学校から帰り、場所は家。

 家に帰ってきた俺は、まずやることがある。

 それは、服を洗濯機に入れることだ。


「あーあ、今日は美術の時間があったから汚れだらけだ」


 ごめんよと一言残し、電源のボタンをポチっと押す。すると、洗濯機が動き出した。

「よし、これで汚れも落ちるだろう。その間昼寝でもするか」

 そう言い残し、寝室へ向かうのであった。




 数十分後、ピーッ、ピーッ、ピーッという音があけを夢の世界から現実の世界へ戻るようにというかの如く鳴った。

「……はいはい……起きますよ……」

 眠い眼をかろうじて開けながら、洗濯機へ向かう。

 そして、洗い終わった衣服を取り出して干す。これが俺の日課だ。


 しかし、今日の日課はいつもと違っていた。


「あ……やってしまった……」


 落ち込むのも仕方ない。衣服についていてであろう、美術の絵具が、混ざって洗濯機の中で虹をかけていたからである。


「どうしようっかな、とりあえずクリーニングにださないとな」


 洋服を取り出す。手で触れる見事な虹である。しかもところどころ、黒くなっている。これは色の三原色が混ざったからだろう。授業でも習った。

 そこで、あけは一つ思い出す。それは、美術の先生が言っていたこと。


「そういえば、光の三原色は混ぜると何色になるんだろうな、聞きそびれてしまった。」



 『本の最後にある白の世界』


 その謎は未だにわかっていない。

 

「真っ黒になったってことは、おれの服についていた色は色の三原色だったのか、よく見ていなかった」


 朱も絵の家系に生まれ、絵の道へ進む以上、色の三原色というものは知っていた。

 しかし、光の三原色というのは初耳であった。

 光の三原色というものはなんであろうか。

 また、色の三原色と何が違うのだろうか。


 いてもたってもいられなくなり、光の三原色を調べる。

「……光の三原色……赤、青、緑」

 そして、ボソッと朱は誰にも聞こえないような小さな声でつぶやく。

「これっておれの家族の名前の意味だ……!」

「混ざるとどうなるんだ!?」


 急いで調べる。




 その結果は――白になる。




 ハッとなる。

「白になる!?」


 自分に言い聞かせるかのようにあけはいう。

「『思考』するんだ!」


 つまりまとめると、赤、青、緑の三色。すなわち、父親の『碧』、母親の『蒼』、そして『朱』。


 三人を混ぜると白になる。


「あの白紙は、俺たち家族のことを表していたのか」


 謎が一つ解けた。

「これなら、残りの謎も解けるかもしれない!」

 謎が解けたことに興奮するあけ

 今日は蒸し暑いにも関わらず、すぐに眠りにつくことができた。

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