第5話:すくう

女「抱いて」


「は?」


女「私を生きたいと思わせるくらいやさしく」


「・・・」


女「冗談」


「・・・」


女「・・・私を殺して」


そういいながらバックから小型のハンドガンを取り出してテーブルの上に置いた。


「・・・いっていることが」


女「私を助けたいって言ってくれたでしょう?」


「・・・えぇ」


女「私をこの世界から救ってくれるのなら・・・殺して」


「・・・」


女「その銃を持って私の頭に向けてトリガーを引くだけ・・・簡単でしょう?」


「でも、さっき生きるって」


女「あなたが今ここで殺してくれるなら・・・」


「・・・それは」


女「・・・」


「・・・」


女「やっぱりだめか・・・」


「・・・」


女「死ねなかったんだよね・・・自分で」


「?」


女「不思議でしょう?妹はかわいそうだからって殺したくせに、自分は自分を殺せなかった」


「・・・」


彼女は泣いていた


そっと抱きしめた


女「なんであなたが泣くの?」


「・・・わからない・・・だけど・・・生きて」


女「君は・・・難しいことを簡単にいうね」


「あなただって」


女「そう?簡単だと思うけど・・・」


「嘘つき」


女「わかった・・・もう少し生きてあげる・・・けど私は嘘つきだから・・・」

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戦場に咲いた花 Iris @Iris-8800

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