「この便せんを見ていると言うことは、本人の意思で読んでいる、そう受け取って良いですね。ただ、読むのがいやになったら、いつでも読むのをやめて、破いて、捨てて、なんなら燃やしてください。
私が死を選んだ理由は単純に疲れたからです。生きていくためには、お金を稼がなくてはいけない。そのためには、仕事をしないといけない。私には奨学金という借金があります。このお金は無利子ではないので、どんどん払う額が増えます。20年、払い続けないといけないみたいです。20年、私40歳。もうおばさんだ。奨学金を払うためには、今のお仕事だけじゃ足りないし、したいこととかおいしいご飯とかいっぱい我慢しないといけない。
仕事、といえば、家のこともあって、妹が浪人をしているから、私がしっかりしないと。って思って。前にも話したけど、私の親は大学を出ていないから、大学にはすごい期待していたみたいで、しかも国立大学。だから、私が正規職でもなく、世の中一般で成功者といわれるような仕事をしていないことに少し絶望しているんだと思うの。親は直接は言わないけど、そういうの感じちゃうの。ほら、私って感受性がいいから。
そんなこんなで正規職につかなきゃってすっごく焦っちゃったんだけど、しょうちゃんもわかるように、職なんてすぐにつくもんじゃないじゃない。だから、余計に分けわかんなくなっちゃった。」
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