは現在、体育館ほどの広さの室内にいる。ササラが言うには公共施設の一つであり、 主に学園生同士が自由に鍛錬できる場所らしい。
転移で移動出来る場所でもあり、部屋自体は10部屋あるとの事だった。この場所はありがたい事に1時間ごとに貸し出しがされている。
しかも借りる為には代表者1名の署名で簡単に借りる事が出来てしまう。まだ存在をバラすわけには行かない俺にはありがたい話だよ。
「さてと。やりたい事が山ほどあるんだが
まずは、俺自身が戦えるかどうかを知りたい
ササラ、練習用の武器とかってあるのかな?」
「いえ…… 私達ホムンクルスは武器を呼び出す事が出来るんです。学園に入る為の第1条件でもあります」
そう言うとおもむろにササラは右腕を胸の前に伸ばしていく。
「おいで、セラフィム……」
突然ササラの右手に光の粒子が集結したかと思うと眩い光を放っていく
「うおぉっ!!」
突然の光に驚き咄嗟に腕で目を塞いでしまったが、ササラの右手に光が集結し思わず見入ってしまう程綺麗な細剣に変わるのを見逃さなかった。
「びっくりした……!? その綺麗な剣がササラの武器なのか? スゲー綺麗だな。神々しいと言うか何と言うか、ササラにはピッタリの剣だと思う!」
俺の言葉にササラは嬉しそうに微笑む
「ありがとうございます! 私達の武器は自分の半身みたいな存在なんです。皆武器は違うんですが、 個人の特徴が反映されているんです。 私は光属性なのでセラフィムにも光属性の加護が付与されているんです」
な、なるほど……これこそファンタジー!?
俺は年甲斐も無くテンションが上がってしまうのだった……
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