翌日、俺は張り切っていた。

 なぜなら、一番好きな美術の授業だからである。


 先生が説明している。たわいのない話だ。


「今日は。絵に色を付けたいと思います。いいですか? よく聞いててくださいね?」

 先生が言うのも無理はない、なぜなら寝ている人や内職している人がちらほらいる。前の女の子に至っては、巾着から


「色というものはとても不思議です。混ぜると別の色に変化します。しかし、その中でも色の三原色というものがあり、すべての色はこの三色からできています。この色もそうです」


 先生の説明を聞く人もいれば聞いていない人もいる。先ほども行ったが俺は美術の時間が大好きなのでどんなモノトーンの色をした話だろうが、俺にはカラフルに染まって聞こえる。しかし、俺みたいな人は珍しい。


 ほら、前の子なんて


 それでもお構いなしに先生の話は続く。 

「色の三原色はすべて混ざると、黒になります。黒とはこうやってできているのです。しかし、一色だけ作れない色があります。その色を理解するためには、光の三原色というものを理解し、その三種類を混ぜると……ってそこ! 髪留めで遊ばない!」


 ついに怒られて

 しかし、退屈な話を長時間聞かされる身にもなってほしい。


「……というわけで、説明は終わりです。ここテストにでますからね!」


 生徒が一斉に「はーい」と気の抜けた返事をする。

 先生はその返事に呆れつつも「では、始めてください」というのであった。

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