第8話


目を閉じると全身に意識を張り巡らせるように集中していく。 体の隅から隅までなにか違和感はないだろうか?


ん……


今まで感じたことのないこの感覚はなんだ?

俺は疑問を抱きつつもササラへと視線を移していた。




※ササラ 17歳


ホムンクルス


潜在能力 SS +


固有スキル ???





は…… 何だこれ?


まるで脳裏に表示されているかの様に突然浮かび上がる文字に驚いてしまったが、 この力もこの世界へと転移してしまったが為に使えるようになった変化だろうな。


ササラは黙り込む俺の姿を不安そうに見つめていた。 



「ササラ教えて欲しいんだけど、 この世界にスキルってあるのかな?」



「は、 はい! 持って生まれたオリジナルの能力を固有スキルと言います。 それとは別に修練を積んで覚えるのが一般スキルです」



なるほど。 


異世界らしくなって来たな……



「因みに自身のレベルとか数字でわかったり潜在能力ランクって存在するのかな?」



このリベルタではわからないが、 一般的なゲームとかだとステータスやらレベルやらの概念があるはずだよな。


ササラは俺の問いかけに人差し指を顎に添えると暫く考えていた。 なんか難しい質問になってしまったかもしれない…… そんな事を考えつつササラの言葉を待っていた。



「確かに経験を積めば技術は発達しますが…… 自身のレベルを数字でと言うのはちょっとわかりません…… あと、私も潜在能力がわかれば凄く嬉しいです!」



う。 顔も仕草もホント可愛いいよなぁ……日本人にはいない感じなんだよ、 なんていうか…… 妖精的な? 日本なら間違いなくササラの容姿に皆んな振り向くのは間違いない!


話が脱線してしまったが、 ササラの話を聞く限り俺に見えているステータスの様な物は、俺だけの固有スキルの可能性がたかい


それにレベルが表記されていない事を考えれば、 この世界にゲームでよくある自身のレベルアップシステムは存在しないと言う事か?


あと気になるのは、 ササラのステータスにあった潜在能力の【SS +】

そのまま潜在能力の高さだと思うが

何にせよ最大ランクがわからない以上謎のままだが、俺が今までしてきたゲームに当てはめれば【SS +】はかなり良いランクだと思うんだよ!


例えば下から、D.C.B.A.S.SS.SS +SSSみたいな感じで大きなズレはないだろう。 

もしかすると、全てのランクに +が存在したりZランクとかXランクとか存在する可能性ぐらいじゃなかろうか


なんにせよササラはかなりの潜在能力があるって事で間違いないと思う! よし、リムやアリスでも検証してみるとしますか



「わかった。もう一つ質問なんだが……

この世界の王は昔から10人だったのか?」



ササラはすぐに頷く



「はい、 300年と少し前に10人の王に領地が分担されました。

その前は確か…… 争いが起きていたという書記は残っていません。300年以前の歴史に関する書物が残されていないんです」



ん? 300年以前の書物がない…… なんか意味深だな。 後々調べてみるとするか。


それにしても、 約300年前に10人の王はすでに存在していたと言う事がわかった。 王達による戦争はその時から既に始まっていたんだろうな。


300年も前から続いている戦争に、 いきなり現れた俺が11人目の王となればこの国の勢力に変化をもたらしてしまう。 もしくは……

他の王達によって俺は……


今は表立って動かない方がいいだろう。


それよりも問題は……

俺に他の王達と同じように恩恵を与える力があるかだよな?


「なあ…… ササラ。レッドネームになるってそんなに凄い事なのか?

レッドネームになれば殺し合いに巻き込まれるんだよな。 当然顔見知りだっているんじゃないのか……」


ササラはハッキリとした口調で俺に答える。 


「それでも!それでも…… 私達ホムンクルスはレッドネームとして生きるのが望みなんです! レッドネームとして新たに命を授けて下さった人に…… その人の為に命をかけて恩返しをする。 それが、 この世界の理ですから!」


この世界では当たり前の事なんだな。 そう言われれば俺は何も言えないよな……


まだ僅かな時間だがササラと居て彼女の気持ちやこの世界の常識が少し分かった気がする


この世界では寿命25年は当たり前で、 そう定められた人生なんだよな


此処では俺みたいに、のうのうと生きて来た奴では理解出来ない考え方もある。 世界が違うんだ……


当たり前だよな



「そうだよな。 この世界ではそれが正しい選択なんだな……」



俺はしっかりとササラを見つめると、 意を決して口を開くのだった



「ササラ! 俺専属のレッドネームになれ!

まだ会ったばかりだけど、 俺以外の場所でササラが傷付くのは見たくない。

俺に恩恵を与える力があるかはわからない。

でも、 可能性があるのなら俺のレッドネームになってほしい!」


当然の言葉に一瞬ササラは驚いた様子だったが、 直ぐに何かを決意したかのように表情を引き締めたのが分かった


「私をレッドネームにして下さるのですか?

今は養成所に通う身でまだまだ未熟者です。

それでも…… もし、 レッドネームにして頂けるなら…… 命ある限りお側に居させて下さい!」



ササラは片膝を地につけ頭を下げていた、 正直言って俺はとんでもない事をササラに頼んでしまったと思う。 それでも…… このリベルタにいる限り、 遅かれ早かれ決断しないといけない問題なんだ。



片膝をつき頭を下げるササラをみつめる。 きっと俺の世界で言う騎士道精神みたいな感じなのだろう……


「ササラこれは俺からのお願いなんだが

俺はきっとこの世界では異例の存在だ。 それにきっと他の王達とも争う事にもなるだろう。 それでも出来るのなら…… 俺はササラにまだまだいろんな事を教えてほしいんだ。


俺に出来る恩返しはササラをレッドネームにする事。 俺には情けないがササラ以外誰も頼る人がいない……

こんな俺だけど、これからも助けてくれないかな……」



ササラは俺の言葉を聞き終えた後立ち上がると、 何も迷いのない表情で俺に言ってくれたんだ……



「私で良ければ命ある限りお側にいます」



俺は思わずササラへと手を差し出していた。

ササラは少し震えながらも俺の手をシッカリと握り返すのだった……


「あっ!? うぅ…… 力が…… う、上手く入りませ…… ん」


俺は膝から崩れて行くササラを優しく引き寄せていた。 発情、 快楽、 緊張、 不安、 色々な感情や刺激が入り混ざりササラを襲っていく


「大丈夫か……」


ササラは頷くも力が入らず小刻みに震えているのが抱き寄せた腕に伝わってくる。


「うぅ…… ぁッ!」


自分の体の変化に思わず声を上げてしまうと、 たまらずに俺の胸へと顔を埋めてしまう


「も、 もう…… だ…… ッダメっ…… です!! あぁっッ!!」


ササラは体をビクつかせたかと思うと、 俺の腕の中でガクリと力が抜け落ちてしまったようだ。 履いていたホルス学園のスカートから見える太腿にかけて滴る雫……


俺の理性を吹き飛ばすような魔性の香りに俺の思考が一瞬真っ白になってしまう……


俺の手は自然とササラの胸元に滑り込んでいく……


ササラは俺から視線を離さず

荒い吐息を繰り返しながらも、俺の顔を強引に両手で引き寄せるのだった


…………


……


室内には怪しくも艶かしい音が響いきわたっていた……


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